.38スペシャル弾
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この新しいM41スペシャル弾薬は130グレーン (8.4 g)のフルメタルジャケット弾頭を持ち、許容される最大の圧力は16,000 psiで、これによって速度は固定された6-インチ (150 mm)の試験用銃身からは約950 ft/s (290 m/s)、4-インチ (100 mm)リボルバー銃身からは約750 ft/s (230 m/s)となった[22][23]。M41ボール弾薬は、最初はアメリカ空軍の航空機の乗員とアメリカ戦略航空軍団のセキュリティ・ポリス(en:Strategic Air Command Elite Guard)の.38リボルバー用に使われたが、1961年にはアメリカ陸軍によって、セキュリティ・ポリス、軍用犬の訓練士、およびその他の.38口径リボルバーを装備している人々のために使われた[23]。後に、通常のM41にセミポイントの被甲されていない鉛の弾頭をつけたバリエーションが、アメリカ合衆国本土の警察および保安要員用に採用された[21]

同じころ、墜落した航空機の乗員が緊急信号を発する手段として、.38曳光弾(トレーサー)がアメリカ海軍、海兵隊、および空軍に再導入された。.38スペシャル口径の曳光弾は通常とは異なる色が付けられており、通常は標準的なエアクルー・サバイバル・ベスト・キットの一部として支給された。

空軍警備隊および保安要員のための、より強力な.38スペシャル弾薬の要求は、Caliber .38 Special, Ball, PGU-12/B High Velocity(口径 .38スペシャル、ボール、PGU-12/B 高速)となった[22]。PGU-12/Bはアメリカ合衆国空軍によってのみ支給された。許容される最大の圧力は20,000 psiまで大きく向上し、130グレーン (8.4 g)のフルメタルジャケット弾頭を6-インチ (150 mm)の試験用銃身から1,125 ft/s (343 m/s)で、また4-インチ (100 mm)のリボルバー銃身からは950 ft/s (290 m/s)-980 ft/s (300 m/s)で発射することができた[22]。PGU-12/B高速弾薬はM41スペシャル弾薬とは二つの重要な点で異なっていた。PGU-12/Bはより高い圧力の弾薬で、薬莢に弾頭がより深く挿入され、固定されていた。

1970年代、.38スペシャルの新しい高圧(18,500 CUP)のロードが発表された。これが.38スペシャル+Pである。この弾薬は、このような弾薬を使うために設計された.38リボルバーや、.357マグナム・リボルバーで使用できる。フェデラル・カートリッジ(英語版)やウィンチェスター・リピーティングアームズのようなメーカーによって作られた、そのほかの高速ロードは、たびたび「For Law Enforcement Only」(法執行機関専用)というラベルが貼られ、.38スペシャル+P+に指定されていた[24]。この弾薬は、このロードに耐えられるように特別に作られた.38スペシャル・リボルバーでだけ使うことができる。単なる.38スペシャルや、.38スペシャル+Pの銃は、このロードによって大きなダメージを受けてしまう。

他の.38スペシャル弾薬と同じく、+P+ロードは.357リボルバーから安全に発射できる。.38スペシャル+P+の圧力は通常約22,000 psiだが、.357マグナムでは通常35,000 psiに達する[25]。.38スペシャル弾薬は.357マグナムの銃から発射できるので、比較すると低反動、低音量、および低価格によって、.38スペシャルは人気のある選択肢である。
性能.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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出典検索?: ".38スペシャル弾" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2020年12月)
スミス&ウェッソン M686から発射された.38スペシャル弾。シリンダー・ギャップから漏れるフラッシュも写っている。

もとは黒色火薬を使っていたので、.38スペシャルは低い圧力の弾薬で、17,000 psiは今日一般的に使われる中で最も低いものの一つである。現代の標準では、.38スペシャルは中型の弾頭を比較的低速で発射する。もっとも似た弾薬は.380ACP弾で、これは.38スペシャルよりも少し軽い弾頭を少し高速で発射する。9x19mmパラベラム弾は、少し軽い弾頭をかなり高速で発射する。.38スーパー弾は、ほとんど同じ弾頭をかなり高速で発射する。これら三つは、普通はセミオートマチック・ピストルで使われる。

より高い圧力である20,000 psiの .38 +P ロードの初活力は、通常の圧力のロードに比べて20%ほど高く、.380ACPと9mmパラベラムの中間に位置しており、9x18mmマカロフ弾とほぼ同じである。

1972年、SAAMI(英語版)によって.38スペシャルの仕様が変更されたことに注意を払うのは重要である。それより前は、通常の.38スペシャルは現代の「+P」にとても近かった。「+P」は、実際には高い圧力の弾薬だが、.38 +P弾薬は低い圧力の弾薬にくらべて「高性能」であると誤解されやすいので、注意すべきである。

.38 の比較弾薬弾頭重量銃口初速初活力最大圧力
.38ショートコルト弾135 gr (8.7 g)777 ft/s (237 m/s)181 ft?lbf (245 J)7,500 CUP
.38ロングコルト弾150 gr (9.7 g)777 ft/s (237 m/s)201 ft?lbf (273 J)12,000 CUP
.38 S&W弾158 gr (10.2 g)767 ft/s (234 m/s)206 ft?lbf (279 J)14,500 PSI
.38 S&W スペシャル158 gr (10.2 g)940 ft/s (290 m/s)310 ft?lbf (420 J)17,000 PSI
.38 スペシャル +P158 gr (10.2 g)1,000 ft/s (300 m/s)351 ft?lbf (476 J)20,000 PSI
.38スペシャル +P+110 gr (7.1 g)1,100 ft/s (340 m/s)295 ft?lbf (400 J)>20,000 PSI
.380ACP弾100 gr (6.5 g)895 ft/s (273 m/s)178 ft?lbf (241 J)21,500 PSI
9x19mmパラベラム弾115 gr (7.5 g)1,300 ft/s (400 m/s)420 ft?lbf (570 J)39,200 PSI
9x19mmパラベラム弾124 gr (8.0 g)1,180 ft/s (360 m/s)383 ft?lbf (520 J)39,200 PSI
9x18mmマカロフ弾95 gr (6.2 g)1,050 ft/s (320 m/s)231 ft?lbf (313 J)23,206 PSI
.38スーパー弾130グレーン (8.4 g)1,275 ft/s (389 m/s)468 ft?lbf (634 J)36,500 PSI
.357マグナム弾158グレーン (10.2 g)1,349 ft/s (411 m/s)639 ft?lbf (866 J)35,000 PSI
.357 SIG弾125グレーン (8.1 g)1,350 ft/s (410 m/s)506 ft?lbf (686 J)40,000 PSI

上のすべての.38のロードと.357マグナムの諸元は、6-インチ (150 mm)銃身のリボルバーから発射した場合の値である。より一般的な4-インチ (100 mm)銃身を使った場合は、速度が低下する[26]。威力(初活力)も、もちろん、それに応じて低下する。

非常にわずかであるが、アメリカ合衆国の警察組織の一部には、今でも標準装備として.38スペシャル・リボルバーが支給あるいは認可されている。しかし、ほとんどの警察組織は、より装弾数が多く素早くリロードできる9mmパラベラム、.357 SIG、.40 S&W.45 ACP、あるいは.45 GAPなどのセミオートマチック・ピストルに交換している。様々な弾頭の.38スペシャル弾薬左から .44レミントン・マグナム, .357マグナム, .38スペシャル, 7.62x25 トカレフ, .45 Auto, 9x19 パラベラム。 .38スペシャルと.357マグナムの類似に注目。
ハンドロード

.38スペシャルはハンドロードでも特に人気がある。この弾薬のストレートな側面、リムの上からのヘッドスペース、発射済み薬莢の入手のしやすさ、それに.357マグナムの銃から発射可能であることなどが、人気を支えている。それに加えて、.38スペシャルは黒色火薬カートリッジだったので、薬莢が大きく、遅燃性(たとえばHodgdon H-110やHercules 2400)から速燃性(たとえば Alliant Bullseyeやこのカートリッジ用の伝統的な無煙火薬)まで、さまざまな種類の火薬をロードすることが出来る。この火薬に関する柔軟性は、そのままハンドロードの初活力の多様性に直結している。

したがって、適切な配慮をして安全なハンドロードの実行を守ることによって、.38スペシャルは、無反動に近いロードからほとんど.357マグナムに近いロードまで、さまざまなロードを簡単に作成することが出来る[27]。つまり、好みの威力を持つ実包を自分で作ってしまえるのである。
出典[脚注の使い方]^ “Federal Cartridge Co. ballistics page”. 2007年6月26日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2007年9月25日閲覧。
^ “SAAMI Pressures”. 2007年6月21日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2007年9月25日閲覧。
^ “SAAMI Pressures”. 2007年11月16日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2007年9月25日閲覧。
^ “ ⇒Load Data << Accurate Powders”. 2007年9月25日閲覧。
^ “Cartridge Loading Data - Hodgdon”. 2007年11月16日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。


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