.38スペシャル弾
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この項目では、弾薬について説明しています。バンドについては「38スペシャル」をご覧ください。

.38スペシャル弾
.38スペシャル弾薬
種類リボルバー
原開発国 アメリカ合衆国
製造の歴史
設計者スミス&ウェッソン
設計時期1898
特徴
元モデル.38ロングコルト弾
薬莢形状リムド、ストレート
弾丸径.357 in (9.1 mm)
首径.379 in (9.6 mm)
底面径.379 in (9.6 mm)
リム径.44 in (11 mm)
リム厚.058 in (1.5 mm)
薬莢長1.155 in (29.3 mm)
全長1.55 in (39 mm)
雷管のタイプスモール・ピストル
弾丸性能

弾頭重量/種類初速エネルギー
110 gr (7 g) JHP980 ft/s (300 m/s)235 ft?lbf (319 J)
130 gr (8 g) FMJ810 ft/s (250 m/s)189 ft?lbf (256 J)
148 gr (10 g) LWC690 ft/s (210 m/s)156 ft?lbf (212 J)
158 gr (10 g) LRN770 ft/s (230 m/s)208 ft?lbf (282 J)
200 gr (13 g) LRN679 ft/s (207 m/s)204 ft?lbf (277 J)

算出時の銃砲身の長さ: 4 in (vented)
出典: [1][2][3][4][5]

.38 スミス&ウエッソンスペシャル(.38スペシャル, .38 Spl あるいは .38Spc、英語の発音は "サーティーエイト スペシャル")は、スミス&ウェッソンによって設計されたリムドセンターファイア弾薬である。主にリボルバーに使われるが、自動拳銃カービンでも使われることがある。.38スペシャルは1920年代から1990年代初めまで、アメリカ合衆国のほとんどの警察組織で標準弾薬として採用されていた。また、第一次世界大戦では、兵士のサイドアームの一般的なカートリッジだった。メートル法では、9x29.5mmR[6]や9.1x29mmR[7]などと表記されることもある。

良好な精度と制御しやすい反動で評価されており、発表されてから一世紀以上もの間、世界中で最も人気のあるリボルバーカートリッジの座に留まっている[8]。標的射撃、フォーマルな射撃競技、護身用、スモール・ゲーム(小物)の狩猟などに使われている。
特徴

名称は.38スペシャルであるが、その口径は実際には.357から.358インチ(9.067 mm)であり、「.38」は薬莢のおおよその直径を表している。.38口径の元祖である.38ショートコルト弾薬は、.36口径のキャップ&ボール(つまり前装式)コルト・ネイビー・リボルバーの改造型で使うように設計されていたが、この拳銃のシリンダーの薬室の直径は、ほぼ0.374-インチ (9.5 mm)であり、薬莢と弾丸の露出部分の直径が同じ弾薬(en:heeled bullet)を使用していた(en:.38 Long Coltも参照)。

薬莢の長さを除いて、.38スペシャルの寸法は.38ロングコルト弾、および、.357マグナムと同じである。したがって、.38スペシャル弾は.357マグナム口径のリボルバーから安全に発射できるし、.38ロングコルト弾は.38スペシャル口径のリボルバーから発射できる。このことが、.38スペシャル弾薬の多用途性を高めている。しかし、長くてパワフルな.357マグナム弾は、仕様通り作られていて、マグナム弾の非常に高い圧力に耐えられない.38スペシャル(たとえばS&W M10のすべてのバージョン)には装填できず、発射もできない。
歴史S&W M1899 ハンド・エジェクター(ミリタリー&ポリス)のファースト・モデル。.38スペシャル弾用に開発された拳銃。

.38スペシャルは1898年に、.38ロングコルトの改良型として発表された。.38ロングコルトは軍制式弾薬だったが、米比戦争において、木製の盾を構えたモロ族の突撃に対して十分なストッピングパワーを発揮できないことが判明した[9]

最初は、.38スペシャルは黒色火薬を用いていたが、その人気によって、発表後一年以内に各メーカーが無煙火薬を使うものを提供するようになった[10]

1920年代後半、.38スペシャルの新しいスタンダード・チャージのロードが、ウェスタン・カートリッジ・カンパニー(英語版)によって開発された。この弾薬は重さ200グレーン (13 g)でラウンド・ノーズ(先端が丸い)の鉛の「Lubaloy」弾頭を用いていた。これが.38スーパー・ポリスである[11]。レミントン-ピーターズ(英語版)は、これに似たロードを発表した。試験の結果、この長くて重い200グレインの.38口径の弾頭を低速で発射すると、着弾したときに「キーホール」あるいは横転を起こす傾向があり、防護されていない人間に対して大きな衝撃を与えることがわかった[12]

同じころ、イギリス当局は同じ200グレインの弾頭を、.38 S&W弾薬よりも小さな薬莢に装着し、この弾薬を試験していた。これは後に.38レギュラー、あるいは、.38/200弾(英語版)として知られることになった。英国は後に.38/200を軍用標準拳銃弾として採用した[13]

1930年、スミス&ウェッソンは、元来は.44スペシャル弾のために設計された頑丈なNフレームを用いて、5インチ (130 mm)銃身と固定照準器を装備した.38スペシャル・リボルバーを警察向けに発表した。これがスミス&ウェッソン.38/44ヘビーデューティー(英語版)である[14][15]。翌年、158グレーン (10.2 g)メタル・チップ弾頭の.38スペシャル・ハイスピードと呼ばれる新しい高速のロードが、自動車の車体やボディー・アーマーを貫通できる拳銃弾を求める法執行機関の声に応えて、このリボルバー向けに開発された[16]

同じ年、コルト・ファイヤーアームズは、「ハイスピード」.38スペシャル・ロードを使うコルト・オフィシャルポリスを発表した[17]。.38/44ハイスピード弾薬には、三種類の重さの弾頭がある。158グレーン (10.2 g)、150グレーン (9.7 g)、および、110グレーン (7.1 g)であり、これらはコーティングされた鉛か、またはスチールジャケットの、金属を貫通する弾である[18]。.38/44はマスコミの注目を集め、これによってスミス&ウェッソンは最終的に、より長い薬莢の完全に新しい弾薬を、1934年に開発することになった。これが.357マグナムである。

第二次世界大戦中、アメリカ合衆国の航空機の乗員(主に海軍と海兵隊)の一部には、不時着したときのサイドアームとして、S&W ビクトリーモデルが支給されていた。1943年、ハーグ陸戦条約の地上戦に関する規定(1899年)に適合するように、銅で完全に被甲された158グレーン (10.2 g)の弾頭をもつ新しい.38スペシャル弾薬が、スミス&ウェッソンのリボルバーのためにスプリングフィールド造兵廠で開発され、採用された[19]。新しい軍用.38弾薬は、158グレインの弾頭をリボルバーの4-インチ (100 mm)銃身から通常850 ft/s (260 m/s)で発射する[19]。この戦争中、多くのアメリカ海軍および海兵隊の航空機の乗員には、先端が赤く塗られた120グレーン (7.8 g)または158グレーン (10.2 g)の弾頭をもつ.38スペシャルの曳光弾(トレーサー)が、緊急時に信号として使うために支給された[19]

1956年、アメリカ合衆国空軍は、Cartridge, Caliber .38, Ball M41(カートリッジ、口径.38、ボール M41)を、地上戦に関する規定を満たすように設計された.38スペシャル弾薬の軍用のバリエーションとして採用した。オリジナルの.38 M41ボール弾薬は130グレーン (8.4 g)のフルメタルジャケット弾頭で、平均圧力が13,000psiに過ぎなかったので、4-インチ (100 mm)銃身からの銃口初速は約725 ft/s (221 m/s)だった[20][21]。この弾薬はS&W M12(英語版)とコルト・エアクルーマン・リボルバーの寿命を延ばすために開発された。これらのリボルバーはアルミ合金のシリンダーとフレームを持っており、通常の.38弾薬を発射すると応力によって亀裂が入りやすかった。1961年まで、M41 .38弾薬を少し改良したCartridge, Caliber .38 Ball, Special, M41(カートリッジ、口径.38スペシャル、ボール M41)が、アメリカ軍の.38口径の拳銃用に採用された[21]。この新しいM41スペシャル弾薬は130グレーン (8.4 g)のフルメタルジャケット弾頭を持ち、許容される最大の圧力は16,000 psiで、これによって速度は固定された6-インチ (150 mm)の試験用銃身からは約950 ft/s (290 m/s)、4-インチ (100 mm)リボルバー銃身からは約750 ft/s (230 m/s)となった[22][23]


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