.357マグナム弾
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また、正しいロード(140グレーン (9.1 g)以上の重さのホローポイント弾か、ソリッドなセミワッドカッター弾(英語版))を優秀な射手が注意深く用いれば、適切な距離では、鹿を倒すこともできる[14]。さらに、.357マグナムの100ヤード (91 m)の距離における速度は、もとの.38スペシャルの銃口の速度よりも速い。獲物に対するストッピング・パワーは.45ロング・コルト弾とほぼ同じだが、より平らな弾道を持っている。.357マグナムは非常に汎用性に富んだ弾薬で、護身、プリンキング(英語版)、狩猟、標的射撃などの分野で成功している[15]

.357マグナムのリボルバーは、.357マグナムより安価で、リコイル、銃声、およびマズルフラッシュ(英語版)が小さい.38スペシャル弾薬を発射できるという点で、非常に便利である。この特徴によって、.357マグナム・リボルバーは、通常の.357マグナムを撃ったことはないが、より威力が低い練習用の銃を購入したくはない初心者には、理想的な銃である。

.357マグナムは、西部開拓時代レバーアクション・ライフルのような短くて軽いライフルに使う「二つの用途(dual use)」の弾薬としても人気になった。ライフルの場合、.357マグナム弾は銃口初速1,800 ft/s (550 m/s)まで加速される[16]ので、.30カービン弾や.32-20ウィンチェスター弾よりもはるかに汎用性に富んでいる。1930年代、鋼板を入れたボディーアーマーに対して非常に有効であることが判明し、金属貫通弾はハイウェイ・パトロールなどの警察組織で一時流行した。.357マグナム・リボルバーは、警察用としては、ほとんどが現代の装弾数の多い自動拳銃に置き換えられたが、バックアップ用に、市民の護身や狩猟用に、また、野外活動家(outdoorsman)や警備員の間で、今でも非常に人気がある。

.357マグナム弾薬のいくつかについて、一般的な性能をあらわすパラメータのいくつかを下の表に示す。弾頭の重さは、110 - 180グレーン (7.1 - 11.7 g)が一般的である。125グレインの JHP(ジャケッテッド・ホロー・ポイント) は護身用に人気があり、それより重いものは狩猟によく用いられる[要出典]。用途とリスク評価に応じて、初活力は400から700 ft・lbf (540から950 J)、貫通力は9インチ (23 cm)から27インチ (69 cm)以上の弾薬が入手可能である。

メーカー弾薬弾頭重量速度エネルギーエキスパンション貫通力PC[17]TSC[17]
AmericanQuik-Shok JHP125グレーン (8.1 g)1,409 ft/s (429 m/s)551 ft?lbf (747 J)破片9.0インチ (23 cm)2.7 in3 (44.2 cm3)47.5 in3 (778 cm3)
ATOMIC AmmunitionBonded Match Hollow Point158グレーン (10.2 g)1,350 ft/s (410 m/s)640 ft?lbf (868 J)0.71インチ (18 mm)15インチ (38 cm)XX
Double TapGold Dot JHP125グレーン (8.1 g)1,600 ft/s (490 m/s)711 ft?lbf (964 J)0.69インチ (18 mm)12.75インチ (32.4 cm)4.8 in3 (78.7 cm3)69.3 in3 (1137 cm3) (概算)
FederalClassic JHP125グレーン (8.1 g)1,450 ft/s (440 m/s)584 ft?lbf (792 J)0.65インチ (17 mm)12.0インチ (30 cm)4.0 in3 (65.5 cm3)79.8 in3 (1300 cm3)
RemingtonGolden Saber JHP125グレーン (8.1 g)1,220 ft/s (370 m/s)413 ft?lbf (560 J)0.60インチ (15 mm)13.0インチ (33 cm)3.7 in3 (60.6 cm3)30.4 in3 (498 cm3)
RemingtonSemiwadcutter158グレーン (10.2 g)1,235 ft/s (376 m/s)535 ft?lbf (725 J)0.36インチ (9.1 mm)27.5インチ (70 cm)2.8 in3 (45.9 cm3)12.9 in3 (211 cm3)
WinchesterSilvertip JHP145グレーン (9.4 g)1,290 ft/s (390 m/s)536 ft?lbf (727 J)0.65インチ (17 mm)14.3インチ (36 cm)4.7 in3 (77.0 cm3)33.7 in3 (552 cm3)

注)エキスパンション ? (着弾して)拡がった弾頭の直径(バリスティック・ゼラチン) 貫通力 ? 貫通する深さ(バリスティック・ゼラチン) PC (permanent cavity volume) ? 永続的な空洞の容積(バリスティック・ゼラチン、FBI方式) TSC (temporary stretch cavity volume) ? 一時的な空洞の容積(バリスティック・ゼラチン)
比較コルト・パイソン8インチ (200 mm)銃身と6インチ (150 mm)銃身コルト "357" マグナム 1956年製造

.357マグナムの直接の競合相手は、自動拳銃用に設計された.38スーパー弾である。この二つの弾薬の弾道特性は非常に似ている。しかし、.357マグナムは通常はリボルバーの口径であり、リボルバーは通常の自動拳銃の銃身よりも長い銃身にすることができるので、そのようなリボルバーから発射された.357マグナム弾薬は、より良い性能を発揮することができる。

精度の面では、.357マグナム弾は精密射撃において、最低でも、その基準となる.38スペシャル・ワッドカッター(英語版)弾と同じ潜在能力を持っている。良い.357マグナム・リボルバーは、.38スペシャル・ワッドカッター弾を発射しても、良好な結果を得られる。このような精度と威力、それに、より安価で扱いやすい.38スペシャル弾薬を使える汎用性によって、.357マグナム・リボルバーは、20ヤード (18 m)の精密射撃から長距離のフォーリング・プレート(en:The Bianchi Cup#Factも参照)まで、様々な練習に使うのに非常に適している。また、ハンドロードにも適しており、これは経済的なのでよくおこなわれる。

これまで述べた通り、.357マグナムは.38スペシャルをもとに開発された。これが可能だったのは、.38スペシャルがもともと黒色火薬を使っていたので、同じ弾頭で同じ速度を発揮させるには、より効率的な無煙火薬の2倍から5倍が必要だったからである。つまり、.38スペシャルは薬莢が比較的大きかった。9x19mmパラベラム弾は、同じ年(1902年)に発表されたが、最初から無煙火薬を使い、高い圧力(最大39,200psi)[要出典]になるように設計されていた。したがって、.38スペシャルよりかなり大きなエネルギーを発揮するが、その反面、薬莢の容量は1/2以下しかない。ほとんどの9mmパラベラムの火薬は、弾頭の底面までいっぱいにロードされており、圧縮されているものさえある[要出典]。 多くの.38スペシャルは同じ火薬を使っており、同じような量がロードされているが、薬莢が大きいので、薬莢のほぼ半分にしかならない。速燃性の火薬を用いた標的射撃用のライト・ロードは、薬莢の1/8しかロードされていないこともある。遅燃性の火薬をいっぱいにロードすると、より大きな威力が得られるが、同時に圧力も高くなる。これは、古くて小さなフレームの.38スペシャル・リボルバーに対しては、かなり高すぎる。このような高圧と高威力に耐えられるように、より長い.357マグナム弾と、それを扱うためのより頑丈なリボルバーが、一緒に開発されたのである。
別名

.357 Mag

.357 S&W Magnum

9x33mmR (ヨーロッパ式)

関連項目

.357スーパーマグナム弾


.357レミントンマキシマム弾

.357SIG弾

S&W M27 - S&Wが.357マグナム弾と共に1935年に世に出した最初に.357マグナム弾を使った拳銃。

S&W M19

コルト・パイソン

スタームルガー・GP-100(英語版)


マグナム (実包)

拳銃弾一覧

出典^Handloads.com SAAMI pressure specs Archived 2007年06月21日, at WebCite
^Leverguns.com SAAMI pressures Archived 2007年11月16日, at WebCite
^Federal Cartridge Co. ballistics page Archived 2007年09月22日, at the Wayback Machine.
^ “DoubleTap Ammunition”. 2009年5月16日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2009年5月13日閲覧。
^ a b Sharpe, Phillip B. (1937). Complete Guide to Handloading. Funk & Wagnalls. pp. 405?406 
^ a b Metcalf,, Dick (February 2000). ⇒“The 20th Century's Top Handgun Cartridges”. Shooting Times. ⇒http://hunting.about.com/od/guns/l/aasthandguncara.htm
^ Barnes, Frank C. (2006) [1965]. Skinner, Stan. ed. Cartridges of the World (11th ed.). Iola, Wisconsin: Gun Digest Books. p. 299. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 0-89689-297-2 
^ Hawks, Chuck. “ ⇒The .357 Magnum” (英語). Reloading Information. Guns and Shooting Online. 2019年1月2日閲覧。
^ Marshall EP and Sanow EJ: Stopping Power. Paladin,Boulder, CO, 2001. ISBN 978-1-58160-128-2


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