.338ラプア・マグナム
.338ラプア・マグナムと.338ノルマ・マグナム
弾頭重量/種類初速エネルギー
12.96 g (200 gr) SP1,005 m/s (3,300 ft/s)6,734 J (4,967 ft・lbf)
16.20 g (250 gr) Partition897 m/s (2,940 ft/s)6,516 J (4,806 ft・lbf)
16.20 g (250 gr) Lapua Scenar GB488 VLD910 m/s (3,000 ft/s)6,634 J (4,893 ft・lbf)
19.44 g (300 gr) Sierra HPBT MatchKing826 m/s (2,710 ft/s)6,632 J (4,892 ft・lbf)
19.44 g (300 gr) Lapua Scenar GB528 VLD837 m/s (2,750 ft/s)6,810 J (5,020 ft・lbf)
算出時の銃砲身の長さ: 700 mm (27.5 inches)
出典: Vihta Vuori Powder Lapua (700 mm; 27.5 inches) barrel[1][2][3]
.338ラプア・マグナム (英: .338 Lapua Magnum)はリムレスのボトルネック型センターファイア(英語版)式ライフル実包である。8.6×70mm あるいは 8.58×70mm としても知られている。軍の狙撃手が使用する強力な長距離用実包として1980年代に開発された。アフガニスタン紛争やイラク戦争で使用され、その結果としてこの実包は広い範囲で利用できるようになった。完成実包の径 (リム部分) は 14.93 mm (0.588 in)、全長は 93.5 mm (3.68 in) である。1,000メートル (1,090 yd) までの距離であれば高性能な軍用ボディー・アーマーを貫くことができ、最大有効射程は 1,750メートル (1,910 yd) である。銃身長、弾頭の挿入の深さ、火薬量に依存するが、16.2グラム (250 gr) 弾頭を使用した商用装弾の銃口初速は 880?915 m/s (2,890?3,000 ft/s) であり、これは銃口エネルギーに換算すると約 6,525 J (4,813 ft・lbf) である。
イギリス軍の支給品である.338ラプア・マグナムは、全長が 91.4 mm (3.60 in)で、16.2グラム (250 gr) LockBase B408 VLD 弾頭(英語版)を装着しており、その弾頭は長距離射撃用のL115A3 ライフルから銃口初速 936 m/s (3,071 ft/s) で発射される。2009年の11月にはイギリスの狙撃手である Corporal of Hors(英語版) (CoH) の Craig Harrison(英語版) が、これを使用して戦闘中に狙撃殺害最長記録(英語版) を 2,475 m (2,707 yd) に更新した[4][5]。
軍事的な用途の他に、ハンター(英語版)や民間の長距離射撃愛好家が使用することも多くなってきている。.338ラプア・マグナムはあらゆる獲物を仕留めることができるが、より大きい"バックアップ"用の口径を伴わない限りは一部のデンジャラス・ゲーム(アフリカスイギュウ、カバ、シロサイ、ゾウ)に対して適しているかどうかは議論の余地がある。ゾウを殺すための口径とゾウを止めるのに信頼できる口径との間には非常に大きい差がある[6]。ナミビアでは、 5,400 J (3,983 ft・lbf) 以上の銃口エネルギーがあれば、アフリカ5大ゲームのハンティングにおける.338ラプア・マグナムの使用は合法である[7]。 1983年、アメリカの Research Armament Industries (RAI) は、1,000 m (1,094 yd) 地点において5層の軍用ボディー・アーマーを貫通し致命傷を与えることのできる、重量 16.2グラム (250 gr)、径 0.338インチ (8.6 mm) の弾頭を初速 914 m/s (3,000 ft/s) で発射する能力を持つ新しい長距離射撃用実包の開発に着手した。予備実験のあと、.416リグビー
目次
1 歴史
1.1 開発初期
1.2 開発最終期
1.3 法執行機関と軍事組織での利用
2 寸法
3 超音速限界距離
3.1 C.I.P 準拠実包の性能
3.2 非 C.I.P 準拠実包の性能改良実験
4 親薬きょうとして
4.1 .300ラプア・マグナム
4.2 7.62mm UKM
4.3 ワイルドキャット
5 脚注
5.1 注釈
5.2 出典
6 関連項目
7 外部リンク
歴史
開発初期
.416リグビーは 325 MPa (47,137 psi) の圧力に対応できるように設計されたイギリスのビッグ・ゲーム用実包である。現代の無煙火薬の代わりにコルダイトの燃焼を想定したこれら古い実包の薬きょうの欠点のひとつは、ウェブ直前の側壁の厚さである。燃焼の間、実包のベースはボルト・フェイスに向かって前進するが保持されていない。
開発過程においては、RAI がイリノイ州ベンセンビルの Brass Extrusion Labs Ltd. (BELL) に発注し.338/416 または 8.58×71mm 実包の薬きょうを作成、ホーナディが弾頭を作成、RAI がアメリカ海軍と契約した狙撃銃を製造を行った。しかし、RAI は BELL の薬きょうが必要要件を満足しないことに気づき、軍の納期が迫った RAI は他の薬きょう製造業者を探し1984年にフィンランドのラプアに連絡をとった[9]。その後、財政難から RAI はこの計画から抜けることとなった[10]。.338/416 ライフル計画は、過度の圧力による薬きょうの断裂によって、請け負った業者がプロジェクトの目標速度である 16.2 g (250 gr) 弾頭で 914 m/s (3,000 ft/s) を達成する実包を作れなかったため、後に中止された。 現在の.308ラプア・マグナム実包は、フィンランドの装弾メーカーであるラプア (正式には1998年から Nordic Ammunition Group (Nammo)
開発最終期
ラプアは .338/416 実包を再設計することとした。この新しい設計においては、薬きょうのウェブとウェブ直後の側面を厚くすることと冶金的に強化することが重視された。現代のソリッド・ヘッド薬きょうでは、薬きょうの硬さが塑性変形を受ける前の最大圧力限界を決定する主な要因となる。ラプアは、強化された(より厚い)薬きょうのウェブとウェブ直後の側壁だけでなく、ヘッドとウェブ(硬い)からマウス(柔らかい)までの硬度分布を作ることによってこの問題に立ち向かった。これにより非常に耐圧性の高い薬きょうとなり、高い圧力を使用できるようになって元の目標速度の 15 m/s (50 ft/s) 以内まで迫った。同様にラプアは 16.2グラム (250 gr) の.338口径 Lock Base B408 フルメタルジャケット弾も設計しており、これは.30口径の Lock Base 弾頭の形状をモデルとしている。その結果、1989年に.338ラプア・マグナム実包は C.I.P.(英語版) (Commission Internationale Permanente pour l'Epreuve des Armes a Feu Portatives) に登録された。また、オランダ軍が調達したことによって NATO で成文化された。
.338ラプア・マグナムは 7.62×51mm NATO のような標準的な軍用装弾と.50 BMG 実包を発射する大型の重量のあるライフルとの間のギャップを埋めるものである[13]。また銃身の摩耗が激しく、これは訓練で年間に数千発撃つような軍の狙撃兵にとっては重要なことである[注釈 1]。すべてのほかの同等なマグナム・ライフル実包と同様に.338ラプア・マグナムのリコイル(英語版)は強力である[14]。