龍樹
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人物同一性
錬金術師

インドでは仏教の僧であるよりも錬金術師・占星術師として有名で著作伝説があるが、これはこの項で触れている龍樹よりもはるか後代に出現した同名の錬金術師と混同されているためである。

『ラサ?ウパニシャッド』 - ナーガールジュナ作の錬金術の方法が記述されている。

『ラサ・ラトナーカラ』、玄奘『大唐西域記』 - ナーガールジュナとサーリヴァハーナ王(引正王)の対話(不老長寿の霊薬など)。

『ラサラトナ?サムッチャヤ』(水銀の宝の集成) - 水銀学の27人の学者のなかでナーガールジュナをあげる。

密教の祖
新龍樹

大正時代の河口慧海寺本婉雅は、『八十四成就者伝』の龍樹伝が特異であることから、それに書かれた龍樹は、本来の龍樹の没後(寺本によると6世紀)の同名異人であるとした。この説では、本来の龍樹を「古龍樹 (N?g?rjuna I)」、『八十四成就者伝』の龍樹を「新龍樹 (N?g?rjuna II)」と呼び分ける。

河口は、密教経典のうち『無上瑜伽タントラ』(左道密教)が新龍樹の著作であるとしたが、これには、古龍樹の著に基づく真言密教の正当性を主張するという背景があった。

一方、寺本は、龍樹に帰せられていた密教経典の全てが新龍樹の著作であり、古龍樹は密教とは無関係であるとした。すなわち、古龍樹が中観の祖、新龍樹が密教の祖である[19]

この説に対し羽溪了諦は、2人の龍樹の伝記の骨子

南インドバラモン出身

ナーランダーで出家

南インド王に長生薬を授けた

弟子に龍智

は共通であることから、これらは同一人物の伝記であり、『八十四成就者伝』が異なる部分は密教の影響による潤色であるとした。また、栂尾祥雲は『八十四成就者伝』の史料的価値を否定した。
龍猛

寺本は、新古2人の龍樹に加え、古龍樹の弟子の龍猛 (N?g?hvaya) がいたとした。龍猛は浄土教の祖であり、『入楞伽経』に記された龍樹の授記は龍猛のものであるとした[19]

現在、龍猛が別人とされるときは、密教の業績が帰せられることが多い。この点では、寺本説の龍猛ではなくむしろ新龍樹に対応する(ただし龍猛と新龍樹は別の史料に基づく人物像である)。
中村元による分類

中村元は、ナーガールジュナに帰せられる多数の著作が全て同一人によって書かれたかどうかは、大いに論議のあるところであるとしており、複数のナーガールジュナの存在も考えられるとしている[20]。中村は、以下の6人のうちの5および6は、1とは大分色彩を異にしているので別人ではないかと思われると述べている[20]
中論』などの思想を展開させた著者

仏教百科事典と呼ぶにふさわしい『大智度論』の著者

華厳経』十地品の註釈書『十住毘婆沙論』の著者

現実的問題を扱った『宝行王正論』などの著者

真言密教の学者としてのナーガールジュナ

化学(錬金術)の学者としてのナーガールジュナ

著作.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキソースに『十住毘婆沙論』の原文があります。ウィキソースに『十住毘婆沙論』「易行品」の原文があります。

中論 (M?dhyamaka K?rik?) うち「頌」 - 説一切有部を代表とする実在論を否定し、世俗においては、すべてのものは実体として認識することはできず、単に言葉によって施説されたものであると説く(「有」または「無」または「有無」または「非有非無」)。勝義においては、それらすべての言語活動すら止滅する(「有」または「無」または「有無」または「非有非無」において、その全ての否定)。この主張を受け継いだのが中観派である。

廻諍論(えじょうろん、Vigrahavy?vartan?)

空七十論 (??nyat?saptati)

ヴァイダリヤ・スートラ (Vaidalya-s?tra)

ヴァイダリヤ論 (Vaidalya-prakara?a) - 「ヴァイダリヤ・スートラ」に対する自注。


十二門論 - 真偽問題が未解決。

大智度論 - 真偽問題が未解決。『二万五千頌般若経』系統の般若経典に対する百巻に及ぶ注釈書である。

十住毘婆沙論 - 真偽問題が未解決。大乗菩薩の階位について論述している。なおこれに含まれる「易行品」は、浄土真宗において称名による住不退転の根拠とされ、聖典とされている。

宝行王正論 (Ratn?val?)

脚注[脚注の使い方]
注釈^ ナーガールジュナ…ナーガは、蛇(蛇神転じて龍)、アルジュナインド神話の『マハーバーラタ』に登場する武将から(英雄の意味もある)。
^ なお、不空訳の『三十七尊出生義』では龍樹は数百年生きたとされる[3]
^ ただし一説にこれは龍猛の出身地であり龍樹の出身地は不明[13]

出典^ 「ふほうのはっそ【付法の八祖】」 - 大辞林 第三版
^ 「龍樹」 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
^ a b 「龍猛」(小野塚幾澄) - 日本大百科全書(ニッポニカ)


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