あえてモノクロフィルムで撮影を行い、重松の被爆シーン、炸裂する原子爆弾、立ち上るキノコ雲、爆心地に転がる黒焦げの焼死体などを特撮を駆使し、再現している。原爆投下後の広島の惨状は、同じく広島原爆をテーマに制作されたアニメ映画『はだしのゲン』での描写を参考にしている。 劇場公開版やビデオ版では、トラックで矢須子が病院に運ばれる様子を重松が眺める場面でエンドロールとなるが、DVDのデジタルニューマスター版では、矢須子が生き延びて原爆投下から20年後に四国の霊場をヤケドの四十男と共に巡礼として歩く、原作には無いエピソードが19分のカラー映像として描かれている。これは今村監督が当初付け加える予定で撮影したが、迷いに迷った末に完成した作品から削除したものである。その未公開カラー部分は、神が人間を見守るような視線で主人公と戦後の日本人を描いている[要出典]。 庄吉役の小沢昭一は、この映画の撮影時に転落事故を起こして左手手首を骨折した。そのため、映画では原作には無い設定(庄吉は原爆投下の際、腕に大怪我を負ってしまい、それを隠すために包帯を巻いている)が加えられた。小沢は最初から最後まで、左手にギプスをはめた状態で演技をしている。 当初の予定を変更して原作通りの追加撮影をすることになったため、製作費が逼迫してしまった影響からメインスタッフの技師らはノーギャラを宣告されてしまう。スタッフらは「餅代くらいは出すから」と言うプロデューサーの言葉をシャレや冗談だと思っていたが、後日、プロデューサーは本当に市販されている真空パックの切り餅を1個ずつ配った。
未公開シーン
逸話
伝説
受賞歴
第13回日本アカデミー賞(1990年)
最優秀作品賞
最優秀監督賞(今村昌平)
最優秀脚本賞(石堂淑朗・今村昌平)
最優秀主演女優賞(田中好子)
最優秀助演女優賞(市原悦子)
最優秀音楽賞(武満徹)
最優秀撮影賞(川又昂)
最優秀照明賞(岩木保夫)
最優秀編集賞(岡安肇)
優秀美術賞(稲垣尚夫)
優秀録音賞(紅谷愃一)
第42回カンヌ国際映画祭(1989年)
コンペティション部門上映
フランス映画高等技術委員会賞[1]
報知映画賞(第14回・1989年)
主演女優賞(田中好子)
毎日映画コンクール(第44回・1989年)
日本映画大賞
女優主演賞(田中好子)
美術賞(稲垣尚夫)
日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(第2回・1989年)
作品賞
監督賞(今村昌平)
高崎映画祭(第4回)
最優秀作品賞
最優秀監督賞(今村昌平)
主演女優賞(田中好子)
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 同じく1989年に公開された同名映画『ブラック・レイン』は、大阪を舞台にしたアメリカ合衆国の映画(松田優作の遺作)である。
^ 映画では蒸気機関車がけん引する客車に乗り込むが、原作小説では「電車」と記述されている。実際、可部線は、1936年(昭和11年)に国有化される前から電化されていた。ここでは、映画での描写に合わせている。
^ 具体的には黒い雨に打たれたことと、原爆投下直後の広島市内を歩いたこと。
^ 鯉が一度だけ跳ねるのは重松も見ているが、矢須子にだけ鯉が数回跳ね続ける幻覚が見えている。
^ 戦時中、爆弾を仕掛けるために車体の下に潜り込んだが頭上を通る戦車の轟音がトラウマとなり、似たようなエンジン音を聞くと当時のことが蘇り、無意識に体が動いてしまう。
出典^ “1989年 第42回 カンヌ国際映画祭
外部リンク
黒い雨 - allcinema
⇒黒い雨 - KINENOTE
Black Rain
Kuroi ame
表
話