黄色
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カリヤス(刈安)はイネ科の植物である。灰汁を媒染剤に用いる。
ウコン

ウコン鬱金)はショウガ科の植物である。地下茎を黄金色の染料として用いる。媒染剤不要の直接染料。香辛料・食品用の天然着色料としても用いられる。
オウレン

オウレンキンポウゲ科の植物である。根を黄色の染料として用いる。媒染剤不要の直接染料。
クチナシ

クチナシアカネ科の植物である。果実を黄色の染料として用いる。媒染剤不要の直接染料。食品用の天然着色料としても用いられるが、天然着色料として用いる場合は黄色から緑、にかけての幅広い色調をカヴァーする。
ズミ

ズミバラ科の植物である。樹皮を黄色の染料として用いる。ミョウバンを媒染剤に用いる。煎餅の着色にも用いられる。
ハイノキ

ハイノキハイノキ科の植物である。葉を黄色の染料として用いる。灰汁を媒染剤に用いる。
メギ

メギメギ科の植物である。樹皮を黄色の染料として用いる。媒染剤不要の直接染料。
黄色合成染料

黄色の染料のうち石油から化学的に合成されたもの。代表的なものとしてアゾ系の黄色染料やピラゾロン系の黄色染料が挙げられる。なお黄色合成染料はレーキ化することによって黄色の有機顔料としても用いられる。レーキ型アゾ系黄色顔料やレーキ型ピラゾロン系黄色顔料はアゾ系黄色染料やピラゾロン系黄色染料をレーキ化して顔料としたものである。
黄色有機顔料

一般工業製品や学校で使われる絵具などには、しばしば毒性の少ない有機顔料が使用される。但し一般印刷に使用されている安価な製品は安価な赤色色素と同様紫外線に弱く、数箇月程屋外に掲示されたポスターなどはマゼンタやイエローが退色し、青く見える。なお、レーキ型の有機顔料は、水溶性を有する有色物質を電離させ、担体としての金属イオンと電気的に結合させたものである。
アゾアゾ基

アゾ顔料はアゾ基を有する化合物で、顔料としては顔料色素型とレーキ顔料型がある。ただし高分子化するにつれ耐溶剤性は高まる。レーキ顔料型は鮮明な色相を有し耐溶剤性も有する。一般印刷用インキや塗料、安価な絵具等に使われている。
モノアゾ

黄色のモノアゾ (monoazo) 顔料の種類は多いが概して耐溶剤性に劣る。Color Index には Colour Index Generic Name、Pigment Yellow 1、Pigment Yellow 3、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow 65、Pigment Yellow 111等が記載されている[3]。Pigment Yellow 3は有機顔料としてはかなり以前に開発された顔料であるが、緑味黄を呈する比較的不透明な黄色顔料で、その色相やコストパフォーマンスから重要な顔料である。Pigment Yellow 65は日本では、Pigment Yellow 83によって駆逐された傾向を見出せる顔料であるが、世界的には依然として重要な顔料である。アリライドイエロー (arylide yellow) とも言う。
ジスアゾ

ジスアゾ (disazo) 顔料も種類が多い。モノアゾ顔料と比較して着色力が強く、耐溶剤性も高い。Color Index には Colour Index Generic Name、Pigment Yellow 81、Pigment Yellow 83等が記載されている[3]。ジアリライドイエロー (diarylide yellow) とも言う。
縮合ジスアゾ

縮合ジスアゾ (condensed disazo) 顔料は従来の不溶性アゾ顔料に比べ、耐光性、耐溶剤性などが高いが、生産コストも高い。ジスアゾ縮合とも呼ばれる。具体的には、Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166がある[3]。Pigment Yellow 94は生産終了。

Pigment Yellow 128は、現行最も緑味の縮合ジスアゾ顔料で、インクジェットインキ等にも使用される実績のある、透明性が高い割に鮮明な顔料である。

Pigment Yellow 155は、Pigment Yellow 17に近い色相を具えた鮮明な黄色顔料である。耐久性が高く塗料、インキ、プラスチックなど様々な分野で使用されている重要な顔料で、色相や物性の異なる様々な製品が流通している。塗料分野では高い隠蔽性を具えた製品が使用されていて、耐候性はかなり優れている。印刷インキ用としては、透明タイプも隠蔽タイプも使用されているが、透明タイプは流動性に難がある。単にジスアゾ顔料にも分類されることもある。
ピラゾロン

ピラゾロン系黄は赤味の強い黄色系統の顔料である。Colour Index Generic Name、Pigment Orange 13、Colour Index Generic Name、Pigment Orange 34 がよく使用される[4]。レーキ型ピラゾロン系黄色顔料として、タートラジンイエローがある。色合いは美しいが耐光性に難がある。そのため、あまり普及していない。
ベンツイミダゾロン

ベンツイミダゾロン (benzimidazolon) 顔料は近年重要性が高まっているアゾ顔料で、その中でも特に重要なのはベンツイミダゾロン系モノアゾ (benzimidazole monoazo) である。具体的にはPigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 175 等がある[3]。ベンツイミダゾロン顔料の内で赤味のものは橙色を示すが、それ程優れた顔料ではない。具体的にはPigment Orange 36、Pigment Orange 72がある[4]
キノキサリンキノキサリン

キノキサリン顔料としては、Pigment Yellow 213がある。Pigment Yellow 175のベンツイミダゾロン基をキノキサリンジオン基に置換した構造である。つまり、Pigment Yellow 175に炭素原子1個、酸素原子1個が追加された分子構造のモノアゾ顔料である。分子式は、C22H19N5O8で、分子量は約481 g/mol。色相はPigment Yellow 175より赤味で、Pigment Yellow 154より緑味であり、幾分緑味の黄色を呈する顔料である。濃色ではPigment Yellow 154よりも不透明で、淡色では着色力の強さが際立つ。耐久性に関しては、全面的にPigment Yellow 154と同等以上で、Pigment Yellow 154の弱点である耐溶剤性と耐オーバーラッカー性を格段に向上させている。現在はまだ黄色顔料としては高価である。N-メチルピロリドン中で加熱して製造される[5]
アゾメチンイミン(シッフ塩基)「シッフ塩基」も参照

アゾメチン顔料は、シッフ塩基そのもの、或いは、シッフ塩基の一部を置換した構造、特にイミンを分子構造中に有する顔料。
金属錯体顔料「錯体」も参照バルビツール酸ニトロソ基

金属錯体顔料は、高い透明性と濃色と淡色の色差が特徴であるが、彩度の低さなどから市場性が限定的であり、比較的短期間で生産が終了したものもある。

具体的にはPigment Yellow 117、Pigment Yellow 129、Pigment Yellow 150、Pigment Yellow 153がカラーインデックスに記載されている[3]

Pigment Yellow 117とPigment Yellow 129は濃色ではいわゆるオリーブ色で、淡色は緑味黄である。Pigment Yellow 129は、Pigment Yellow 117に類似した構造の顔料で、Pigment Yellow 117よりは幾分鮮やかである。Pigment Yellow 117はBASFの製品であったが生産終了。

Pigment Yellow 150は濃色では低彩度で低明度の赤味黄であり、淡色は不鮮明な中黄である。チタン白との併用で「レモンイエロー」になると表現されるが、実際にはレモンイエローと呼ぶには随分赤味であり、幾分宣伝的な表現である。Pigment Yellow 150は、2つのバルビツール酸の炭素と化合している水素原子2個をアゾ基で置換した構造、言い換えると、2つのバルビツール酸をアゾ基で架橋した構造のニッケル錯体顔料である。関連する合衆国特許は、United States Patent 3869439である。

Pigment Yellow 153は濃色ではやや暗い黄橙色を呈し、淡色は赤味黄である。濃淡に関わらず、発色が重くやや不透明で曇りがある。彩度は比較的高いが、多くのアゾ顔料程の明度の高さは無い。色相、粒度、外観性状、透明性など幾つもの理由から、プロセスカラーには適さない。ニッケル錯体顔料で、窒素原子と酸素原子が化合した箇所が多く、複数の構造式が知られている。構造中にニトロソ基を有する。
キノフタロン無水フタル酸

黄色顔料のキノフタロンイエローは 1968 年に開発された。無水フタル酸とキナルジンから合成される顔料で、フタロシアニン顔料に匹敵する高い堅牢性を具える。高価であるため、あまり普及していない。Colour Index には Colour Index Generic Name Pigment Yellow 138 が記載されている[3]
イソインドリノン「イソインドール」も参照イソインドール

イソインドリノン顔料は、イソインドールの五員環を構成する炭素と化合している水素1個を酸素で置換し、もう一方の水素を脱落させた構造として説明可能な、イソインドリノン骨格を有する顔料である。

具体的には、Pigment Yellow 109[3]、Pigment Yellow 110[3]、Pigment Yellow 173[3]、Pigment Orange 61[4] がある。


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