黄疸
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原因としては胆石胆道癌膵癌、閉塞性化膿性胆管炎、先天性奇形などである。血清生化学検査では直接ビリルビン値が高くなる。
肝内胆汁鬱滞性黄疸
原因としては原発性胆汁性胆管炎原発性硬化性胆管炎、新生児肝炎、劇症肝炎、薬剤性などがあげられる。これも直接ビリルビン値が高くなる。
肝細胞性黄疸
原因としては肝硬変肝炎があげられる。血清生化学検査では直接ビリルビン値が高くなる。
間接ビリルビン優位性黄疸
溶血性黄疸

溶血によって間接ビリルビン値が高くなる。
体質性黄疸
間接ビリルビン値が高くなる。下記参照。
新生児黄疸光線療法を受ける新生児詳細は「新生児黄疸」を参照

新生児においては生理的黄疸という言葉があるように、黄疸が出現しても正常な状態がある。これは新生児の生理学的な特徴から理解されている。胎児期は肝機能が未熟であるために胎児肝はほとんどグルクロン酸抱合を行わない。胎児期は胎盤で母体血に水に溶けない非抱合型ビリルビンを渡すことで高ビリルビン血症を防いでいる。出生後に起こるHbFの分解によるビリルビンの産出と肝臓の機能が未熟ということが重なって生理的黄疸が発生すると考えられている。新生児黄疸は新生児にみられる黄疸である。病態としては高ビリルビン血症による。ビリルビンには水に溶けず、寿命を迎えた赤血球(寿命約120日)が破壊されてアルブミンに乗って体循環を経る間接ビリルビンと、アルブミンに乗り体循環を経た間接ビリルビンが、肝細胞内でグルクロン酸抱合を受けて変化した水に溶ける直接ビリルビンの2つがある。新生児黄疸の分け方には、黄疸が見られる時期による分け方と、黄疸の病態による分け方がある。時期によって分けると、早発黄疸、生理的黄疸、遷延性黄疸、の3つに分けられる。病態によって分けると、高間接ビリルビン血症、高直接ビリルビン血症、の2つに分けられる。早発黄疸は生後24時間以内に見られる黄疸、生理的黄疸は生後2日?2週間程度に見られる黄疸、遷延性黄疸は生後2週間以上見られる黄疸である。

時期\病態間接(非抱合)型ビリルビン直接(抱合)型ビリルビン
早発母児間血液型不適合敗血症
遷延性母乳性黄疸新生児肝炎、先天性胆道閉鎖症

治療としては対症療法として、光線療法、血漿交換等がある。
光線療法
光線をあてて血中ビリルビンを分解する治療法である。光線によって尿からの排出を促進する。なお、この治療法は非抱合型ビリルビンを低下させる目的にしか使えず、抱合型ビリルビンが高いとブロンズベイビー症候群 (bronze baby syndrome) を起こすので禁忌となる。適応は総ビリルビン値が17を超えた場合に適応となる。
交換輸血
血中の抗体および、抗体と結合した赤血球を交換することによって根治的に重症黄疸(新生児溶血性疾患=母児間血液型不適合)を治療する。橈骨動脈に留置カテーテルを挿入しそこから瀉血して全血の2倍の交換血液を抹消静脈に注入し交換輸血を実施する。
血漿交換
核黄疸では総ビリルビン値が20を超えた場合に適応となる。
ガンマーグロブリン点滴療法
約30年も前からはじめられているこの治療法は交換輸血以上の効果があるにもかかわらず、やっと最近注目され、交換輸血の頻度は大幅に減少している。しかし、厚生労働省は、保険適応に承認していない。
体質性黄疸

非抱合型ビリルビンは肝細胞に取り込まれ、肝細胞内でグルクロン酸抱合を受け、肝内胆管に排泄される。その過程に必要な酵素が欠損した病気を体質性黄疸と言う。

障害工程病気
取込ジルベール症候群
抱合クリグラー・ナジャール症候群
排泄デュビン・ジョンソン症候群ローター症候群

ジルベール症候群
非抱合型ビリルビンの取り込みが障害されることで黄疸を呈する症候群の一つ。英名はGilbert's syndrome だが、日本ではフランスの消化器科医オーギュスタン・ニコラ・ジルベールらが報告したことから、Gilbert を英語読みのギルバートとは読まず、フランス語読みでジルベールと読む。ジルベール症候群は、成人で間接ビリルビン優位の黄疸を示す症候群なので、多くの疾患が含まれる。
クリグラー・ナジャール症候群(ウリジンジホスフェート・グルクロノシルトランスフェラーゼ欠損症、UDP-グルクロン酸転位酵素欠損症)
クリグラー・ナジャール症候群は、ウリジンジホスフェート・グルクロン酸転位酵素の欠損症。I型は完全欠損症であり重症で予後が悪い。II型は部分欠損症であり軽症で予後がよい。グルクロン酸抱合不全から間接ビリルビンが上昇して核黄疸を示す。
症状

一般に自覚症状が乏しい。診断学では黄疸はひとつの徴候としてとらえられている。

皮膚掻痒感(ひふそうようかん):皮膚の痒み。直接ビリルビン優位性の場合に見られる。

眼球結膜黄染眼球結膜黄染(がんきゅうけつまくおうせん)は、結膜が黄色くなること。血中ビリルビン濃度が3mg/dl以上になると出現する。

皮膚掻痒感に関しては若干の異論も存在する。ビリルビン以外の胆汁排出が正常である(肝、胆道系の酵素は上昇しない)体質性黄疸(の一部)では皮膚掻痒感が出現しないことが知られている。そのため、皮膚掻痒感は高ビリルビン血症の症状ではなく胆汁鬱滞の症状であると考える者もいる[誰?]。胆汁鬱滞とは胆汁が十二指腸に至らない病態である。胆汁鬱滞をおこせば通常は高ビリルビン血症をきたすが、高ビリルビン血症は胆汁鬱滞をおこすとは限らない。胆汁鬱滞の原因としては肝細胞の数や肝臓形態を含めた機能の異常や肝内、肝外を含めた胆道の閉塞が挙げられる。胆汁鬱滞では皮膚掻痒感からはじまり皮膚黄色腫、骨粗鬆症、血液凝固異常が生じる。臨床的には脂肪便や脂溶性ビタミンを中心とする吸収不全が有名である。

なお、体質性黄疸の例から皮膚掻痒感を起こす原因物質がビリルビンではないということはわかっているが、原因物質は同定されていない。

黄疸の終末像はBBBが未成熟な新生児なら核黄疸、成人の場合はビリルビンのミトコンドリアへの沈着による多臓器不全である。なお胆汁鬱滞の終末は感染症による敗血症や肝障害による肝不全である。
鑑別

柑皮症:柑皮症では眼球結膜黄染が弱い。

加齢に伴う眼球の黄染:加齢に伴う眼球の黄染は脂肪組織の沈着によるもので、中心部分に強い。

黄疸:比較的早くから、眼球結膜の周辺部に、黄染が生じる。

治療


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