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中華圏における麺詳細は「中国の麺類」を参照

後漢の『説文解字』には「麺」の本字である「麪(ミェン)」は麦の粉とある[19]の『広韻』も西晋の束ルの『麪賦』を引いて重羅の麺は埃のように細かく雪のように白い[20]と記し、「?」は同上としている。「?」は「麪」の音を表す部品「?」を同音の「面」に置き換えた異体字である。日本の餅とは違い、穀粉の生地をいう。『説文解字』に「餅(ビン)」は小麦をこねた食べ物とある[21]。加熱法で蒸餅、焼餅、油餅、湯餅に分類された。北魏の『斉民要術』には水引という、水中で餅を延ばして麺を作る方法の記述がある。時代に2年三毛作などにより小麦が大量に収穫できるようになり、宋 (王朝)時代には南北の食文化の複合がおきて現代の麺料理の原型が誕生した。宋・元時代の『居家必用事類全集』には14種類の麺料理の記述がある[22]

現代の中華人民共和国および中華圏でも、「麺(簡体字:面)」(ミェン)は小麦粉を指し、「麺食」と言えば、粉食全般を指す。これには、餃子(ぎょうざ)や中華まんなど饅頭点心も含んでいる。例えば、パンは「麺包」(ミェンパオ)であるが、ラーメンやうどんのような日本語で麺と呼ぶ長細い形状の食品は、「麺条」(繁体字:(?條、簡体字:面条。ミェンティアオ)と呼称する。一方で中国語では、蕎麦ビーフンなど小麦粉以外を使った物は本来「麺」として扱われず、米粉をこねて細長く加工したライスヌードルや、澱粉を使う春雨などは「粉」(フェン)と呼ばれ、区別される。
日本における麺素麺の乾麺

遣唐使唐菓子と果餅を持ち帰ったことが、日本での麺と菓子の始まりとされる。平安時代天皇勅使に「はくたく(??)」という平たい麺類が振舞われたという記録がある[23]。現在でははくたくうどんとも呼ばれ??#語源(ほうとう)のルーツである。

鎌倉時代から室町時代にかけては、留学僧によって宋の麺料理が伝来し、現代のそばうどんそうめん冷麦のもととなった。江戸時代までにこれらの麺料理は大衆料理として親しまれるようになっていった。明治時代に入り内外の往来が活発化するにつれ、うどん、そば、そうめん、冷麦といった伝統的な麺類のほか、中国の麺料理から派生したラーメン、ヨーロッパのパスタ類も一般化し、現代では様々な麺食品が愛好されている。それぞれの麺料理に関しても、にしんそば讃岐うどん、あるいはたらこスパゲッティをはじめとする独特の派生料理が登場している。また、揚げて保存性、加工性を持たせたインスタントラーメンが開発されて以来、うどん、そば、焼きそばについてもインスタント食品としての商品開発が進み、国内のみならず世界各国で一大市場を築いている。
イタリアにおける麺様々なロングパスタ詳細は「パスタ」および「スパゲッティ」を参照

イタリアにおいては「パスタ・アリメンターレ」などと称され、年間319万トンもの生産が行われ、1人あたり年間30キログラムの消費がなされる国民食とも呼べる加工食品である[24]。ギリシャから伝播した小麦(パン)とオリーブは紀元前には広く浸透し、古代ローマ時代には既にパスタが存在していたとされているが、ゲルマン民族の侵攻に伴うローマ帝国の滅亡とともに農業や食文化も破壊され、パスタは歴史の表舞台から姿を消してしまうこととなる[25]。13世紀から14世紀に入るとサリンベネの『年代記』や北イタリアを中心とした様々な地方のレシピ集などに少しずつパスタと思われる料理の料理法などが登場するようになり、祝祭や記念日などに食されるようになったと考えられている[26]都市国家として各地方が独特の文化を育んでいったイタリアは食文化も気候や風土によって色濃い特徴が出るようになると、16世紀半ばから17世紀にかけてジェノヴァナポリパレルモサヴォナローマなどの都市で相次いでパスタギルドが形成され、品質や規格、製造方法、価格、販路などが独自に規定され、都市ごとの独特の文化が醸成され、今日のイタリアパスタの多様性を生み出した[27]

19世紀末の統一国家の成立後、こうした「地方料理」であった様々なパスタを丹念に収集・分類したペッレグリーノ・アルトゥージは1891年に『イタリア料理大全(イタリア語版)』を上梓し、イタリア料理としてのパスタを確立させた[28]
性質茹で上がったうどん。モチモチとした食感が特徴である。

麺は主とする原材料に左右されるものの、基本的にデンプンタンパク質で構成されており、これらの成分の性質の違いが麺の食感や粘弾性に強く寄与する。
デンプンの性質
例えば小麦粉のデンプンの場合、グルコースアミロースアミロペクチンという2種類の分子構造から成っているが、これらは糊化(アルファ化)、老化(ベータ化)させた場合の性質が異なるため、アミロペクチンが多いデンプンほど、加工した時にモチモチした食感が期待でき、アミロースが多いデンプンほど、ドロっとした食感が期待できる[29]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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