鳥類
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古顎類 (Palaeognathae) は従来、胸骨竜骨突起を残すシギダチョウ類と、竜骨突起を喪失した飛べない平胸類(走鳥類〈ダチョウ類〉)に分けられてきたが、平胸類の単系統性が分子系統により否定された[43]白亜紀の鳥類ヴェガヴィス

新顎類 (Neognathae) はキジカモ類 (Galloanserae) と新鳥類[33][44] (Neoaves) に分けられる。キジカモ類にはカモ目カモ類ガン類ハクチョウ類サケビドリ類)とキジ目キジライチョウ類ツカツクリ類ホウカンチョウ科など)が含まれる。新顎類の多様化は、中生代のうちに起こっていたことが、白亜紀後期のカモ科ヴェガヴィス (Vegavis) の発見によって明らかになっている[45]。また、8500万年前のAustinornis lentus がキジ目に属するという説もある。

分岐の起こった年代についてはまだ盛んに議論されている。今鳥亜綱が白亜紀に進化したこと、他の新顎類からキジカモ類が分岐したのがK-T境界絶滅イベントの以前であることについては意見が一致しているが、キジカモ類以外の新顎類の適応放散も恐竜の絶滅以前だったのかどうかは異なる見解がある[46]。これは、適応放散の推定年代結果が手法によって異なるためである。化石記録では第三紀、DNA分岐年代推定は白亜紀の適応放散を示唆している[46][47]

既知の現生鳥類の種数はおよそ9700種以上[9]、9930種[48]から1万530種[7]となる。鳥類の現生種のうち、古顎類は0.5%、キジカモ類は4.5%を占めるにすぎず、新鳥類に種の95%が含まれる。

鳥類の分類は議論の絶えない分野である。鳥類の分類体系の中で最も古いものは、1676年の『鳥類学』Ornithologiaeにおいてフランシス・ウィラビイジョン・レイによって示されたものである[49][50]

カール・フォン・リンネは1758年に、現在に繋がる生物の分類体系を発表しているが、鳥類の分類はウィラビイとレイのものを元にしている[51]

シブリーアールキストの『シブリー・アールキスト鳥類分類』Phylogeny and Classification of Birds (1990) は、鳥類の分類における画期的な業績である[52]。この分類は、かつては目の位置づけが正確であることを示唆する証拠が多いと考えられていたが[53]、2000年代後半に明らかになった分子系統により、いくつかの目分類は大幅な修正を受けた。Neoaves の2つの姉妹群CoronavesとMetaves[54]

Ericson et al. (2006)[46]は、新鳥類 (Neoaves) が2つの姉妹群CoronavesとMetavesに分かれるとした。Hackett et al. (2008)[55]にも弱く支持されたが、異論もある[56]

以下の分類は国際鳥類学会 (IOC) に基づく。目和名は山崎・亀谷[57]に準拠。目レベルまでの系統は完全には解かれていないが、以下のような分類群が提案された(ただしlandbirds〈陸鳥〉は正式な分類群ではない)。

古顎類 Palaeognathaeシギダチョウ目 Tinamiformes、ダチョウ目 Struthioniformes、レア目 Rheiformes、ヒクイドリ目 Casuariiformes、キーウィ目 Apterygiformes
新顎類
Neognathaeキジカモ類
Galloanseraeキジ目 Galliformes、カモ目 Anseriformes
新鳥類[33][44]
Neoavesネッタイチョウ目 Phaethontiformes、サケイ目 Pteroclidiformes、クイナモドキ目 Mesitornithidae、ハト目 Columbiformes、ジャノメドリ目 Eurypygiformes、ツメバケイ目 Opisthocomiformes、ノガン目 Otidiformes、カッコウ目 Cuculiformes、ツル目 Gruiformes、エボシドリ目 Musophagiformes、チドリ目 Charadriiformes
 賛鳥類[44]
Mirandornithes[58]カイツブリ目 Podicipediformes、フラミンゴ目 Phoenicopteriformes
Strisores[56]ヨタカ目 Caprimulgiformes、アマツバメ目 Apodiformes
水禽類[44]
Aequornithes[56]アビ目 Gaviiformes、ペンギン目 Sphenisciformes、ミズナギドリ目 Procellariiformes、コウノトリ目 Ciconiiformes、ペリカン目 Pelecaniformes、カツオドリ目 Suliformes
Landbirds[46]ノガンモドキ目 Cariamiformes、タカ目 Accipitriformes、フクロウ目 Strigiformes、ネズミドリ目 Coliiformes、オオブッポウソウ目 Leptosomatiformes、キヌバネドリ目 Trogoniformes
 ゲラ・ブッポウソウ類[44]
Picocoraciae[56]サイチョウ目 Bucerotiformes、キツツキ目 Piciformes、ブッポウソウ目 Coraciiformes
真ハヤブサ形類[44]
Eufalconimorphae[59]ハヤブサ目 Falconiformes
 オウム・スズメ類[44]
Psittacopasserae[59]オウム目 Psittaciformes、スズメ目 Passeriformes

伝統的な目分類に対する修正により、上表はほぼ系統分類となっている。これらの修正は、初期の分子系統分類 シブリーら (1990) や、より新しい形態系統分類 Livezey & Zusi (2007) などと共通点は少ない[55]。有望なレトロポゾンによるものや[59]、近年の複数の研究 (Hackett, 2008[55]; Mayr 2011[56]) でも支持されている。

以下の系統樹は Braun & Kimball (2021)[60] に基づく。


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