鳥類
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ハト科、フラミンゴ目やペンギン目の鳥は、素嚢乳と呼ばれる栄養分を含んだ液体を分泌して、これを雛に与えるような適応を行っている[170]
渡り詳細は「渡り鳥」を参照

たくさんの種の鳥類が、季節ごとの気温の地域差を利用するために渡りをおこない、これによって食料供給や繁殖地の確保の最適化を図っている。これらの渡りの行動は、それぞれのグループによって異なっている。通常、天候条件とともに日長の変化をきっかけとして、多くの陸鳥、海鳥渉禽類および水鳥が毎年、長距離の渡りに乗り出して行く。これらの鳥類を特徴づけているのは、かれらが繁殖期を温暖な地域、ないしは北極または南極の極地方で過ごし、そうでない時期を熱帯地方か、あるいは反対の半球で過ごすことである。渡りに先立って、鳥たちは体脂肪と栄養の蓄積を大幅に増やし、また一部の体組織の大きさを縮小させる[85][171]。渡りは、特に食料補給なしに砂漠や大洋を横断する必要がある鳥たちにとって、多くのエネルギーを必要とする。陸棲の小鳥はおよそ2,500 km (1,600 mi) 前後の飛翔持続距離を持ち、シギ・チドリ類は4,000 km (2,500 mi)を飛ぶことができるとされ[172]オオソリハシシギは11,000 km (6,800 mi)の距離を飛び続ける能力がある[173][174][175]海鳥も長距離の渡りを行い、なかでも最も長距離の周期的な渡りを行うのがハイイロミズナギドリである。かれらはニュージーランドチリで営巣し、日本アラスカカリフォルニア沖の北太平洋で、餌を採って北半球の夏を過ごす。この季節的な周回移動は、総距離 64,000 km (39,800 mi) にもおよぶ[176][177]。このほかの海鳥では、繁殖期が過ぎると分散して広い範囲を移動するが、渡りのルートを持たない。南極海で営巣するアホウドリは、繁殖期と繁殖期の間に、しばしば極周回の移動を行っている[178]人工衛星によって追跡された、ニュージーランドから北へ向かうハイイロミズナギドリの渡りの経路。かれらは海鳥のなかで最長の10,200 km (6,300 mi)にもおよぶ、ノンストップの渡りを行う種として知られている。

悪天候を避けたり、食料を得たりするのに必要なだけの、より短い移動を行う鳥もいる。北方のアトリ類のような大発生する種は、そのようなグループのひとつであり、ある年にはある場所でごく普通に見られたものが、次の年には全くいなくなったりする。この種の渡りは、通常、食料入手の容易さに関連している[179]。高緯度地方にいた個体が、同種の鳥がすでにいる分布域に移動するように、分布域内でのさらに短距離の渡りをする種もいる。そしてほかのものは、個体群の一部分だけが移動する部分的な渡りを行う[180]。部分的な渡りは、地域によって、鳥類の渡り行動の大きなパーセンテージを占めることがある。オーストラリアでの調査によれば、非スズメ目の鳥でその44%が、またスズメ目の鳥でその32%が、部分的な渡りを行っていることがわかっている[181]。高さの移動は、短距離の渡りのひとつの形態で、繁殖期を高地で過ごし、準最適の条件下では、より高度の低い地域に移動するような鳥に見られる。この行動のきっかけは気温の変化であることが最も多く、通常の縄張りが、食料不足によって生息に適さなくなるときに起こるのが普通である[182]。また一部の種は放浪性である場合もあり、決まった縄張りを持たず、気候や食料の得やすさに応じて移動する。インコ科の大部分は渡りもしないが定住性でもなく、分散的か、突発的か、放浪性か、あるいは小規模で不規則な渡りをするか、そのいずれかとみなされている[183]

鳥類が、膨大な距離を超えて、正確な位置に戻ってくる能力を持っていることは以前から知られていた。1950年代に行われた実験では、ボストンで放されたマンクスミズナギドリは、13日後に5,150 km (3,200 mi) の距離を越えて、ウェールズ州スコーマー島(英語版)にあったもとの集団繁殖地(コロニー)に帰還した[184]。鳥は渡りの間、さまざまな方法を使って航行している。昼行性の渡り鳥の場合、日中の航行には太陽が用いられ、夜間は恒星がコンパスとして使用される。太陽を用いる鳥は、体内時計を利用して日中の太陽の移動を補正している[185]。恒星によるコンパスでは、その方向は、北極星を取り囲む星座の位置に依存している[186]。ある種の鳥たちは特殊な光受容体による地球の地磁気を検知する能力によってこれらの航法をバックアップしている[187]
コミュニケーション「鳥類の鳴き声(英語版)」および「鳴き声以外の発音(英語版)」も参照ジャノメドリの驚くべきディスプレイ。大型の捕食者に擬態している。

鳥類は、基本的に視覚的信号と聴覚信号を使ってコミュニケーションを行う。これらの信号は、異種の間(種間)の場合も、同一種内(種内)の場合もある。

鳥類は、ときには社会的な優位性を判断したり、主張するために羽衣を使用することがあり[188]、また、性淘汰の起こった種のなかでは、繁殖可能な状態にあることを示すために使われることもある。あるいはまた、ジャノメドリに見られるように、親鳥が幼い雛を守るため、大型捕食者の擬態をしてタカ類などを脅かし追い払うために羽衣が使われることもある[189]。羽衣のバリエーションはまた、特に異種間において、種の識別を可能にする。鳥類相互の視覚的コミュニケーションには、羽繕いや羽毛の位置の調整(整羽)、突つき、あるいは他のさまざまな行動のような、信号としてではない動作から発展したと考えられる、儀式化されたディスプレイが含まれる。これらのディスプレイは、攻撃ないし服従の信号である場合もあるし、またつがい(ペア)関係の形成に寄与する場合もある[90]。最も精巧なディスプレイは、求愛の際に行われる。このいわゆる“ダンス”は多くの場合、なし得るいくつもの動作を構成要素とする複雑な組み合わせによって構成されており[190]、雄の繁殖の成功は、そのようなディスプレイの出来栄えに左右されることもある[191]。.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}イエミソサザイ新北区北アメリカ)で一般的な鳴禽である、イエミソサザイのさえずりこの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。ミソサザイ旧北区に広く分布する、ミソサザイの特徴的なさえずりこの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

鳴管によって発せられる鳥類の地鳴きやさえずり(英語版)は、鳥類がによってコミュニケーションを行う際の主要な手段である。このコミュニケーションは、非常に複雑になる場合がある。なかには鳴管の両側をそれぞれ独立して機能させることができる種もあり、これによって2つの異なるさえずりを同時に発声することを可能にしている[98]

鳴き声はさまざまな目的に使用される。たとえばつがい相手の誘引や[192]、可能性のあるつがい相手の値踏み[193]、つがいの形成、縄張りの主張と維持[192]、他の個体の識別(たとえば親鳥が集団繁殖地(コロニー)で雛を探すとき、また繁殖期の初めにつがい相手が再会するとき)[194]、あるいは、捕食者らしきものの接近をほかの鳥へ警告したり、またときには脅威の性質に関する一定の情報である場合もある[195][196]


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