鳥類
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それでも現存する鳥類のすべての種が翼を持つが[6]、数百年前に絶滅してしまったモア類のように、完全に翼を失った例もある[13]。また鳥類は飛翔することに高度に適応した、独特な消化器呼吸器を持っている。また、ヒトとともに二足歩行ができる2大生物とも言える。

ある種の鳥類、とりわけカラス類オウム類は最も知能の高い動物種のひとつであり、多くの種において道具を加工して使用(英語版)することが観察されており、また、さまざまな社会的な種が、世代間の知識の文化的伝達を示している。

鳥類は北極から南極に至る地球上の広範囲の生態系に生息している。また、多くの種が毎年長距離の渡りを行い、さらに多くが不規則な短距離の移動を行っている。

鳥類は社会的(英語版)であり、視覚的な信号や、地鳴き (call)、さえずり (song) などの聴覚的な伝達行動を取り、そして協同繁殖(英語版)や捕食(狩り)行動、群れ形成 (flocking)、モビング(mobbing、偽攻撃、捕食者に対して群れをなして騒ぎ撃退する行動)などの社会的行動に加わる[14]。大多数の種は社会的に一夫一婦であり、この関係は通常1回の繁殖期ごととなる。なかには数年にわたるのもあるが、生涯続くものは稀である。一夫多妻(複数の雌)や、稀に一妻多夫(複数の雄)の繁殖システムを持つ種も存在する。卵は通常、巣に産卵され、親鳥によって抱卵(英語版)される。ほとんどの鳥類は孵化後、しばらく続けて親鳥が雛(ひな)の世話をする。

多くの種が経済的重要性を担っており、ほとんどは狩猟対象もしくは家禽であるが、なかにはペットとして、とりわけ鳴禽類オウム類のように人気のある種もある。それ以外にも、グアノ(鳥糞石)が肥料にするために採取される。鳥類は、宗教からポピュラー音楽の歌詞にいたるまで、人間のあらゆる文化面によく登場する。しかし、分かっているだけで約130種の鳥が、17世紀以降の人間の活動によって絶滅し[15][16]、さらにそれ以前には数百種以上が絶滅している。保全への取り組みが進められてはいるが、現在約1200種の鳥が、人的活動によって絶滅の危機に瀕している。
進化と分類詳細は「鳥類の起源」を参照詳細は「鳥類の進化(英語版)」を参照
恐竜類の進化ドロマエオサウルス科の恐竜デイノニクスオヴィラプトロサウルス類の恐竜ネメグトマイア

鳥類は、系統分類(英語版)では恐竜の一系統である獣脚類に分類される[17]。さらに獣脚類の中でも、ドロマエオサウルス科オヴィラプトロサウルス類を含む手盗類の仲間であるとされる[18][19]

現代古生物学における定説では、鳥類(鳥翼類)は、ドロマエオサウルス類やトロオドン類を含むデイノニコサウルス類 (Deinonychosauria) に最も近縁で[20]、これらは原鳥類 (Paraves) と呼ばれるグループを構成する。原鳥類の基部には、ドロマエオサウルス科ミクロラプトル(ミクロラプトル・グイ、Microraptor gui[21]など、滑空または飛行していた可能性があると形態から考えられている種が位置している。デイノニコサウルス類で最も基部のものは非常に小型であり、原鳥類の祖先が、樹上性(英語版)または滑空可能、あるいはその両方であった可能性を示唆している[22][23]。2014年には、獣脚類恐竜から鳥類への進化の詳細に関する研究が報告されている[10][11]

現生の動物で鳥に最も近縁な動物はワニである。ワニ、鳥、(鳥以外の)恐竜はいずれも主竜類に分類される。

鳥類の起源をめぐっては多くの論争があった。恐竜よりも原始的な主竜類から進化したのではないか、鳥盤類恐竜の方が近縁なのではないか、といったものである[24]。鳥盤類と現生鳥類は、骨盤の構造がよく似ているが、鳥類は竜盤類に属する獣脚類恐竜が起源であると考えられているので、鳥盤類と鳥類の類似性は無関係に進化したものとされる[25]。事実、鳥類に似た骨盤の構造は、特異な獣脚類として知られるテリジノサウルス科(英語版)において3度獲得されている。

一部の少数派の研究者は、鳥類が恐竜から進化したのではなく、ロンギスクアマのような初期の爬虫類から進化したと主張しており[26]、代表的な人物にノースカロライナ大学の鳥類古生物学者アラン・フェドゥーシアがいる。これを発展させて、「鳥類こそ恐竜の起源である」とする「恐竜鳥類起源説(BCF理論)」を唱える研究者もいたが、このような説にはほとんどの古生物学者が反対しており[27]、反論が多い。またこの説の根拠とされ、俗に「プロトアビス」と称された、最初期の恐竜に似たラウィスクス類の生物も、鳥はおろかマニラプトル類との直接の関係も全くなかったことが判明している。
鳥翼類の進化「化石鳥類の一覧」も参照鳥翼類始祖鳥鳥翼類アンキオルニス

鳥類 (Avis) は、古くは現在より広い意味で用いられていた。例えば、鳥類は現生鳥類と始祖鳥 (Archaeopteryx lithographica) の最も近い共通祖先の子孫のすべてと定義されていた[28]。この広義の定義では、始祖鳥は最も古い鳥類 (Avis) ということになる。

しかし、鳥類に近縁な非鳥類型獣脚類の化石が発見されるたびに、明瞭だった鳥類と非鳥類の区別が曖昧になった[29]。1990年代以降の中国東北部の遼寧省での発見によって、多くの小形獣脚類に羽毛があったことが明らかになったことがこれに拍車をかけた[30][31]

そこでジャック・ゴーティエは、鳥類 (Avis) を現生鳥類のみからなるクラウングループとして定義し直した。この定義は現在、多くの科学者に用いられている。この定義では鳥類 (Avis) と今鳥亜綱 (Neornithes) の範囲が一致する。

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鳥翼類

始祖鳥
Archaeopteryx

尾端骨類

孔子鳥
Confuciusornis


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