鳥取しゃんしゃん祭
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しゃんしゃん傘とすずっこ踊り傘の色にはそれぞれ意味がある

かつては様々な和傘が用いられており、それぞれの参加者の地元の傘店がつくる傘が用いられていた。なかでも鳥取県西部が特産の淀江傘は高価だが華やかな番傘として珍重されたという。しかしやがて和傘を製造する業者が減っていき、近年は統一されたものが使われるようになっている[18]

竹と和紙でつくられた傘には30から100個ほどの鈴と色とりどりの和紙の幣で飾られている。色にはそれぞれ意味があり、一番外側の紅白は「砂丘」、青は「日本海」、銀は「魚」、金は「賑わい」を表し、さらに赤と銀の組み合わせは祭りの華やかさや結束を表している。傘のてっぺんには雨乞いのための白和紙が立体的に取り付けられている[19]

近年使われている傘は長さ1.2m、傘の直径は0.8mと、伝統的な「因幡の傘踊り」のもの(長さ1.6m)より一回り小さく、扱いやすいものになっている。さらに子供用に、長さの短いものも製作されている。米子や鳥取市内では、竹や因州和紙などを材料に手作業でしゃんしゃん傘を製作している[19][18][20][21][22][23]

「因幡の傘踊り」以来の伝統的な踊りは和傘を用いるが、近年は和傘の入手が難しい上に、新たに始まった創作振り付けの際に動きの制約になってしまう。これらを解消し、祭りの参加者をさらに増やすために2006(平成18)年から新たに加わったのが「すずっこ」(すず心)と呼ばれる楽器である[注 1][19]。これは、「鳥取生まれの民族楽器[25]」とされており、幅の広いしゃもじの形をした朱色の板に黄色や青で模様を描き、大中小と3つの穴を穿ち、それぞれ3個、2個、1個の合計6個の鈴を取り付けたものである[25][19][27][29]。動かすとしゃんしゃん傘と同じように鈴が鳴り、掌に握って簡単に扱えるため踊りの自由度が高く、鮮やかなデザインが目を引くものである[19]。しゃんしゃん祭りだけでなく、ガイナーレ鳥取の応援イベントにも採り入れられている[29]
ギネス認定

2014(平成26)年は祭りが始まってから第50回となる節目の年であり、これを期して「世界記録」に挑むことになった。傘踊りの世界記録は、全員が同時に傘を使って5分間以上踊ることによって認定されており、従来はルーマニアでの1461人が世界記録だった[10]

記録挑戦は2014年8月14日に行われた。10名の証人が記録挑戦者を数え、県知事平井伸治や市長の深澤義彦も含めて「1729名」となった。「5分以上」を達成するために「きなんせ節」を2回続けて踊り、これを36名の監視員が審査した。その結果、踊りが揃っていないといった理由で41名が失格となったものの、1688名による踊りが成立したと認められ、「世界最大のアンブレラダンス」と認定された[10]

この年は一斉踊りの総参加者は4200名、来場者は推定21万人を記録した[10]
沿革



市制百年で導入のマンホールや消火栓のカラー蓋。


1961年 - 第1回鳥取祭が聖神社・大森神社の例祭と併せて開催される[14]

1964年 - 鳥取市庁舎新築に合わせて「きなんせ節」を振付する新作傘踊りを発表。イベントの名称を「しゃんしゃん祭」に決定する。

1965年(第1回) - 第1回しゃんしゃん祭が開催される[14]

1970年(第6回) - 「鳥取しゃんしゃん傘踊り」が踊り歌に追加[9]

1984年 - 100万円をかけて直径・長さとも3.2mとなる「日本一の大傘」を制作し鳥取駅に設置[14]

1989年 - 鳥取市制100周年事業として市内のマンホールの蓋を傘踊りの図案のカラー蓋に変更[14]

1991年 - 男はつらいよシリーズ」第44作『男はつらいよ 寅次郎の告白』のロケが行われる[14]

1996年 - 「鳥取しゃんしゃん傘踊り」を描いた80円切手が発行される[30]

2006年(第42回) - 「すずっこ踊り」が初めて披露される。

2010年(第46回) - しゃんしゃんウィークを設定する。

2014年(第50回) - ギネスブックにより世界最大の傘踊りとして認定[13]

2020年(第56回) - 新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、開催が中止される。開催中止は1965年の開始以来初めて[31]

2021年(第57回) - 新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、本祭(一斉傘踊り)のみ日程を10月31日に延期、会場を鳥取県立布勢総合運動公園(ヤマタスポーツパーク)陸上競技場に変更し、無観客開催となる。無観客開催は1965年の開始以来初めて[32]

2022年(第58回) - 8月13日に前夜祭を鳥取市民会館大ホールで、8月14日に本祭(一斉傘踊り)を鳥取県立布勢総合運動公園(ヤマタスポーツパーク)陸上競技場で開催し、有観客開催となる予定。有観客開催は2019年以来3年ぶりとなる予定[33]


2023年(第59回) - 新型コロナウィルス禍により2020年から中止されてきた第70回納涼市民花火大会が4年ぶりにプログラムとして行われることが決まっていたが、当初の開催予定日とした8月15日は台風7号接近の影響により、予備日の8月20日へ延期が決定[34]。しかし、台風7号により会場の千代川河川敷の増水が進み、土砂やゴミなどが堆積してしまい、衛生面的にも予備日までに復旧できる見込みが立たない[35]としてそれも中止となった。21日以降の再延期は当面なし[36]

祭りの運営

しゃんしゃん祭りを主に運営するのは「しゃんしゃん祭振興会」という。これは主に市民のボランティア、各踊り子連の代表者、協力企業等によって構成されている[37]
日程

しゃんしゃん祭りは8月中旬に行なわれる。祭りの期間中には千代川の河川敷での花火大会、「すずっこ踊り」などが行なわれる。最大の催しは「一斉踊り」で、鳥取市中心街の目抜き通りである若桜街道、智頭街道、片原通りで数千人による傘踊りが行われる[38]

日程はかつて8月15日・16日の2日間だったが[38]、2007(平成19)年に3日間に拡大[39]、2016(平成28)年にはプレイベントとしてさらに1日が追加され、延べ4日間の日程となっている[40]


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