鯨肉
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例えば、南極海のヒゲクジラ類については、採餌海域である南極海に回遊してきて間もない時期には痩せて脂肪の乗りが少なく、長期間滞在するうちに脂肪が豊富になるといわれる[注釈 5]。イルカについては日本では冬が旬といわれ、冬の季語ともなっている。
鯨肉の汚染問題詳細は「捕鯨問題#食の安全からみた鯨肉」を参照

生物濃縮により人体に有害な重金属ポリ塩化ビフェニル(PCB)類などがクジラの体内に蓄積されているので、鯨肉は汚染されているとの指摘があり、一部の国では妊婦に対して摂食制限が行われた。日本でも、水銀の含有濃度が高いハクジラ類については、キンメダイなど他の魚介類と並んで、妊婦を対象とした摂取量に関するガイドラインが定められた[29]。他方、ヒゲクジラ類については比較的有害物質の含有濃度は低く、特に南極海で捕獲されたものに関してはほとんど蓄積が無いことから、制限はない[注釈 6]。ハクジラ類についても、あくまで妊婦のみを対象とした一定量への制限に留まり、一般人の摂食については幼児や授乳中の母親なども含め問題ないとされている。なお、調査捕鯨副産物については調査の一環として試験が行われており、一定の安全基準を超えた個体は流通させない。
食用以外の鯨肉の利用

鯨肉は、食用以外の工業資源としても利用された。鯨由来物の工業資源としての利用としては鯨油が代表例ではあるが、鯨肉も例外ではない。(クジラ#鯨の利用も参照)

日本では鯨肥と呼ばれる肥料の原料として使用された。鯨肉・鯨骨・鯨皮などを煮て石などで粉砕したものであり、鰯肥などと同様の海産肥料として使われた。江戸時代から鯨油の絞り粕の再利用等として行われている。明治時代以降に近代捕鯨基地として使われた宮城県牡鹿町鮎川浜(現・石巻市)などでは、鯨肥生産が地場産業として栄えていた。鮎川浜の場合、食用に適さないマッコウクジラが対象鯨種であったことなどから食用とされた鯨肉はごく一部であり、余剰鯨肉が生じていた。これらは当初は海洋投棄されていたが、周辺海面を汚染するとして地元漁民の反発を受けたこともあって工業資源化され成功したものである。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 神道による稲作の神聖視から仏教の戒律を利用したという説がある。
^ イギリスの環境保護団体が日本で2003年に密輸鯨肉を発見したとIWCで報告した。しかし、その後のDNA調査で国内の合法捕獲製品と判明している。 ⇒[1]また、1999年に科学雑誌『ネイチャー』に大阪で販売された鯨肉からシロナガスクジラの遺伝子が検出された事で「日本でシロナガスクジラの肉が売られている」という論文が掲載された事がある、ナガスクジラ#交雑参照。
^ なお、捕鯨問題の一局面として考える際にも、資源管理に必要とされる系統群・地域系群などの違いによって議論の方向性が大きく異なるため、やはり「鯨肉」とまとめて扱うのは困難である。
^ 日本で捕獲されはじめたのは17世紀と見られるがナガスクジラなどと混同されていたようで、独立種として捕獲が記録されるのは1920年代であり、主にミンク船と通称される沿岸用の小型捕鯨船により捕獲されてきた。1950年代以降1987年までは、量に変動はあるものの年間200?500頭が捕獲されている。ただ、同時期の日本の捕鯨全体では、より大型の鯨が主たる捕獲対象種であった。1970年代になり大型鯨類の捕鯨が制限されるようになってから改めて着目され、南極海でも捕獲されるようになっている。(水産総合研究センター ⇒ミンククジラ オホーツク海―西太平洋
^ ヒゲクジラ類は一年のうち採食海域での3?5ヶ月に食事をして脂肪を溜め、他の期間は、ほぼ絶食状態になる為。
^ ハクジラ類は海洋の食物連鎖のほぼ末端に位置し、食物段階も高い為、高濃度の汚染物質が蓄積する。それに対しヒゲクジラ類はプランクトンや小魚を常食にする為に栄養段階が低く、汚染の影響を受けにくいため。

出典^ [食べなはれ関西]鯨料理「徳家」女将、大西睦子さん 1997.01.01 毎日新聞 大阪朝刊 11頁 特集 写図有 (全742字)
^ マッコウクジラ#脳油(鯨蝋)の捕鯨も参照
^ 「クジラの世界」イヴ・コア著、宮崎信之監修 創元社 1991年 85頁
^ “捕鯨の歴史|日本捕鯨協会”. www.whaling.jp. 2021年11月13日閲覧。
^ “日本が商業捕鯨を再開 IWCから脱退、規制受けず”. BBC. 2020年12月26日閲覧。
^ 高橋覚「捕鯨業で民衆を支えた醍醐新兵衛」『千葉史学』20号、1992年。 
^ 「陽の目を見た鯨肉」『日本経済新聞』昭和25年8月3日3面
^ 『南氷洋産鯨肉に関する研究報告 1950-51年度』、1951年、水産庁、p.20。(国会図書館蔵)
^ a b 週刊女性2017年10月17日号
^ 鯨肉給食復活、5千校超で実施小中学校の18%[2]
^ 2019年7月1日付読売新聞
^ “鯨肉生産量等の推移”. 水産庁. 2022年9月1日閲覧。
^ “平成29年度食料需給表”. 2019年4月11日閲覧。
^ 「新クジラ もうすぐ出回り」『日経MJ』2018年4月30日(フード面)
^ “「値ごろな鯨肉」のアテ外れ…再開3年目の商業捕鯨、生産量は4割減”. ライブドア. 2021年9月6日閲覧。
^ 「 ⇒鯨料理、時代がのむ 仙台の専門店が4月末閉店河北新報2010年3月13日
^ a b c Mジャーナル クジラ追って高知・室戸岬へ、クジラ専門店では冷凍“貯金”で調達 1992年06月06日 毎日新聞 大阪夕刊 11頁 社会 写図有 (全1,597字)
^ “https://mainichi.jp/articles/20201017/ddl/k12/100/086000c”. 毎日新聞. 2021年11月24日閲覧。
^ 2006年1月30日 - 産経新聞 「『クジラ』在庫 10 年間で倍増 調査捕鯨拡大で供給過多」、2月11日 - 朝日新聞 「鯨肉の在庫、調査捕鯨拡大で増加 水産庁が消費拡大に」、9月5日 - 読売新聞 「意外にダブつく『忘れられた味』 クジラ どんどん売り込め!」


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