鮫島事件
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この事件をジョークと定義する観点からは、鮫島事件とは「ウェブ上のハイパーリアリティ[注 1]の自走に自覚的な人たちが共犯となって、ハイパーリアリティを自分たちで構築していくゲーム」、「リテラシーを共有するためのネタ」、「互いのリテラシーを確認し合い、高め合うゲーム」であると定義される[1]。鮫島事件というジョークが定着した理由に、掲示板という顔の見えない文字だけのコミュニケーションであること、当時の2ちゃんねるは現在よりもアングラ色が強く[2]、更に当時の2ちゃんねるは洒落や酔狂を好む気風が強かったことや、テレホーダイを利用する深夜の利用者が多かったことも、怖い作り話を歓迎する背景に繋がったという意見もある[4]

関連して、2ちゃんねるの初代管理人である西村博之の言葉として、「嘘は嘘であると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」というものが知られている[7]。「鮫島事件」は実態不明・実在不明の事件であるにもかかわらず、その後も時折思い出したように言及され、「それだけはやばい」という反応が書き込まれる。このことは、2ちゃんねるに書き込まれた情報は、とりあえずは「嘘ではないか?」として疑いの思考を捨ててはならないことと、ことの真偽を読み手自身が検証しなければならないこと、そして、それが不可能な場合は、真偽の判断は保留したままで、ネタをネタとして楽しむこと、これらのいわゆる作法・ネチケットが求められているということを端的に示している。なお虚偽の情報が書き込まれることは2ちゃんねるに限らず、不特定多数が書き込むことができるウェブサイトにおいては(サイトの主旨にもよるが)普通に存在する、と、鮫島事件を虚であると定義した論説で引用されることがある[8]

なお発端となるスレッドが立ち[3]、数千もの発言が交わされてから数日後、ラウンジ板にはそのスレッドを立てた張本人を名乗る者が現れ[9]、鮫島事件について知っている口ぶりで、発端となるスレッドを立てた人物>>1と、同スレッドで鮫島事件について執拗に質問を繰り返すレス番号>>16が同一のID(識別子)であることを指摘し、これは自分が発想したジョークであり、序盤の>>1番から>>30番までの書き込みの多くは自分の自作自演であると説明している[9]
実在説の展開

発端となるスレッドを立てた張本人を名乗る者により、事件がジョークであると宣言された。しかしその後もこの事件の話は収束せず、鮫島事件は語り継がれ[10]、虚偽の情報が追加され続けている。
小説化

第6回メフィスト賞を受賞したミステリー作家の
積木鏡介が、作家の英語圏進出プロジェクト「The BBB」で都市伝説刑事シリーズを刊行。2016年8月に発売された『都市伝説刑事 事件4: 鮫島事件』[11]では、鮫島事件が扱われている。なお、本作は日本語版・英語版の電子書籍が発売されている。

映画化

映画制作会社
ジョリー・ロジャーは「鮫島事件」にまつわる恐怖を題材とした映画『2ちゃんねるの呪い 劇場版』を制作[12][4]2011年8月6日に公開した[13]。主演は「アイドリング!!!」の尾島知佳、監督は永江二朗。ジョリー・ロジャーはDVDで2ちゃんねるの怖いスレッドを題材にした『2ちゃんねるの呪い』シリーズをリリースしており、この中でも鮫島事件を題材にしている。

2011年、エミューエンタテイメントは鮫島事件を題材にした映画『鮫島事件』の制作を予定しており[14]出演者も募集していたが[15]、その後の動きはない。

2020年、『真・鮫島事件』のタイトルで映画化され11月27日に公開[16][17][18]。主演は武田玲奈。監督は永江二朗が『2ちゃんねるの呪い 劇場版』に続きメガホンを取る。

備考

1968年6月に日本経済新聞記者の鮫島敬治中国当局によってスパイ容疑で逮捕され、1年半に渡って拘留された事件は鮫島事件と呼称されている。日中記者交換協定参照。

「週刊将棋」(日本将棋連盟発行の週刊紙)連載の漫画『輪廻の香車(ヤリ)』(むらまつり誠画、亜木冬彦原作)中での棋士殺人事件の一つが「鮫島事件」と呼称されている。

脚注
注釈^ 現実の事件とは関係なく、あるいはオリジナルとなる事件そのものが存在していないにも関わらず、メディア上で実体に基づかないイメージが語られ暴走した結果、構築された現実感(リアリティ)。ジャン・ボードリヤール湾岸戦争の報道過熱を論じた際に用いた概念[6]

出典^ a b 荻上 2007, pp. 208?209
^ a b c 並木 2009, p. 107


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