魚類
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自然界にはないストレス(過密、他の魚からの攻撃、人間による扱い、ワクチン接種など)にさらされた養殖のサケが、深刻なうつ状態にあることが示唆される研究[4]や、ゼブラフィッシュにエタノールを2週間与え続けたあとでその供給をストップして強制的にうつ状態にさせたあと、抗うつ剤をゼブラフィッシュに与えるという研究では、エタノールの供給を絶たれて動きが緩慢になり底のほうに停滞するゼブラフィッシュが、抗うつ剤投与で水槽の上から下へと泳ぎ回りはじめる様子が観察されている。この研究では「うつ状態」のゼブラフィッシュは、うつの人々と同じように、食べ物、おもちゃ、探検など、ほぼすべてに興味を失う様子を見せた[5]

魚にとって、生活環境は重要で、小石や植物など飼育環境に工夫を施した水槽か、何もない水槽かのどちらかを選択するように提示されたゼブラフィッシュは、一貫して前者を選択する。水槽に有害な酢酸 (酢) を注入してもこの選択が持続した[6]

魚は痛みを感じる[7]。情動をつかさどる大脳辺縁系にあたる部分が魚類にもあることがわかっており、ダメージや損傷があった時の魚の行動は、注意散漫になったり、損傷部分をかばったり、異物を取り除こうとしたり、食欲が低下したりする。そして、痛みを和らげるモルヒネを投与すると、注意力を取り戻し、通常の行動を取ることが可能になる[8]といった人間が痛みを感じた時と同じ反応を示す。

認知能力については、ホンソメワケベラは鏡に映った自分の姿を観察したり、自分の体につけられた斑点を鏡をみてこすり落とそうとするなど鏡像認知[9][10][11][12][13]メダカは相手の顔を識別し[14]、タラは音で会話する[15]

魚類の中ではマンタ(オニイトマキエイ、ナンヨウマンタ)が最も脳化指数が高い種類の一つとされ大型の哺乳類と同等の知性を持っているとされており、脳のサイズはジンベエザメの10倍あり脳の対比は魚類の中では最大である[16]。また、マンタは鏡像認知をした可能性が高い生物にも数えられている[17]。また、マンタは少なくとも一種は特定の個体を識別し友情を築くことが判明した[18][19]

魚の認知能力や感受性についての世論は一致しており、 9,000 人のヨーロッパ人を対象とした 2018 年の調査では、79% が魚の福祉は他の家畜の福祉と同じくらい保護されるべきだと考えていることがわかった[20]。また、2021年にオーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、チリ、中国、インド、マレーシア、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、スーダン、タイ、英国、米国の14か国の市民を対象に行った調査では、いずれの国でも60%以上が「魚が痛みや感情を持っている」ことに同意している[21]

このような、魚の情感に対する認知の広がりを背景に、イギリス大手のスーパーマーケット セインズベリーが、魚の飼育密度の規定や体の切除の禁止、屠殺方法などの動物福祉基準を設けたり[22]、スロバキアでは生きた鯉の販売はクリスマスの伝統の一部であったが、2021年以降、小売業者Kaufland(ドイツ語版)、テスコ、 Billa(英語版)が、2022年以降スロバキアでの生きたコイの販売を終了することを約束[23]したりするなどの魚に配慮する動きが近年見られる。また、イタリアのモンツァ市、ボローニャ市が球形の金魚鉢での金魚の飼育を禁止し[24]、またベルギーでも「表面積の小さい球形の金魚鉢は魚にストレスを与える」として、丸いボウルの販売禁止法案が検討中である(2022年3月時点)[25]
系統樹

2018年平成30年)現在、魚類の系統仮説は以下の通りである[26]。なお下表では魚類ではない四肢類を太字で表した:.mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green}

脊椎動物

ヌタウナギ

ヤツメウナギ

軟骨魚綱

真正板鰓亜綱(英語版)

ネズミザメ目ガンギエイ目など

全頭亜綱

ギンザメ目



硬骨魚綱

肉鰭亜綱

輻鰭下綱

シーラカンス目

ハイギョ下綱

ハイギョ目

四肢動物下綱

四肢類





条鰭亜綱

腕鰭下綱

ポリプテルス目


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