魔界転生_(1981年の映画)
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小説『魔界転生』には、吉川英治宮本武蔵』、五味康祐柳生武芸帳』などの先行する有名な剣豪小説、『寛永御前試合』、ほか立川文庫の講談などのオマージュパロディ要素がふんだんに盛り込まれていることが、数多くの文芸評論家、文学研究者によって解説されている。

特に本作の宮本武蔵に纏わる描写には、“吉川武蔵”のパロディ、オマージュとされる要素が多分に含まれている。

小説『魔界転生』は主人公・柳生十兵衛と最強にして最後の転生衆・宮本武蔵の舟島の決闘とその決着を描く最終章「魚歌水心」でフィナーレを迎えるが、この「魚歌水心」という章第は“吉川武蔵”最終巻、武蔵と佐々木小次郎の舟島の決闘とその決着を描く最終章「魚歌水心」と、章第や舞台の地名が同一、かつ勝者と敗者が“吉川武蔵”と完全に裏返しの構図になっている[6]

文芸評論家の細谷正充は『魔界転生』を「吉川英治の代表作への最高に皮肉で、最高に素晴らしいオマージュ」と評価している[7]。牧野悠は「柳生十兵衛が頭上から振り落とされる木剣ごと宮本武蔵を両断する趣向は、章題「魚歌水心」とともに、パロディの意図が明瞭である[8]」と言及している。

また、『魔界転生』で武蔵が連れている弟子の少年「伊太郎」の名と立場が、“吉川武蔵”で武蔵が連れ歩いた2人の少年「伊織」と「城太郎」の名前を合体させパロディ化したものと指摘し、『魔界転生』の宮本武蔵は「(“吉川武蔵”で描かなかった)巌流島後の武蔵を語るところから始めた吉川版武蔵のパロディ」と指摘する論もある[9]など、”吉川武蔵”が確立した正統派ヒーロー然とした宮本武蔵像に対するアンチテーゼとして、”魔界転生”は「巌流島での佐々木小次郎との死闘を人生の頂点」とし、悪鬼外道の類に堕してでも強敵との戦いを渇望するダークヒーローヴィランとしての「それから」の宮本武蔵像を世に提示する側面があった。

宅和宏は、本作の登場人物のうち荒木又右衛門と田宮坊太郎を立川文庫、宮本武蔵と宝蔵院胤舜を“吉川武蔵”、柳生但馬守宗矩と柳生兵庫介利厳を『柳生武芸帳』からの登場人物と紹介し[6]、パロディの中でもいわゆるドリームマッチ物、当世風に言えばクロスオーバー二次創作の分類で『魔界転生』を解説している。宅は「そう、これは剣豪小説のパロディなのです。それもかなり上質のもので、柳生の高弟の木村助九郎や田宮平兵衛が七人と対決するくだりは『柳生武芸帳』の五味康祐の文体にそっくり、ラストの船島での十兵衛と武蔵の決闘は吉川『武蔵』の有名なクライマックスに瓜二つでしかも完全な裏がえし、とくるのだからケタケタ笑ってしまう[6]」と、『魔界転生』本文には既存作品の展開の踏襲・キャラクターや章題のネーミング被せなどのわかかりやすいオマージュのみならず、文体模写などの高度なテクニックが含まれることを指摘し、『魔界転生』のパロディ要素を大いに賞賛している。

『魔界転生』に先行する著名剣豪集合作品に、講談『寛永御前試合』(1895年、求光閣)を背景にした柴田錬三郎『赤い影法師』(『魔界転生』と共通する剣豪は柳生十兵衛、柳生但馬守、柳生兵庫介(如雲斎)、宮本武蔵、荒木又右衛門等が挙げられるが、『寛永御前試合』に見られる由比正雪と柳生十兵衛の対決というモチーフは、『魔界転生』でも拾われている[9]
後世への影響(小説)

剣豪小説パロディの側面を持って誕生したが[6]高木彬光が「およそ時代小説を書こうとした作家が一度は夢に見て、しかもどのような鬼才怪筆の持ち主でもとうてい実現不可能とあきらめていたはずの見果てぬ夢[10] 」と評した、没した時代や全盛期が異なる名だたる剣豪たちを心身ともに全盛期の状態で蘇らせ、夢の対決を行う本作の革新的な発想は、小説の誕生から50年以上が経過した現在もなお多彩な媒体でフォロワー作品を生み出し続けている。

時代伝奇小説家荒山徹は、陰陽師山田一風斎の秘術「擬界転送(まがいてんそう)」によって蘇った12人の幕末志士が明治政府を狙う筋書きの、『魔界転生』とクトゥルフ神話をミックスしたパロディ伝奇小説『大東亜忍法帖』[11]、森宗意軒率いる「神聖ハポン騎士団」の七剣士に柳生十兵衛が挑む『柳生黙示録』、動物に生まれ変わった人間を前世の姿に戻す「前世逆生」という朝鮮妖術が登場し、『魔界転生』や『柳生忍法帖』などと世界観を一にし、またも荒木又右衛門が復活する『竹島御免状』などの『魔界転生』オマージュ作品を上梓している。

柳生宗矩を主人公とした近衛龍春の時代伝奇小説『柳生魔斬刀』は、「平成の魔界転生」というキャッチコピーで出版されている。

魔界から蘇った天草四郎が徳川幕府への怨恨と魔王サタンならぬ「邪神アンブロジァ」の導きによって世界を破滅に導こうと暗躍する、島原の乱から150年後の島原の地を舞台に12人の剣士が戦いを繰り広げる和風格闘ゲーム『サムライスピリッツ』シリーズ(SNK)、歴史や伝説に名を残す英雄の写し身を召喚して戦う伝奇ファンタジー『Fate』シリーズ(TYPE-MOON)などのサブカルチャーにも影響を与えている[12][13][14]。漫画原作者七月鏡一は、黄泉還った由比正雪を黒幕にした『サムライスピリッツ』本編の前日譚『サムライスピリッツ 魔界武芸帖』は『魔界転生』のオマージュ作品であると公表している[13]。『Fate』シリーズの原作者奈須きのこは「『Fate』はもともと、『魔界転生』のオマージュです[15]」と言及しており、シリーズの原点『Fate/stay night』の製作動機に、学生時代に読んで衝撃を受けたという石川賢の漫画版と[14][16] 、山田風太郎の原作[15]、原作と漫画両方の『魔界転生』を挙げている。『Fate』派生作東出祐一郎の小説『Fate/Apocrypha』の黒幕として『Fate』シリーズに天草四郎が初登場するのも「Fateの更なる源流に「魔界転生」があるのなら、天草四郎を登場させるのはどうか」という着想に由来する[14]

せがわまさき作画による漫画『十 ?忍法魔界転生?』単行本1巻発売時に、奈須は冲方丁貴志祐介とともに販促宣伝文を寄稿し、せがわはFateシリーズの看板ヒロイン・アルトリアを忍法魔界転生させた「魔界版セイバー」イラストを[17] 、添えた『十 ?忍法魔界転生?』サイン本を奈須に贈っている[18]
書誌情報

「おぼろ忍法帖」
講談社(上中下三巻)、1967

「忍法魔界転生」角川書店(上下二巻、角川文庫)、1978

「魔界転生」角川書店(上下二巻、角川文庫)、1981 - 映画化タイトルに合わせる。

映画

ポータル 映画
プロジェクト 映画

1981年

魔界転生
Samurai Reincarnation
監督
深作欣二
脚本野上龍雄・石川孝人・深作欣二
原作山田風太郎
製作角川春樹
出演者千葉真一
沢田研二
佳那晃子
緒形拳
室田日出男
真田広之
丹波哲郎
若山富三郎


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