魔女
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また民間の治療師や占い師である白魔女も、少なくともイングランドの裁判記録を見る限り、ことさらに告発の対象になったわけではないようである[10]

旧約聖書』には呪術口寄せを断罪する記述がいくつかあるが、魔女狩りの時代にはそれらは当時の魔女のイメージに合うように解釈された。たとえば「出エジプト記」の中で、律法を述べた22章第17節[補註 2]には、「女呪術師を生かしておいてはならない」ということが記されている。この女呪術師のヘブライ語はメハシェファ(mekhashshepheh)で、呪術を使う女と解されている[11]。この箇所が『欽定訳聖書』(1611年)では「魔女(witch)を生かしおくべからず」と翻訳され、魔女迫害の正当化の根拠として引き合いに出された。
魔女狩りの対象者の性別

「記録として残された魔女裁判」の統計調査結果からすると、地域や年代によって差はあるが、一部の地域ではほぼ完全な裁判記録が残っているが、法的手続を踏まない民間の魔女迫害については、どれほどの事例があったのかも今日では知りえず調査対象とならない。その中でも、アイスランドやモスクワなど男性のほうが多い地域もあったことや、魔女狩りの早期であった15世紀頃には男性もかなり含まれていたことは注目に価する。
英語での魔女

現代一般英語としてのwitchの用法は、ロングマン英語辞典オックスフォード英語辞典、ケンブリッジ英語辞典、ウェブスター辞典いずれも第1項目に「a woman who ?」とあり、ウェブスター辞典のみ第2項目の用法として「a person who ?」とあるので、女性に対して使われるのが一般的だが、ごくまれに性別を限定せずに使われるようである。
白魔女

害悪をもたらす妖術には関わらない白魔女も存在した。彼/彼女らは、イギリスで「器用な人」(cunning man, cunning woman)、フランスで「占い師兼病気治し」(devins-guerisseurs)などと呼ばれた[12]

民衆は白魔女を信頼していた。教会学者は白魔女を魔女の同類とみなし、白魔女の占いや治療行為を非難したが、イングランドの裁判記録では白魔女の関係する訴訟はかなり少なかったことが判っている[10]
垣根の上にいる女

魔女に当たるドイツ語の一つは Hexe で、13-14世紀から使われ始め、17世紀に普及した比較的新しい言葉であるが、その語源は一説には10世紀頃の古高ドイツ語 hagazussa であると言われる。hagazussa は hag(垣根)と zussa(女)の合成語で、「女庭師」[13]や、境界に身を置く半ば悪霊的な存在を含意する「垣根の上を飛ぶ女」[14]と解釈される。

魔女の槌』中では魔女は malefica (女妖術師)、maga (女魔術師)などとして言及されるが、sortilega (女占い師)という言葉も用いられている。ラテン語の sors (運命、神託)から sortilegius (占い師、予言者)、sortilegium (占い、魔法)、古フランス語の sorcier (魔法使い)が派生し、フランス語では現在もこれを引き継ぎ、女性の魔女・魔法使いは sorciere、男性の魔女・魔法使いは sorcier と性が異なるのみで同じ単語を用いる。
魔女についての迷信魔女の使い魔

死に際の魔女の手を握ると魔力が握った側に移る。

女性が悪魔と交わることで魔女となる。

魔女はホウキにまたがって空を飛び、サバトに参加する。ここで悪魔との乱交が行われる。

魔女は悪魔の力を借りて作物や家畜に被害を与える。

魔女は水中に沈められても悪魔に助けられて浮かび上がる。

魔女は体のどこかに「契約の印」と呼ばれる、痛みを感じない箇所がある。

魔女はカラスフクロウヘビのいずれかを召使いとする。

多くの魔女は黒猫を聖なるものとして飼っているとされた。そのため魔女の使い魔とされている。

「魔女狩りにより猫を殺し過ぎたために天敵のいなくなったの数が増え、これがペスト流行の一因となった」といわれるがこれは誤りである。

創作上の魔女

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2020年12月)

西洋の童話などに頻繁に登場する魔術、呪術、妖術などを使う女性の、大抵のイメージは鉤鼻の老婆が黒い三角帽・黒マント姿で、大鍋でトカゲなどを煮ているというものが多い。このイメージは、魔女狩りの歴史の中で固まったと言われている。

現代のファンタジー小説テレビドラマ映画等では、上記のような伝統的な意味での用法ではなく、魔法使いの女性形の意味で使われている場合が多い。作品によっては『魔法遣いに大切なこと』のような、ある程度現実的な世界観もあるが、こと魔法に関してはまったく現実から浮遊したものである場合がほとんどである。

日本アニメには上述した『魔法遣いに大切なこと』『魔女の宅急便』『魔女っ子メグちゃん』『おジャ魔女どれみ』『魔法少女まどか☆マギカ』など、魔法を行使する少女、魔法少女を主人公としたパターンがしばしば見られる。また、本来の魔女も『怪物くん』や『ゲゲゲの鬼太郎』のゲストキャラクターや敵キャラクターとして登場し、また前述の魔法少女アニメでも魔法少女の師匠に当たる役割で登場することもある。

魔女を題材とした海外ドラマには、『チャームド?魔女3姉妹?』、『奥さまは魔女』、『サブリナ』などがある。


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