鬼畜_(松本清張)
松田史朗、堀北幸夫、河村久子 ほか
スタッフ
原作:松本清張
監督:野村芳太郎
脚本:井手雅人
音楽:芥川也寸志
製作:野村芳太郎、野村芳樹
撮影:川又昂
美術:森田郷平
録音:山本忠彦
調音:松本隆司
照明:小林松太郎
編集:太田和夫
スチール:長谷川宗平
監督助手:松原信吾
装置:横手輝雄
装飾:磯崎昇
衣装:松竹衣装
現像:東洋現像所
進行:小松護
製作主任:吉岡博史
協力:三協精機、東武鉄道、北陸鉄道、京福電鉄福井支社、石川県富来町観光協会
サウンドトラック盤:コロムビアレコード
受賞歴
1978年度「キネマ旬報ベストテン」第6位、同主演男優賞(緒形拳)
第2回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(緒形拳)、最優秀監督賞(野村芳太郎)、最優秀技術賞(川又昂)
第21回ブルーリボン賞主演男優賞(緒形拳)、監督賞(野村芳太郎、「事件」と併せての受賞)
第33回毎日映画コンクール主演男優賞(緒形拳)
第3回報知映画賞主演男優賞(緒形拳)、美術賞(森田郷平、「事件」と併せての受賞)、撮影賞(川又昂、「事件」と併せての受賞)
エピソード
監督の野村芳太郎が当初主演に考えたのは渥美清だった。野村によると「平凡で気が弱く、優しくてお人好し。そういう人間が追い込まれて、最後は鬼畜になると言うのがこの作品の主眼。そう考えたときに最初に頭に浮かんだのは渥美清だった」と語っている。しかし、このオファーは寅さんのイメージとの兼ね合いも有り、結局、通らなかったという(映画会社の意向か渥美自身が断ったのかは不明)[4]。
当時、岩下志麻にも幼い娘がおり、可愛い盛りの子供を殺す役に躊躇を覚えていた。しかし、野村監督から「今こういう激しい役をやっておくと節目になる」と説得され、夫役として緒形拳と交渉中であることを知らされて、「緒形さんとなら」と出演を決心した[5]。
舞台を活動の主体としたかった緒形拳は、宗吉役を何ヶ月もの間、断り続けていた。ところが痺れを切らした岩下志麻が、二度にわたって督促の電話を緒形宅にかけた(岩下が俳優の自宅に電話を掛けたのは生まれて初めてだったという)[5]。さらに、緒形と仲の良かった車掌役の三谷昇がシナリオを読み、「こんないい役をやらない役者はないだろう」と言ったことで、決心をつけたという[6]。
野村監督は、映画のリアリティを出すため、妻役の岩下志麻には「たとえオフ(撮影していない時)でも絶対に子役と仲良くしないこと」と厳命した。岩下も、子役たちが挨拶に来ても返事もせず、イライラをぶつけるように怒鳴り散らしたりした。子どもたちは岩下を目にすると怯えるようになり、芝居で岩下から口にご飯を詰め込まれた一歳半の子役は、岩下を見ると悲鳴を上げるようになり、撮影が中断する事態にもなった。撮影終了まで律義にそれを守り通したため、「私は子役たちにきっと嫌われているだろう、もしかしたらトラウマになってしまっているかもしれない」と後悔の念にかられたという。しかし、のちに成人した子役たちとバラエティ番組で共演する機会に恵まれた際に疑念を解くことができ、ほっとしたという。一番いじめられた下の子は、撮影時の記憶が全くなかった[7]。
映画のラストで、利一が宗吉を「父ちゃんなんかじゃないやい!」と否定するシーンは、観客によって解釈が分かれることが多い。「父親をかばった」とする意見と、「父親を拒絶した」という意見である。脚本の井手雅人の意図は明確である。幼少時に尺八奏者である父・菊次が芸妓と出奔、伯父夫婦に引き取られた経験がある井手は、利一に過去の自分を重ねて、自分を捨てた父親への恨みと拒絶を表したものとしてこの台詞を書いたのだった。ところがそれではあまりに救いがないと判断した野村は、利一が父親をかばっているのだと解釈する刑事たちの台詞を加えて、どちらとも取れる演出を施した。この脚本からの改変について、井手は終生「違うんだなあ」と愚痴をこぼしていたという[8]。
表
話
編
歴
松本清張原作の映画作品
映画リスト
松本清張原作の映画一覧(公開順)
あ行
愛のきずな
天城越え
彩り河
か行
顔
影なき声
影の車
かげろう絵図
花実のない森
風の視線
考える葉
黄色い風土
危険な女
鬼畜
球形の荒野
共犯者
霧の旗(1965年)
霧の旗(1977年)
疑惑
黒い画集 あるサラリーマンの証言
黒い画集 ある遭難
黒い画集 第二話 寒流
黒い樹海
黒の奔流
けものみち
告訴せず
さ・た行
砂の器
ゼロの焦点(1961年)
ゼロの焦点(2009年)
点と線
な - わ行
内海の輪
波の塔
張込み
無宿人別帳
迷走地図
眼の壁
わるいやつら
作品
映画
テレビドラマ
カテゴリ
表
話
編
歴
野村芳太郎監督作品
1950年代
鳩
次男坊
愚弟賢兄
きんぴら先生とお嬢さん
鞍馬天狗 青面夜叉
青春三羽鳥
慶安水滸伝
伊豆の踊子
青春ロマンスシート 青草に坐す
びっくり五十三次
大学は出たけれど
おとこ大学 新婚教室
亡命記
東京-香港 蜜月旅行
花嫁はどこにいる
太陽は日々新たなり
角帽三羽烏
旅がらす伊太郎
次男坊故郷へ行く
花嫁募集中
ここは静かなり
踊る摩天楼
伴淳・森繁の糞尿譚
花嫁のおのろけ
張込み
月給13,000円
モダン道中 その恋待ったなし
どんと行こうぜ
1960年代
銀座のお兄ちゃん挑戦す
黄色いさくらんぼ
鑑賞用男性
最後の切札
ゼロの焦点
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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