出資は企画・販売のアニプレックス、原作を出版する集英社、アニメーション制作のufotableの3社のみであり、テレビ局などの出資に頼らない形式となっている。通常10社近い企業からの出資が当たり前であり、尚且つアニメスタジオが出資することが少ない日本のアニメーション作品でも珍しい形態であるが、アニプレックスとufotableは共に組んできた十数年間の作品すべてで同様の出資形式を採用している。これは、出資企業が多くなることによりアニメーション制作に制約が出てしまうことを避けるため。そのため、アニプレックスとufotableが初めてタッグを組んだ『劇場版 空の境界』より、両社以外の製作委員会への参加企業に関しては原作を出版・発売している企業のみにするという最小の出資企業数に留めている[24][25]。 監督をufotable所属の演出家である外崎春雄、キャラクターデザイン・総作画監督を同じくufotable所属のアニメーターである松島晃が担当。ufotableで『テイルズ オブ』シリーズのアニメーションパートを担当するコンビが務める。そのほか、音楽を梶浦由記、椎名豪が務めるなどufotable作品に参加してきたスタッフが集結している[2]。 本作は監督などのメインスタッフのほか、脚本・演出・作画・色彩・背景美術・撮影・CGのすべてをufotable社内スタッフが中心となり制作。これまでのufotable作品と同様に、一般的なTVアニメにみられるグロス請け(他社に1話分の制作をすべて委託する工程)を行わず、社内中心の制作体制となっている[26]。制作では、アクションシーンの日本刀の所作などにufotableが制作した『活撃 刀剣乱舞』の経験が生かされているほか、日常シーンは『衛宮さんちの今日のごはん』、背景美術やCGは『Fate』シリーズなど、過去作品のノウハウを最大限に活用している[27]。また、過去のufotable作品と同様に作中の挿入歌の作詞もufotableにて担当している。 今作では背景美術の元になるコンセプトアートをufotable美術部に所属する4名の美術スタッフが担当。複数人体制とした理由は、スタッフそれぞれの持ち味を生かすことで多彩な方向性の背景美術をデザインすることが狙いでおり、コンセプトアートを担当した3名が作中にて各話単位で美術監督を担当している。話数ごとに美術監督を変更している意図は、舞台が変化していく本作において作品全体でひとりの美術監督を立てずにコンセプトアートのように複数人の美術監督を立てるほうが、それぞれの得意分野を生かせるということからである[28]。 外崎はシリアスだけではなく、コメディな部分も含めて原作の雰囲気を再現することをコンセプトにして制作を開始した。集英社からは企画時に「漫画の画を意識せず、アニメとして作りやすいように勧めてほしい」という話があったが、外崎は印象的なコマはなるべくアニメーションで再現したいと考えていた。また、「炭治郎の成長を描く」ことを作品のコンセプトとして制作された[29]。 キャラクターデザインは、原作の強弱のある線を色濃く出すために原作のビジュアルをすべて比較しながら、読者のイメージするデザインを外崎とキャラクターデザイン・総作画監督の松島で組み立てていった。外崎から「全体的に締まって見えるような画にするために黒を強調したい」と要望された松島は、キャラクターの顎に黒色の影を入れ輪郭線も太くし、線の中に黒を濃く塗る部分を作り、線の強弱を出すことで原作の雰囲気をアニメーション向けに再現している。炭治郎に関しては「幼さを残しつつも成長の可能性を感じるデザイン」を目指して、アニメ用に頭身や髪形のバランスが調整された。炭治郎の手には汚れや痣のような跡を細かくつけている設定は「炭治郎の苦労の跡」を再現するため[29][30]。 サブキャラクターデザインの佐藤、梶山、菊池の3名は、外崎と松島がかつて活動していたスタジオエル出身であり、現在はufotableに所属しながら外崎、松島とともに「テイルズ オブ シリーズ」を手掛けてきたアニメーターのたちである。本作でもその流れで起用された。担当は、佐藤が鬼のデザイン、梶山が小物や食べ物などのデザインのほか、動物、三郎爺さん、隠の後藤などの一部サブキャラクターのデザイン、菊池が炭治郎の家族や村田、浅草の人々などのサブキャラクターを中心に担当した[31]。 原作者の吾峠もアニメオリジナルキャラクター原案を手掛けており、第1話に登場する炭治郎の祖母などアニメオリジナルキャラクターのデザイン原案を担当している[29]。吾峠はキャラクターデザインの監修も行っており、「手首や足首を細く描いてほしい」「炭治郎の痣は炎のイメージで描いてほしい」とリクエストしている[30]。 作画では、均等な太さではない漫画のような「トメ・ハライ」のある線をアニメーションで表現するために当初は松島が総作画監督として全体に手を入れて管理・統制していた。その後、制作が進むにつれてufotableの作画監督陣もコツをつかんだことでスタッフ全体で線の強弱を調節するようになった[30]。 コメディ描写に関しては、原作ではギャグのたびに顔の表情が変わるため、設定は敢えて作らずに原作の画を参考にしている。コミカルな描写では「漫符」などの原作で使われた表現を積極的に使用する方針がとられている[29][30]。 着物の文様は当初、アニメ作品では主流となっているテクスチャを貼る手法で制作する予定であったが、最終的には全てを作画スタッフによる手描きの作画で表現している[32][31]。
スタッフ・コンセプト(立志編)
キャラクターデザイン(立志編)
作画・色彩(立志編)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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