母・岩子は鬼太郎を身篭ったまま病死し、彼ら夫婦に関わりを持っていた血液銀行の銀行員・水木によって埋葬された。だが3日後、自力で母胎、墓穴から這い出て誕生した。この鬼太郎の誕生話はアニメシリーズではほとんど描かれていない。アニメで取り上げられたのは第3作[注 29][18]、第4作[19]、2008年の『墓場鬼太郎』第1話である。
誕生後は水木に引き取られていたが、冷遇を受け6歳の時出奔、父・目玉おやじと共に放浪の旅の末、ゲゲゲの森という安住の地を得た。少年時代には猫娘と共に妖怪小学校に通っていたという[20]。ねずみ男の弁によれば、鬼太郎は妖怪世界の名門校といわれる「妖怪学習院」に通っており、ねずみ男と同窓だったという[21]。実写映画での学歴は「墓の下中学」中退とされている。 普段は「ゲゲゲハウス」と俗称されるツリーハウスに目玉おやじと二人暮しをしている[注 30][22]。人間世界で生活物資を手に入れるため現金を使うこともあるが、収入をどうやって得ているかははっきりしない。基本的に貧乏生活を送っており、原作ではゴミ箱あさりをすることもある。少年誌やアニメでは、怪事件を解決する際にもほとんど報酬を受け取らず、せいぜい滞在中の寝食を世話して貰う程度である。非常に高額の報酬を申し出る依頼人もいるが、鬼太郎は被害者の治療や事件を起こした妖怪の供養など事件の後始末や社会福祉に使うように勧める。 鬼太郎の青年期を描いた作品『続ゲゲゲの鬼太郎』では、妖怪に理解のある民生委員・万助老人に「妖怪も人間の中で暮す時代」と助言され、彼の世話のもとで人間社会で生活しており、収入を得るために新聞配達などのアルバイトもしている[23]。当初は貧乏劇画家の家の2階に間借りしていたが[23]、劇画家に迷惑をかけたために追い出され、7年ぶりに再会したねずみ男と共に町外れの幽霊屋敷に住処を変える[24]。 幽霊族としての身分を隠し、田中ゲタ吉という名の人間として墓の下高校という学校に通っており、ユリ子という名の人間の恋人もいる[25]。本作では、思春期の青年らしい性に対して好奇心旺盛な鬼太郎が金と欲の大人の世界で活躍する様子が描かれているが、鬼太郎が金銭苦からそれまでの生活から離れて山中での生活に追われ、偶然から相撲界に入門し、さらには野球で活躍するようになる[注 31][26]。 その実力や、幽霊族という名門の末裔であることから、妖怪の中でも一目置かれる存在である。また、困っている者を見過ごせない性格ゆえに助けられた妖怪も数多く、妖怪仲間からの信頼は厚い。そのため、鬼太郎が窮地に陥った際には多くの妖怪が快く救援に駆けつけている。人望の高さから日本妖怪のリーダー的存在として認識されているエピソードもある。一方で、悪事を働く妖怪とは対立していて、敵視されたり恨みを買ったりしており、邪魔者として彼の抹殺を図る妖怪や、強大な妖力やちゃんちゃんこなどの武器を奪おうと狙う妖怪もいる。また、妖怪が人間を襲う事件では、人間側にも非があるにもかかわらず妖怪側を一方的に退治することもあるため、不満を持つ妖怪もおり、『妖怪大裁判』では見上げ入道からその点を指摘されて反省している。 映像作品での猫娘との関係は、各シリーズごとで描写が異なっている。猫娘との恋愛模様はアニメ版のオリジナル設定の場合が多く、本来の原作漫画ではアニメの影響もあって、「猫娘が鬼太郎に密かな恋心を抱いている」という公式設定もできてはいるが、実際にそれを表立って示す場面は少ない。 原作には、鬼太郎の初恋の人である、『鬼太郎夜話』の「寝子」をはじめ、さまざまな猫娘が登場し、その関係も友人だったり、妖怪小学校の同級生だったり、それぞれに異なっている。 原作『その後のゲゲゲの鬼太郎』では、それまでの戦いの疲れを癒すために南方の島へ出かけ、最終的には島の酋長の娘メリーと共に暮すようになる[27]。このことから鬼太郎はメリーと結婚していると設定されていることもある[28]。しかし、メリーはその後登場していない。
生活
妖怪仲間たちとの関係
猫娘との関係
第1シリーズ
猫娘は、第20話「猫娘とねずみ男」のみのゲスト出演。親しい友人の一人として描写されている。
第2シリーズ
第1シリーズの続編なので、猫娘は引き続き親しい友人として登場し、猫娘と鬼太郎との間柄を示唆するようなシーンはほとんどないが、第14話「怪自動車」にて、一回だけではあるが、鬼太郎が猫娘のことを「猫ちゃん」と呼び、猫娘が顔を赤らめるシーンがある。そのため目玉親父の事も「お義父さま」と呼んでいる。その他、食べ物を差し入れしたり、鬼太郎の留守の時は目玉親父の世話をしている。また、鬼太郎と手を繋ぎながら歩くこともある。
第3シリーズ
鬼太郎に好意を持ち、わかりやすく積極的にアプローチをしている猫娘だが、天童ユメコに気持ちが傾きがちな鬼太郎は彼女に辟易している描写が随所でなされている。しかし、第54話「悪魔ベリアル」で危険な戦いに挑む鬼太郎の頬に猫娘が「勝つためのおまじない」とキスした際は、鬼太郎も照れてまんざらでもなかった。猫娘が髪様に髪の毛を全て奪われた際には、「お嫁に行けない」と嘆く猫娘に対し、鬼太郎が「(嫁に)行くところがなければ僕が貰ってやるよ」と発言し、赤面している[29]。
第4シリーズ
猫娘との関係は相思相愛の恋人同士ではないが、猫娘は内心で恋愛感情を密かに抱いている[30][31]。また、お互い相手を大切に思っている。兄妹のように2人の仲はかなり良く[注 32]、鬼太郎が美人に弱い設定がないため、猫娘も嫉妬することもない。一方、第89話「髪の毛地獄! ラクシャサ」中にてインドの妖怪ラクシャサの力によって妙齢の風貌になった際は鬼太郎に思慕を寄せたが、当話や第48話「えんま大王と猫娘」のラストでは、鬼太郎と目玉親父が猫娘を「家族」とみなしているような発言をしている。第106話「悪夢!妖怪地獄」で鬼太郎が百々爺の策略で妖怪ノイローゼになってしまったときに猫娘が手当として巻いたハンカチが鬼太郎に勇気を取り戻させるきっかけになった[注 33]。
第5シリーズ
猫娘が好意を寄せているが、鬼太郎はそうした思いには鈍感に描かれている。猫娘が始終入り浸り、お金を貸したり、奢ったりすることを気にしてはいても、好意には全く気づいていない鈍感さであり[注 34]、猫娘のヤキモチにも鬼太郎は「何で怒っているんだ?」としか思っていない。2話では目玉おやじが「お嫁には猫娘なんかどうじゃ」と言ったのに対し、「悪い冗談はやめて下さい」と即答した[注 35]。猫娘に世話になっている手前、恋愛映画を一緒に見ようという猫娘の誘いを拒否することはできずに、ほぼ強引な形で一緒に映画を見させられている[注 36]。ただし、パートナーとしては認めていて、彼女のピンチには鬼神のごとき戦いぶりでその様子を見た子供たちから「(猫娘の)彼氏」と呼ばれたこともある。アマミ一族のミウからも好意を持たれているが、鬼太郎自身は自らの風貌が成人したミウに不釣り合いなことにコンプレックスがあり、ミウの方も自分一人だけ成長してしまうことに悲しみを憶えていたが、激しい戦いの中自らを犠牲に戦い抜く鬼太郎の姿を見てその悲しみを振り切った[注 37]。親子共々、「陸の幽霊族と海のアマミ一族」というようにアマミ一族を近い種族として捉え、鬼太郎自身、彼女を指して「女」と発言したり[32]、ミウをぬらりひょん一味に利用された際に非常に激しい怒りを見せる[33]など、二人の繋がりが強いことも示唆される[注 38][注 39][34]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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