高等教育
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国際標準教育分類(ISCED)ではレベル5以上のものを指す[4]。『世界人権宣言』においては「高等教育は、能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない[5]」と定められている。

ISCEDによる「第3期の教育」(Tertiary education)における高等教育の区分は、学士レベル(Bachelor)の課程[注 5]はレベル6、短期大学士(Associate)課程の専攻科[注 6]はレベル6、大学院[6]の修士・博士前期課程はレベル7、博士後期課程はレベル8、短期大学および高等専門学校専門学校は、ISCEDレベル5に区分される。

また、「高等」教育という呼称から、日本の高等学校[注 7]の課程が高等教育を行う課程であると誤認されることもあるが[注 8]、正しくはそれは後期中等教育ISCEDレベル3)を行う課程である。また、それらの学校専攻科については中等後非高等教育(ISCEDレベル4)に短期大学専攻科および高等専門学校専攻科は(ISCEDレベル5)に位置づけられている。
概要

高等教育は、中等教育を修了した者またはそれと同等以上とみなされた者が知識倫理技術などを深く学び、さらにそれらの理論や実践を身に付ける。そのことを通じて、課程を修了した後に、職業人[注 9]となるなどして広く社会に、教育の成果を還元する。高等教育を行う学校には、大学[注 10]、高等専門学校、その他の教育施設があり、教育施設の中でも学位またはそれに準ずる学術称号を授与する権限を持っていたり、課程の修了により他の機関[注 11]から授与されることに特徴がある。

高等教育は、時代地域によっては、将来の社会を担うエリート養成という役割がある。一方、近年、高等教育は個人能力に応じ、すべての者に等しく開放されなければならないと国際人権規約[7]により規定されており、高等教育の進学率は上昇傾向にある。現在の先進国では、高等教育進学率が50%以上の国も少なくない。開発途上国では、母語による高等教育が困難であることを理由に、英語フランス語などの非母語を使用している場合もみられる。日本のように、母語でほとんどの専門科目の授業と教科書がそろっている国は少ない。

各校種の意義は時代、地域によってそれぞれだが、高等教育の目指すものの内容についても議論が行なわれており、ユネスコ高等教育世界宣言[注 12]などの文書もある。欧州圏ではボローニャ・プロセスにより、各国の高等教育レベル互換性を定める作業が進んでいる。
種別

高等教育の制度は国によって若干の相違があるが、基本的には、大学とその他の専門的教育・職業的教育のための学校とに区別される。
一般教育「研究大学」も参照

一般的な高等教育は、大学カレッジといった教育施設にて実施される。

リベラルアーツ教育 - 環境学、グレート・ブックス、歴史、言語、言語学、文学、数学、音楽、哲学、政治科学、心理学、宗教学、科学、社会学、演劇

工学教育 - 下位分類には、航空学、生物学、都市工学、化学、コンピュータ、電気、産業工学、機械化学などがある

パフォーマンスアート - 舞踊学校、ドラマ学校、音楽学校など

視覚芸術 - 映画学校美術学校

職業教育「職業教育」、「職業大学」、「養成学校」、「技術・継続教育」、および「継続教育 (イギリス)」も参照

高等職業教育は大学以外の中等後教育(non-university tertiary level)に分類される。
高度専門職業教育「高度専門職業人」、「専門職大学院」、および「プロフェッショナル・スクール」も参照

高度専門職業教育(Professional higher education)は、一般の高等教育とは区別されており、それはエンプロイアビリティを高め、資格を身に付けさせ、技術革新を刺激し、本人と社会に利益をもたらすことを目的とする。

教育施設の例としては、建築学、ビジネス、ジャーナリズム、法学、図書館学、眼科、薬学、公共政策医療、工学、足病学、歯科、獣医学などがある。
世界各国の高等教育各国の高等教育達成率については「国際標準教育分類#統計」を参照各国の高等教育機関における卒業率については「第3期の教育#統計」を参照各国の国公立および私立の分布については「学校の設置者#第3期の教育」を参照
日本詳細は「日本の高等教育」を参照

日本において高等教育とは、狭義には、学校教育法第1条に定められる学校一条校)のうち、後期中等教育[注 13]に続く上位の学校種で実施される教育を意味する。具体的には大学[注 14]・高等専門学校で行われる教育である[8]

また広義には、国家国民に対して保証すべき教育学校教育)のうち、基礎的教育(初等教育[注 15]中等教育[注 16])に続く上位の教育であって、一般教育専門教育の双方を充分に行うものを意味する。18歳から30歳までの在籍者数が多く、成人年齢に達した若者世代に対する学校教育という色彩も持っている。専門学校のうち、修了者に専門士または高度専門士の称号が授与される課程も高等教育に分類される。

文部科学省が所管する教育機関については、以下の機関が高等教育機関として分類されている[8]

ISCED-5 - 短期大学高等専門学校[注 17]専修学校専門課程専門学校[注 3][注 18]各種学校(後期中等教育修了後、修業年限が2年以上)

ISCED-6 - 大学学部、短期大学および高等専門学校に設置された平成27年法改正後の基準を満たしている修業年限2年間の専攻科

ISCED-7 - 大学院修士課程専門職学位課程

ISCED-8 - 大学院博士課程

文部科学省のまとめによれば、2003年度(平成15年度)の18歳人口に対する高等教育機関進学率は72%以上[注 19]となっている。学生数の割合は21%が国公立、79%が私立であった(2012年)[9]

一方、文部科学省所管外の省庁大学校は一条校としての大学ではないため、学校基本調査の対象外である。しかし省庁大学校のうち、防衛大学校[注 20]防衛医科大学校[注 21]水産大学校[注 22]海上保安大学校[注 23]気象大学校[注 24]職業能力開発総合大学校[注 25]、および国立看護大学校[注 26]の7校の各課程は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構により大学の学部または大学院に相当する教育を行うものと認定されており[10]、これらの省庁大学校の卒業者や修了者には、学士、修士、または博士の学位が同機構より授与される[11]


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