宗長は定府大名で領知に一度も赴くことなく、代官を派遣して藩領を治めた。宝永6年（1709年）に死去したため、弟の松平宗胡（6歳）を養子に立てて跡を継がせたが、宗胡も正徳元年（1711年）11月に死去したため、高森藩は無嗣断絶となった[1]。
後史

旧高森藩領は幕府領となり、高森陣屋はそのまま近隣幕府領の管理拠点となった[7]。享保5年（1720年）、越前国内の幕府領を福井藩預所とした際に、高森代官美濃部勘右衛門は福井藩に約4万4800石の管理を引き継ぎ[7]、陣屋は廃止された[注釈 4]。
歴代藩主
高森松平家

3万石 親藩（御連枝）
松平頼職（よりもと）従四位下。左近衛権少将。

本庄松平家

2万石 譜代
松平宗長（むねなが）

松平宗胡（むねひさ）

脚注[脚注の使い方]
注釈^ それ以前も頼職と頼方には2人同時で御目見や叙位等が行われている。元禄9年（1696年）4月14日に江戸城で綱吉に御目見し[3]、同年12月11日にともに従四位下左近衛少将に叙された（頼職は内蔵頭、頼方は主税頭に改めた）[4]。なお、『徳川実紀』では頼職を二男、頼方を三男として扱っている（夭折した二男の次郎吉が数えられていない）。
^ もとは紀伊国伊都郡学文路村（現在の和歌山県橋本市）の庄屋であるが、優れた灌漑技術者・地方巧者として元禄9年（1696年）に紀州藩の家臣に登用された[1]。
^ 宿老2人、代官1人、郡奉行2人、勘定役3人、地方手代7人、奉行組1人、出入同心9人、医師1人、勝手役2人[1]。
^ その後、明和元年に三河西尾藩（大給松平家）が越前国に大規模な飛地領（合計3万7000石[8]）を与えられ、丹生郡天王村（現在の越前町天王）に天王陣屋を置いて当地に当たった[8]。高森村を含む地域も西尾藩領に組み込まれ、以後幕末まで続いている。

出典^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r “第一章＞第一節＞三＞高森藩と葛野藩”. 『福井県史』通史編4　近世二. 2022年5月13日閲覧。
^ 『常憲院殿御実紀』巻第三十五・元禄十年四月十一日条、経済雑誌社版『徳川実紀　第四編』p.559。
^ 『常憲院殿御実紀』巻第三十三・元禄九年四月十四日条、経済雑誌社版『徳川実紀　第四編』p.525。
^ 『常憲院殿御実紀』巻第三十四・元禄十年十二月十一日条、経済雑誌社版『徳川実紀　第四編』p.559。
^ 『文昭院殿御実紀』巻第四・宝永六年十二月廿六日条、経済雑誌社版『徳川実紀　第五編』p.75。
^ “ ⇒葛野藩”. 角川地名大辞典（旧地名）. 2022年5月13日閲覧。
^ a b “第二章＞第二節＞四　幕府領＞錯綜する代官領”. 『福井県史』通史編3　近世一. 2022年5月13日閲覧。
^ a b “陣屋”. 織田文化歴史館. 2022年5月13日閲覧。