高度
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メートルを用いる中国では巡航高度は実用的な間隔を設定するために、東行が8,900m、9,500m、10,100m等、西行が9,200m、9,800m、10,400m等といった半端な数字になってしまう[5]

なお、フィートを用いる場合に、水平距離においてなら使用される海里等は高度の単位として用いられることはなく、フィートと同じヤード・ポンド法ヤードを航空分野において用いることは全くない。メートルを用いる場合も高度ではキロメートルを使用しない。
気象学における高度
気象学での高度の範囲分け

地球の大気の鉛直構造宇宙空間
約10,000 km
外気圏
800 km
熱圏
電離層
 (カーマン・ライン)(100 km)
80 km
中間圏
50 km
成層圏
オゾン層
11 km
対流圏自由大気
1 km
境界層
0 km
※高度は中緯度の平均 /


詳細は「地球の大気#地球大気の鉛直構造」を参照

地球の大気は、高度によっていくつかの領域に分かれる[6]
対流圏 (troposphere)
地表から、極では8 kmまで、赤道では18 kmまで
成層圏 (stratosphere)
対流圏界面から50 kmまで
中間圏 (mesosphere)
成層圏界面から85 kmまで
熱圏 (thermosphere)
中間圏界面から675 kmまで
外気圏 (exosphere)
熱圏界面から1万 kmまで
高高度と低気圧

地球の表面(または大気)のうち平均海面から遠い領域は、高高度と呼ばれる。高高度は、海抜2,400mから始まると定義することもある[7][8][9]

高高度では、気圧は海面よりも低くなる。これは、空気をできるだけ地表に近づけようとする重力と分子をできるだけ拡散させようとするという2つの対立する物理効果の拮抗の結果である[10]

低い気圧のため、高度が高くなるほど空気は拡散し、冷たくなってくる[11][12]。そのため、高高度の空気は冷たく、特徴的な高山気候となる。この気候は、高高度での生態系に大きく影響している。
地球の大気における温度と高度の関係詳細は「気温減率」を参照

気温減率とは、特定の時間と場所において、静的な大気の下で高度に応じて気温が低下する割合のことである。国際民間航空機関は、国際標準大気のモデルで、気温減率として、地表から11kmまでは1,000mあたり6.49℃、11kmから20kmまでは一定温度の-56.5℃としている。これは、予想される最も低い値を取ったものである。標準大気は、湿度を含んでいない。国際民間航空機関による理想的な大気とは異なり、現実の大気の温度は、常に一定の割合で低下するのではない。例えば、高度によっては高くなるほど温度が上昇するような関係が逆転する層も存在し得る。

宇宙からの電磁波を吸収する熱圏、紫外線を吸収するオゾン層では熱が発生する。
高度が人体に与える影響詳細は「高度が人に与える影響」を参照

医学的知見によると、1,500mを超える高度で人体に影響が出始め[13]、5,500mから6,000mを超えると恒常的に耐えることはできない[14]。高度が増加するにつれて、気圧は低下し、酸素分圧も下がって人体に影響が生じる[15]。2,400mを超えて酸素が欠乏すると、高山病肺水腫脳水腫等、深刻な病気の原因となる[9]。高度が高くなるほど、重篤な影響が生じやすくなる[9]

人体は、呼吸心拍数を速め、血液組成を変化させて高度に順応することができる[16][17]。高度への順応には、数日から数週間を要する。しかし、8,000mを超えると、人体は適応できず、死に至ることもある[18]

高度地域にもともと居住している人々は、高度の影響で死に至ることは極めて稀である[19]。しかし、高度地域に居住している人々は、統計的に自殺の割合がかなり高い[20]。この原因については、今のところ明らかになっていない[20]

運動選手にとっては、競技場の高度(標高)によりパフォーマンスにとって相反する2つの効果が表れる。瞬発力が必要な競技(400mまでの競走や幅跳び、三段跳び等)の選手にとっては、気圧の低下によって空気の抵抗が少なくなり、通常パフォーマンスは向上する[21]持久力が必要な競技(5,000m以上の競走)の選手にとっては、酸素の低下によって通常パフォーマンスは低下する。スポーツに関する機関も高度がパフォーマンスに与える影響については認識しており、例えば国際陸上競技連盟は、1,000mを超える高地での成績は、公式記録としては記録されないとルール化している。

また、運動選手は、高度への順応を利用してパフォーマンスを向上させることもできる。高度への順応に関する体の変化は、パフォーマンスを向上させる[22][23]。これらの変化は、長距離走、トライアスロン、競輪、競泳等の持久力が必要な競技の選手が高地トレーニングを行う基礎となっている。
その他の「高度」

以上とは別に、「程度が甚だしい」という意味で形容詞・副詞的に「高度」ということがある。例えば高度経済成長高度先進医療高度プロフェッショナル制度など。
出典^ a b c d e f g 世界大百科事典第二版
^ a b c ブリタニカ国際大百科事典小項目事典「高度」
^ a b [1]
^ Air Navigation. Department of the Air Force. (1 December 1989). AFM 51-40 
^ 1980年代初頭までは東行が1,000m単位の奇数高度、西行は1,000m単位の偶数高度を使用していたが、それでは間隔が広すぎて交通量の増大に対応できなくなったため、現在のような300m、600m等の実用的な間隔を用いるようになった。
^ “Layers of the Atmosphere”. JetStream, the National Weather Service Online Weather School. National Weather Service. 2005年12月19日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2005年12月22日閲覧。
^Webster's New World Medical Dictionary. Wiley. (2008). .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-0-470-18928-3. ⇒http://www.medterms.com/script/main/art.asp?articlekey=8578 


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