髄膜炎
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また、髄膜の炎症により脳神経 (脳幹から頭部および頸部に分布し眼球の動きや顔面筋、聴覚をコントロールする神経群)が異常を来たすことがある[1][6]。視覚系の諸症状および難聴は髄膜炎の症状発現後しばらく持続する[1]。脳の炎症 (脳炎)や脳血管の炎症(脳血管炎)があると、静脈内の血栓の形成 (脳静脈洞血栓症)と同様に脱力感や感覚の麻痺、損傷を受けた脳の部位に応じた身体の異常運動や機能異常がみられるようになる[1][4]
原因

髄膜炎は通常微生物感染によって引き起こされる。ほとんどはウイルスによるもので[6]、次いで細菌真菌原生動物によるものが多い[2]

また、感染によらないさまざまな原因によって発症する場合もある[2]。「無菌性髄膜炎」とは細菌感染が確認されない髄膜炎の症例を指す。このタイプの髄膜炎は通常ウイルスによって惹き起こされるものであるが、時に細菌感染を原因とするものもあり、その場合部分的に治療されて細菌が髄膜から消失しているか、髄膜に隣接する空間が病巣となっている場合などがある(例:副鼻腔炎)。心内膜炎(血流に乗って細菌群が広がる心臓弁の感染)もまた無菌性髄膜炎の原因となる場合がある。Treponema pallidum(梅毒の原因菌)やBorrelia burgdorferi(ライム病の原因菌)をはじめとするスピロヘータ感染から無菌性髄膜炎感染を発症することもある。脳マラリアやアメーバ性髄膜炎(フォーラーネグレリア等の自然界の水源に存在するアメーバ感染による髄膜炎)も報告されている[2]
細菌性髄膜炎詳細は「細菌性髄膜炎」を参照

細菌性髄膜炎または化膿性髄膜炎と呼ぶ。脳に細菌が入る事もあり、脳障害になる恐れもある。
腰椎穿刺施行にて得られた脳脊髄液において、菌体を認め、好中球の増加、ブドウ糖の減少を認めることが多い。症状は最も激烈で、適切な治療が速やかに要求される。

髄膜炎菌は欧米では重要な起炎菌であるが、日本では少ない。
ウイルス性髄膜炎

髄膜炎を惹き起こすウイルスにはエンテロウイルス単純ヘルペスウイルス2型(まれに1型も)、水痘・帯状疱疹ウイルス(水痘帯状疱疹の原因ウイルス)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ウイルス、HIVリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス[12]などがある。年長小児(幼稚園児 - 小中学生)に多い。根本原因を解決することはできないが、頭痛や嘔吐に対する対症療法を行っていれば、ほとんどの場合、自然軽快傾向を示す。死亡したり後遺症を残すことはまれである。
真菌性髄膜炎

真菌性髄膜炎の危険因子は数多く存在し、免疫抑制剤(臓器移植後に使用するもの等)、HIV/AIDS [14]、加齢による免疫機能の低下[15]などが挙げられる。正常な免疫機能が備わっていれば発症の頻度は低いが[16]、過去に薬物汚染による発生例が存在する[17]。症状の発現は一般的に緩やかで、診断の少なくとも1?2週間前から頭痛や発熱が認められる[15]

最もよくみられる真菌性髄膜炎はCryptococcus neoformansによるクリプトコッカス髄膜炎である[18]。アフリカではクリプトコッカス髄膜炎は最もよくみられる髄膜炎の原因とされ[19]、アフリカにおけるAIDS関連死の20?25%を占める[20]。これ以外にもHistoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidisおよびカンジダなどがよくみられる。[15]
寄生虫性髄膜炎

CSF内の好酸球(白血球の一種)優位が認められる場合、寄生虫が原因である可能性が考えられる。最もよくみられるのは広東住血線虫顎口虫住血吸虫であり、嚢虫症トキソカラ症アライグマ回虫症肺吸虫症の諸症状や、さらに稀な症状、非感染性の症状が同時に認められることが多い[21]
非感染性髄膜炎

髄膜炎は非感染性の原因によっても発症することがある。髄膜に広がる(悪性または腫瘍性髄膜炎)[22]医薬品 (主に非ステロイド性抗炎症薬抗生物質、静注用免疫グロブリン等)を原因とするものである[23]


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