騎士鉄十字章
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上部の平面上の銀の枠の部分に「800」あるいは「900」という数字が刻まれていることが多いが、これは銀の純度を示している[1]。その隣に製造会社を示すコードが入っている場合もある[15]

騎士鉄十字章は横48ミリ、縦55ミリあり[15]、一級鉄十字章よりも一回り大きかった[1]
レプリカについて

実物の授与を受ける余裕がない受章者の中には二級鉄十字章を騎士鉄十字章の代用として頸部に佩用する者もいた[17][18]。また、航海中に無線で授与決定を知らされたUボートの艦長等の場合、乗組員の機械工が作ったレプリカを帰港まで着用することもあった。乗組員から贈られたレプリカに特別な思い入れを持ち、公式の物が授与された後もレプリカの方を着用し続ける艦長は多かったという[18]
騎士鉄十字章の等級

第二次世界大戦の緒戦ポーランド侵攻の頃にはヒトラーはこの戦争が長期化するとは考えていなかったため、騎士鉄十字章に等級を設けてはいなかった。しかし戦争が長引く中で騎士鉄十字章受章後の勲章が必要になり、騎士鉄十字章がいくつかの等級に細分化されるようになった[5]

1940年6月3日に柏葉付騎士鉄十字章、1941年6月21日に柏葉・剣付騎士鉄十字章、1941年7月15日に柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章、1944年12月29日に金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章が制定された[5]
騎士鉄十字章詳細は「騎士鉄十字章受章者一覧(英語版)」を参照

騎士鉄十字章の受章にあたっては一級鉄十字章を受章している必要があった。一級鉄十字章を受章した者が更に戦功を挙げた場合に騎士鉄十字章が授与された。なお1941年にドイツ十字章という一級鉄十字章と騎士鉄十字章の間に位置付けられる鉄十字章の体系外の戦功章が制定されているが、これは一級鉄十字章受章者の「更なる戦功」が騎士鉄十字章たる功績に及ばない場合に授与され、騎士鉄十字章の受章にあたってドイツ十字章の受章が必要とされるわけではなかった[19]。一級鉄十字章の総受章者は約30万人いたのに対し、騎士鉄十字章は7,313名とかなり数が限られていたため、騎士鉄十字章を受章した者はドイツ社会から英雄視された[1]

勲記は赤茶色インクで文字が書かれているが、受章者と総統の署名の部分は金箔を使って書かれていた[11]

外国人受章者については、ルーマニアイオン・アントネスク(陸軍大将、同国首相), ルーマニア海軍 海軍大将 ホリア・マチェリャリウ (en) など18名、イタリアジョヴァンニ・メッセ(陸軍中将、イタリア・ロシア戦域軍司令官)など9名、ハンガリーホルティ・ミクローシュ(海軍元帥、同国摂政)など8名、スペインエミリオ・エステバン=インファンテス(陸軍中将、青師団司令官)など2名、スロバキアアウグスチン・マラー(陸軍少将、スロバキア快速師団司令官)など2名、フィンランドエリック・ハインリッヒス(陸軍大将、フィンランド軍総司令官)など2名、日本の山本五十六(海軍元帥、連合艦隊司令長官)など2名、ベルギーからレオン・ドグレル(en:Leon Degrelle)の1名、合計44名に授与された[20][21]

この44名の中から8名が柏葉付騎士鉄十字章に格上げされ、更に8名から1名が柏葉・剣付騎士鉄十字章に昇格している。
柏葉付騎士鉄十字章柏葉付騎士鉄十字章

騎士鉄十字章を受章した者でさらに戦功を立てた者は柏葉付騎士鉄十字章(Ritterkreuz des Eisernen Kreuzes mit Eichenlaub)を受章した。柏葉章だけを手渡され、既に授与されている騎士鉄十字章の上部の吊り輪に柏葉章を追加で装着した[22]。柏葉は1813年に最初に鉄十字章を導入したプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世の妻ルイーゼ王妃を記念したものとされる[22][23]。勲記については受章者と総統の名前の他、鷲章も赤茶色インクではなく金箔で書かれていた。フォルダの革は白色で金箔の鷲章がデザインされていた[24]

882名のドイツ軍人が受章している[2]。また、外国人受章者としてベルギーのレオン・ドグレル(en:Leon Degrelle)[22]、エストニアのアルフォンス・レバネ(en:Alfons Rebane)(ただし1945年5月8日付のため、大戦中の受章ではない)、ルーマニアのペトレ・ドゥミトレスクミハイ・ラスカルコルネリウ・テオドリニ、日本の古賀峯一[22]山本五十六、 スペインのアグスティン・ムニョス・グランデス、フィンランドのカール・グスタフ・エミール・マンネルヘイムの9名がいる。

この勲章まで受章したドイツ軍人として著名な者にはフリードリヒ・パウルス(陸軍元帥)、エルンスト・ブッシュ(陸軍元帥)、ヴィルヘルム・フォン・レープ(陸軍元帥)、フェードア・フォン・ボック(陸軍元帥)、ゲオルク・フォン・キュヒラー(陸軍元帥)、マクシミリアン・フォン・ヴァイクス(陸軍元帥)、ハインツ・グデーリアン(陸軍将軍)、ギュンター・フォン・クルーゲ(陸軍将軍)、アルフレート・ヨードル(陸軍将軍)、ヴァルター・フォン・ザイトリッツ=クルツバッハ(陸軍将軍)、ウェルナー・ケンプフ(陸軍将軍)、カール・デーニッツ(海軍総司令官)、ギュンター・プリーン(Uボート艦長)、ヘルムート・ヴィック(空軍エースパイロット)、ヴァルター・クルピンスキー(空軍エースパイロット)、テオドール・ワイセンベルガー(空軍エースパイロット)、テオドール・アイケ(武装親衛隊将軍)、アルフレート・ヴェンネンベルク(警察将軍)、マティアス・クラインハイスターカンプ(武装親衛隊将軍)、オットー・スコルツェニー(武装親衛隊将校)、ブルーノ・シュトレッケンバッハ(武装親衛隊将軍)、ヨハネス・ミューレンカンプ(武装親衛隊将校)などがいる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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