駄獣
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

牛に比べて気性が荒く、毎日水に浸からせなければならないので取り扱いが難しいが、力が強い上に粗食に耐えるので駄獣としての利用がなされてきた[7][8]
ヤク
チベット高原などで飼われているウシ科の家畜で、高山地帯の険しい道でも苦にせず歩くことができることから、こうした地帯での乗用・駄載用に用いられている。積載能力は約150 kgとされる[9][10]
ラクダ
紀元前3000年頃に西アジア周辺で家畜化が始まったと考えられ、サハラ砂漠からモンゴルに至る旧世界での乾燥地帯における駄載用に広く利用されている。他の家畜では生存が困難な乾燥した砂漠でも生存できるという大きな特徴がある。古代ローマ人も荷役用に利用しようとし、ヨーロッパに持ち込もうとした記録があるが、こうした地域でラクダが長期的に生存できたかどうかは疑われている[11]オーストラリア大陸には元来ラクダが分布していなかったが、19世紀に内陸乾燥地帯での使役用としてアラビアなどからヒトコブラクダが大量に移入された。鉄道自動車の発達でラクダの必要性がなくなった現在、オーストラリアでは野生化したラクダによる植生破壊が深刻な問題になっている。
リャマ
ペルーアンデス山脈周辺の高山地帯などで荷物運搬に広く用いられている家畜である[12]
アルパカ
アルパカもリャマと同じくペルーのアンデス山脈周辺で飼われている家畜で、毛を取るのが主な目的であるが、荷物の運搬にも用いられることがある。ただしリャマより小型で、積載能力は50 kg程度である[13]
ゾウ
象は4,000年ほど前から使役動物として利用されており、特に東南アジアにおいては荷物の運搬に用いられている。人間に馴れやすい性質があるが、それでも馬よりも扱いづらく、大量の飼料を必要として連続的な労働には耐えられないので、限られた利用に留まる[14][15]
トナカイ
トナカイはラップランドシベリア北アメリカ北部などの寒冷地帯で乗用・駄載用・輓用など多様な目的に利用されている。どの程度古くから家畜として利用されているかは定かではない。シカの仲間で家畜化された唯一の種類である[16]。トナカイを駄獣として利用するかどうかは民族によって違いがあり、シベリアではツングース族やソヨート族(トゥバ族)は駄獣として利用するが、チュクチ族コリヤーク族は駄獣ではなく輓獣として利用する[17]
イヌ
犬は他の駄獣に比べて体格が小さく、貨物を運べる量は限られるので、駄獣として利用することは少ない。しかしセント・バーナードは山岳救助犬として育てられており、ワインを入れた樽を首に提げていき、遭難者がこれを飲むといった利用のしかたがされている。
ハト
鳩は伝書鳩として信書や軽量の物品の運搬に利用される。
駄載に使う道具

駄載に際しては一般的に、人間が乗用に使うときに使うに似た、パックサドル(英語版)、「荷鞍」というものを背に乗せてその上に荷物を載せる。袋や籠に入った荷物を背負わせるときは、2つを対にして体の両側に1つずつぶら下げてバランスをとるパニアのように載せることもある。

荷籠を両側にぶらさげたラバ

ドイツ連邦陸軍の荷鞍を装着したラバ(2015年)

アメリカ西部で使われていた荷鞍

荷籠を載せたラクダ(エリトリア、2005年)

脚注[脚注の使い方]^ 『図説馬と人の文化史』p.235
^ “江戸時代の単位で「駄」とは何kgのことか。”. crd.ndl.go.jp. レファレンス協同データベース. 2022年9月19日閲覧。
^ 『図説馬と人の文化史』p.85
^ 『家畜の歴史』pp.432 - 435
^ a b 『家畜の歴史』pp.437 - 438
^ 『家畜の歴史』pp.270 - 271
^ 『図説 動物文化史事典』pp.232 - 236
^ 『家畜の歴史』pp.272 - 280
^ 『図説 動物文化史事典』pp.231 - 232
^ 『家畜の歴史』pp.280 - 281
^ 『家畜の歴史』pp.414 - 418
^ 『家畜の歴史』pp.502 - 503
^ 『図説 動物文化史事典』pp.204 - 205
^ 『家畜の歴史』pp.317, 334 - 335
^ 『図説 動物文化史事典』pp.194 - 195, 200 - 201
^ 『図説 動物文化史事典』pp.219 - 224
^ 『家畜の歴史』p.132

参考文献

J・クラットン=ブロック 著、増井久代 訳『図説・動物文化史事典』(初版)
原書房、1989年8月15日。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-562-02066-0


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:21 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef