1963年に結婚。
1965年、『赤ひげ』に出演して以降、出産を経験。新聞記者であった夫の海外赴任先であるニューヨークへ同行し、映画の世界を3年ほど離れることになる[注釈 4]。ニューヨーク在住時には1965年北アメリカ大停電を経験している。
1968年に帰国。 映画が斜陽になり、テレビドラマ・舞台へも活動の場を広げる。
テレビドラマでは石井ふく子・橋田寿賀子両者の作品に多く出演した。
1998年には紫綬褒章、2004年には旭日小綬章をそれぞれ受賞した。
映画撮影時の記念アルバムなどの資料は東京国立近代美術館フィルムセンターに寄贈され、展示室で公開されている。そうした映画保存活動への貢献が評価され、2011年10月24日に第24回東京国際映画祭の会場で日本人・アジアの映画女優として初となるFIAF賞(国際フィルム・アーカイヴ連盟賞)が授与された[13][2]。FIAF賞受賞記念として、映画祭で、「香川京子と巨匠たち」として9作品特集上映され、また、東京国立近代美術館フィルムセンターで、「映画女優 香川京子」として45作品特集上映され、企画展示室にて「映画女優 香川京子」展として特別展示された[2]。
エピソード
出演作品でのエピソード
小津安二郎監督の『東京物語』では、小津作品に出演できる嬉しさより、大ファンだった原節子と共演できる喜びの方が大きかったという。原の人気は凄まじく、尾道でのロケ日にはロケ地である尾道駅に人が殺到していたそうである[14]。
溝口健二監督の『近松物語』では、当初、南田洋子が演じた役を演じる予定だったが『山椒大夫』での演技力から、ヒロインの人妻・おさん役に抜てきされたという[15][16]。京都の言葉や着物で歩くことや人妻役も初めてで、「当時は何も分からないでおさん役をやることになった」と語っている[15]。また、母親役の浪花千栄子に京言葉の指導を受けたり、衣裳部から着物を借りて旅館で歩く練習もしたと振り返っている[16]。
黒澤明監督の『悪い奴ほどよく眠る』では、撮影中に車から降りるシーンで、シートベルトをしておらず誤って車がブレーキをかけて止まった反動で、フロントガラスに頭から突っ込んでしまい、顔を何針も縫うほどの大怪我を負ってしまった。傷も大きかったので、香川は「もう女優の仕事はダメかもしれない」と引退を本気で覚悟したという。このとき香川が運ばれた病院にマスコミが集まってくるが、三船敏郎が香川の病室のドアの前に立ち、すべての取材を断ったという[17]。
40代後半から50代にかけて、個性のない母親役を演じる事が多くなり、一時期女優をやめようか悩んでいた事もあった。しかし、熊井啓監督の『式部物語』で初めて老女の役を演じた事が転機となり、自分に迷いがなくなり再び楽しい気持ちで仕事に向き合えるようになったという[18]。
石井ふく子とは新東宝時代からの長年の親友(石井が2年先輩[19])で、プライベートではよく2人で旅行もした[20]。また、石井がプロデューサーとして初めて手掛けたテレビドラマ『橋づくし』で香川に出演を依頼した際には、五社協定がある中で所属先の映画会社と喧嘩してまで同作に出てくれたという[21]。
その他
藤間紀子とは遠縁にあたる。また、藤間は香川の紹介で歌舞伎役者の二代目松本白鸚と知り合った[22]。
出演
映画『東京のヒロイン』(1950年) 『おかあさん』(1952年) 『東京物語』(1953年)香川とヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞のトロフィー(1954年9月、受賞作品は『山椒大夫』)『女囚と共に』(1956年)『森と湖のまつり』(1958年)『悪い奴ほどよく眠る』(1960年)
影を慕いて(1949年)
帰国(ダモイ)(1949年)
窓から飛び出せ(1950年)
青春デカメロン(1950年)
君と行くアメリカ航路(1950年)
細雪(1950年)
東京のヒロイン(1950年)
大利根の夜霧(1950年)
若様侍捕物帳 謎の能面屋敷(1950年)
腰抜け二刀流(1950年) - おこと 役
孔雀の園(1951年)
銀座化粧(1951年)
若様侍捕物帳 呪いの人形師(1951年)
覗かれた足(1951年)
高原の駅よさようなら(1951年)
暁の急襲(1951年) - 村田由紀江 役
唐手三四郎(1951年)
大空の誓い(1952年)
嵐の中の母(1952年) - 坪井登美 役
上海帰りのリル(1952年)
チャッカリ夫人とウッカリ夫人(1952年)
黎明八月十五日(1952年)
朝の波紋(1952年)
金の卵(1952年)
乾杯!東京娘(1952年) - 敏子役
おかあさん(1952年) - 福原年子 役
大学の小天狗(1952年)
勘太郎月夜唄(1952年)
モンテンルパの夜は更けて(1952年)
稲妻(1952年)
嵐の中の母(1952年)
ひめゆりの塔(1953年)
韋駄天記者(1953年)
姫君と浪人(1953年)
愛欲の裁き(1953年)
その妹(1953年)
明日はどっちだ(1953年)
誘蛾燈(1953年)
東京物語(1953年) - 平山京子 役
恋文(1953年)
叛乱(1954年)
山椒大夫(1954年)
美しい人(1954年)
勲章(1954年)
母の初恋(1954年) - 緑川阿佐子 役
近松物語(1954年)
女の暦(1954年)
ともしび(1954年)
鉄火奉行(1954年)
慈悲心鳥(1954年)
愛すればこそ(1955年)
七つの顔の銀次(1955年)
暁の合唱(1955年)
のんき裁判(1955年)
獄門帳(1955年)
しいのみ学園(1955年)
王将一代(1955年) - 坂田君子 役
青銅の基督(1955年) - モニカ 役
青カ島の子供たち 女教師の記録(1955年)
いらっしゃいませ(1955年)
何故彼女等はそうなったか(1956年)
奥様は大学生(1956年)
女囚と共に(1956年)
新・平家物語 静と義経(1956年)
猫と庄造と二人のをんな(1956年)