首都圏_(日本)
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2016年10月、財団法人森記念財団 都市戦略研究所が公表した世界の都市総合力ランキングではロンドン、ニューヨークに次ぐ世界3位との評価を得ている[16]
地域

東京都心からの時間的距離に応じて人口や都市空間の集積が遷移するという性質が強く、郊外では放射状に広がる近郊鉄道沿いの人口密度が高いものの、それらの間の地域では人口密度が低くなる。すなわち、ヒトデ型あるいは星型の都市圏構造を呈している。

都心、副都心と呼ばれる地区は、おおむね皇居から10km圏内に位置している。一方その外側にはベッドタウンが形成されており、人口に比して商業・業務機能の集積が少ないのが特徴。しかし20-40km圏内においては副々都心、業務核都市の指定を受け、また新都心と呼ばれるような業務の集積がみられる自治体も点在している。

関東大震災後や第二次世界大戦後には、東京都区部から郊外に無秩序・虫食い状に住宅地が拡大するスプロール現象が起こった。このような事態への対策として多摩ニュータウン港北ニュータウンをはじめとして大規模ニュータウンが建設されたが、当初の構想とは異なり住宅供給を主体とするものとなり、企業の進出はあまり進まなかった。
米軍基地「横田飛行場#横田空域」も参照

関東の空は、通称「横田空域」と呼ばれる1都8県(東京都・神奈川県・埼玉県・栃木県・群馬県・山梨県・長野県・新潟県・静岡県)に及ぶ広大な空域の航空管制が行われており、国内航空の最重要ハブ空港である羽田空港の発着経路設定にも影響を及ぼしていた。それが同空域からの影響をほぼ受けない成田国際空港の新空港建設の遠因ともなった。

羽田空港は主に離陸経路の設定に横田空域の影響を受けていたが、1992年と2008年9月25日に、空域が一部返還されており[17]、離陸時の要求上昇率が緩和されたため、離陸経路の設定自由度が増して発着回数の増加に寄与している。

その一方で横田空域を利用する軍用機、自衛隊機などは設定空域が低空であるが故に進入進出路となる地域は騒音問題に悩まされ続けており、横田飛行場(多摩地域)以外にも神奈川県には厚木基地横須賀基地キャンプ座間に代表されるように米軍基地が密集している。神奈川県内の国道16号(相模原市 - 横浜市 - 横須賀市)は、米軍基地の多さで沖縄県内の国道58号嘉手納周辺)と対比されることもある。
東京都市圏の拡大とドーナツ化現象

東京都市圏の人口増とともに都市圏の地価が高騰し、より安くより広い床面積の住居を求める東京都市圏住民が次第に都市圏辺縁部に拡散し、これに伴い東京都市圏が辺縁部に拡大・偏重し、ドーナツ化現象を引き起こした。

平成期に入ると、とりわけ新幹線沿線では通勤圏が遠方ギリギリにまで拡大する傾向が目立った。熱海三島静岡那須塩原郡山浦佐がその例で、それぞれ東海道新幹線東北新幹線上越新幹線の開業当時には東京への通勤圏として一般的に認知されていなかったが、バブル景気以後東京への通勤者が現れ始めた。また、高崎、宇都宮等は新幹線開業前から一定数東京への通勤者は存在していたが、新幹線開業後その数は更に増大した。また、新幹線が停車する高崎市に隣接する前橋からの通勤者も増加した。さらに、北陸新幹線開業後は安中榛名軽井沢(首都圏住民の別荘地でもある)・佐久平にもこの傾向が広まっている。
東京都市圏の拡大

東京都市圏は、都市雇用圏による1都3県(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)の中心都市より、通勤圏をさらに広範に拡大した。

敗戦により、日本各地の農村部の余剰労働力を送り出す海外植民地を喪失したため、第二次世界大戦後はそれを吸収する形で「金の卵」と呼ばれた青年労働者(第二次産業労働力が中心)が集まり、臨海部を中心に人口が急増した。また、高度経済成長以後は、日本全国の販売網から集まる売上(内需)や貿易黒字(外需)が東京に集中するようになり、第三次産業の労働力を吸収して東京都市圏の人口は激増した。高度経済成長期を中心に東京湾沿岸には工業の集積が著しく進行した。
近郊列車による高密度・広範囲な大都市圏の形成

画一的な団地が次々に建設され、また郊外の良い住環境やマイホームを求める動きも背景として、ニュータウンに代表される郊外の宅地化が急速に進行し、東京の都市圏は特別区の外側に向かって拡大していった。この郊外化は戦前から構築されていた鉄道網を背景とするところが強く、既存の鉄道は度重なる輸送力の増強や新駅の設置に追われた。この他にも路線の延伸や新規路線の開業も頻繁に行われた。

このように東京都心部を中心として放射状に伸びる交通網に沿って宅地化が進行したため、多摩地域はもとより隣接する埼玉県・千葉県・神奈川県の各県と茨城県南西部・栃木県南端にまで広がった。

欧米の大都市の中には、都心部を含む中心市と郊外の衛星都市群の間にグリーンベルトと呼ばれる緑地帯をはさむものが存在するが、東京都市圏においては、一部で環状都市が構想されたものの、それは実現せず、自治体の領域は名目地域としての性質を強めることとなった。

このように、東京都区部の外に連続的に都市圏が拡大した結果、昼間は東京都区部で働き・学び、夜間は東京都区部の外に帰るという「茨城都民」「埼玉都民」「千葉都民」「多摩都民」「神奈川都民」というように、「○○都民」と呼ばれる新興住民が急増した。このような住民は「新住民」とも呼ばれ、居住地区や「旧住民」との疎遠さも指摘された。しかし、近年は新旧住民の交流や地域通貨の導入など、新たなコミュニティーづくりが始まっている。

多くの地域で、土地とは無縁な瑞祥地名が多く付けられた。


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