他にも、養子の養育費を税控除という形で補助する仕組みがあり、2012年度は一世帯あたり最大12650ドルの控除が可能となっている[23]。アメリカでは1990年代に、ネグレクト(育児放棄)や児童虐待が深刻化したことを背景に、クリントン政権下で「養子縁組と安全な家族法」が成立し、養子縁組を増やすため、国を挙げての取り組みが行われた[24]。里親制度の下にいる子供を実親の元に戻すことを最優先させる従来の方針を転換するため、里親制度から養子になる事例を増やした州に奨励金を払ったことなどが主な取り組みとして挙げられる[24]。 オーストラリアにおける養子縁組 韓国では、儒教文化の影響で血縁関係を重んじるため国内養子縁組が進まなかったことや、未婚の母が社会で容認されないため[* 15]子供を養育するのが困難なこと、母子家庭への支援策が少ないことなどの背景があった。 朝鮮戦争終結後の、1954年には戦争孤児の海外養子縁組が始まる。斡旋をする民間機関が続々と現れた。1961年孤児入養特例法が制定。戦争孤児及び混血児の海外養子縁組の法的根拠となる。1970年代から1990年代にかけては海外養子縁組が拡充した。産業化、都市化の進展において、未婚の母が急増。未婚の母から生まれ子供たちは、海外養子縁組に出された子供たちの大部分にあたる[25]。 しかし、国連子どもの権利条約に批准した1990年以降、施設収容より家庭的養護が重視され始め、養子縁組は里親制度と並ぶ要保護児童対策として重要な役割を占めていると認識されるようになった。その結果、海外養子ゼロを目標に、国内養子縁組を優先させる方策が次々と打ち出された。要保護児童を家庭で育てる政策として、斡旋にかかる手数料の支払いや、子供が13歳になるまでの養育費の補助などが行われる他、心理治療についても支援がある[26]。また、2008年には、日本の特別養子縁組制度に類似した、新しい親養子制度が施行された。 この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 この節では、民法は条数のみ記載する。 養子縁組は、要式行為であり一定の方式によることが必要である。 養子は養子縁組をもって養親の嫡出子たる身分を取得する。 養子は、養親の氏を称する(810条 養子縁組によって養親と養子、養子と養親の血族の間に法定血族関係が生じる(727条 日本の場合、普通養子の場合は実親子間の親族関係は終了しないのに対し、特別養子の場合は親族関係が終了する。 養子が未成年の場合、養親の親権に服することになる(818条2項
オーストラリア
韓国
日本の現行民法における養子縁組
普通養子縁組と特別養子縁組
普通養子縁組
養子が、戸籍上は実親との関係は残り、二重の親子関係になる縁組(792条 - 817条
特別養子縁組
養子が、戸籍上も実親との関係を断ち切り、実子と同じ扱いにした縁組(817条の2
養子縁組の方式
普通養子縁組の場合は、当事者の合意に基づき、戸籍法の定めるところにより行う届出が必要である(799条
特別養子縁組の場合は、家庭裁判所の審判によらなければならない(817条の2)。また、実父母との関係がなくなるため、原則として実父母の同意が必要である。もっとも、病気などで実父母が意思を表示できないときや、虐待・育児放棄など子の利益を著しく害する場合は、実父母の同意は不要である(817条の6)。
養子縁組の成立要件
普通養子縁組
原則として当事者の意思により自由に縁組できる。しかし、養子が未成年者である場合は、養子が自己又は配偶者の直系卑属(自分の孫や配偶者の連れ子など)でない限り、家庭裁判所の許可が必要である(798条)。婚姻時に配偶者の連れ子がいる場合、養子縁組をしない限り法的には自分の子とはならない(姻族扱いとなる)。養親になるには、成年者であればよく(792条)、未婚者でもよい。ただし、養親となる者に配偶者がいる場合は、未成年者との養子は配偶者とともに縁組をすることが必要であり、成年者との養子は配偶者の同意を得て縁組することが必要である(795条・796条)。後見人が被後見人を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない(794条)。養子になるには、養親の尊属又は年長者でないことが必要である(793条)。つまり、弟や妹、年少のいとこ(従弟妹)など同世代でも年少者であれば養子とすることができる[* 17]。また、縁組後実親方との関係は継続である。1987年(昭和62年)の改正前には、特別養子縁組はなく、普通養子縁組だけしかなかった。
特別養子縁組
父母による監護が著しく困難または不適当などの特別の事情があり、子のために特に必要でなければならない(817条の7)。養親になるには、25歳以上の配偶者のある者(夫婦の一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上でよい)で、夫婦ともに養親になることが必要である(817条の3、817条の4)。これは、実父母の代わりに養子を十分な環境で育てるための制度だからである。養子になるには、家庭裁判所に養子縁組の審判請求をする際に原則6歳未満(0歳?5歳)であることが必要である。ただし、5歳前からすでに養親となる夫妻にすでに監護されている場合は、請求する際に8歳未満であればよい(817条の5)。これは、養親が実親として育てることが予定されている制度であるため、子に物心が付いていないことが必要だからである。また、8歳以上の場合には、家庭裁判所に特別養子の裁判請求はできない。1987年(昭和62年)の改正からは、改正以前の普通養子から特別養子への転換ができたが、現在は原則として普通養子からは転換できない。離婚した養父の結婚相手が実母、養母の再婚の相手が実父の場合は一部だけ実親関係が復活する。2020年4月1日より施行された改正民法(2019年6月7日に成立、令和元年法律第34号)により、それまで原則6歳未満(例外は8歳未満)であった年齢制限が、15歳まで引き上げられた(新民法第817条の5第1項前段・第2項)。例外的に17歳までも年齢制限の対象となる。1988年に制度が導入されて以来、初めての見直しとなった。さらに、この新しい法改正により、それまで実親の同意撤回は審判確定前まで認められていたが、2週間を経過すると撤回できなくなった。また、それまで養親となる夫婦が家庭裁判所に申し立てをしていたが、実親のほか、児童相談所の所長も申し立てが可能となった。さらに、同時進行が可能な二段階手続きを取り入れることにより、手続き長期化の防止も目指されている(新家事事件手続法第164条・第164条の2関係)。改正後も、6か月以上の試験養育は必要となる。15歳から17歳までの子どもについては、(1)本人の同意がある、(2)15歳未満の時から養父母となる人が養育している、(3)やむを得ない事情で15歳までに申し立てができなかった、という条件を満たせば、特別養子縁組が認められる。縁組の審判確定時点で18歳に達している人は、改正後民法の元でも特別養子縁組はできないため、普通養子縁組が選択肢となる(新民法第817条の5第1項後段)。また、15歳未満の者についても、その意思を十分に考慮しなければならない、とされている。
養子の身分
養子縁組の効力
養子縁組後の氏
養子縁組後の親族関係
養子縁組後の実親子間の親族関係
親権