養子縁組
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つまり、弟や妹、年少のいとこ(従弟妹)など同世代でも年少者であれば養子とすることができる[* 17]。また、縁組後実親方との関係は継続である。1987年(昭和62年)の改正前には、特別養子縁組はなく、普通養子縁組だけしかなかった。
特別養子縁組
父母による監護が著しく困難または不適当などの特別の事情があり、子のために特に必要でなければならない(817条の7)。養親になるには、25歳以上の配偶者のある者(夫婦の一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上でよい)で、夫婦ともに養親になることが必要である(817条の3、817条の4)。これは、実父母の代わりに養子を十分な環境で育てるための制度だからである。養子になるには、家庭裁判所に養子縁組の審判請求をする際に原則6歳未満(0歳?5歳)であることが必要である。ただし、5歳前からすでに養親となる夫妻にすでに監護されている場合は、請求する際に8歳未満であればよい(817条の5)。これは、養親が実親として育てることが予定されている制度であるため、子に物心が付いていないことが必要だからである。また、8歳以上の場合には、家庭裁判所に特別養子の裁判請求はできない。1987年(昭和62年)の改正からは、改正以前の普通養子から特別養子への転換ができたが、現在は原則として普通養子からは転換できない。離婚した養父の結婚相手が実母、養母の再婚の相手が実父の場合は一部だけ実親関係が復活する。2020年4月1日より施行された改正民法(2019年6月7日に成立、令和元年法律第34号)により、それまで原則6歳未満(例外は8歳未満)であった年齢制限が、15歳まで引き上げられた(新民法第817条の5第1項前段・第2項)。例外的に17歳までも年齢制限の対象となる。1988年に制度が導入されて以来、初めての見直しとなった。さらに、この新しい法改正により、それまで実親の同意撤回は審判確定前まで認められていたが、2週間を経過すると撤回できなくなった。また、それまで養親となる夫婦が家庭裁判所に申し立てをしていたが、実親のほか、児童相談所の所長も申し立てが可能となった。さらに、同時進行が可能な二段階手続きを取り入れることにより、手続き長期化の防止も目指されている(新家事事件手続法第164条・第164条の2関係)。改正後も、6か月以上の試験養育は必要となる。15歳から17歳までの子どもについては、(1)本人の同意がある、(2)15歳未満の時から養父母となる人が養育している、(3)やむを得ない事情で15歳までに申し立てができなかった、という条件を満たせば、特別養子縁組が認められる。縁組の審判確定時点で18歳に達している人は、改正後民法の元でも特別養子縁組はできないため、普通養子縁組が選択肢となる(新民法第817条の5第1項後段)。また、15歳未満の者についても、その意思を十分に考慮しなければならない、とされている。
養子の身分

養子は養子縁組をもって養親の嫡出子たる身分を取得する。
養子縁組の効力
養子縁組後の氏

養子は、養親のを称する(810条)。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、その効力の及ぶ期間(婚姻成立から離婚による復氏(767条1項)まで。例外は婚氏続称(同条2項))は、婚姻の際に定めた氏を称する(同条ただし書)。また、養子が既婚者の場合、戸籍上の筆頭者である場合は、配偶者も同時に養親の氏を名乗ることになる。逆に、筆頭者でない場合(結婚する際に氏を改めた者)は夫婦同氏の原則から、縁組しても養親の氏を名乗ることはできない。養子に子がいる場合、養子の子の氏は養子(親)が縁組する前の氏のままで、養親(義祖父母)の氏に改める場合は入籍届を提出する必要がある。
養子縁組後の親族関係

養子縁組によって養親と養子、養子と養親の血族の間に法定血族関係が生じる(727条)。したがって、民法上は6親等以内(養親の5親等以内)の者が親族に該当する。また、養親と養子の元々の血族との間には法定血族関係は生じず、縁組後に養子に生じた血族と、養親及びその血族との間には法定血族関係が生じる。養親が死亡した場合、養親の血族との間の親族関係を継続させるか打ち切るかは本人の意思による。
養子縁組後の実親子間の親族関係

日本の場合、普通養子の場合は実親子間の親族関係は終了しないのに対し、特別養子の場合は親族関係が終了する。
親権

養子が未成年の場合、養親の親権に服することになる(818条2項)。したがって、未成年者との養子縁組により親権者は実父母から養父母に変更になる。養父母が養子が未成年の間に双方死亡したり養父母の親権の喪失や停止により養親が親権を行使できなくなっても、離縁をしない限りは実父母の親権が復活することはない。養親が養子の実親の配偶者である場合には実親と養親の夫婦での共同親権となる。
養子縁組の解消

養子縁組の解消には、養子縁組に瑕疵がある無効・取消の場合のほか、有効の縁組を将来的に解消する離縁がある。縁組の無効は、初めから当然に養子縁組の効力が生じないが、縁組の取消と離縁は、いったん有効に生じた養子縁組が当事者の意思表示により縁組を解消する効力を生じる。
縁組の無効・取消

養子縁組の
無効事由(802条)

人違いなどで、当事者間に縁組をする意思がないとき

当事者が縁組の届出をしないとき


養子縁組の取消事由

養親が未成年者である場合(804条)養親又は養親の法定代理人が、家庭裁判所に縁組の取消を請求。養親が追認した場合と成年になって6か月が経過した場合は、取消の請求はできない。

養子が尊属又は年長者である場合(805条)[* 17]当事者又は親族が、家庭裁判所に縁組の取消を請求。

家庭裁判所の許可なく、後見人が被後見人を養子にした場合(806条)養子又は養子に実方の親族が、家庭裁判所に縁組の取消を請求。養親である後見人による管理の計算終了後、養子が追認した場合と6か月が経過した場合は、取消の請求はできない。

配偶者の同意なく縁組した場合(806条の2第1項)同意していない配偶者が、家庭裁判所に縁組の取消を請求。同意をしていない配偶者が、縁組を追認した場合と縁組を知ってから6か月を経過した場合は、取消の請求はできない。

監護権者の同意なく縁組した場合(806条の3第1項)同意していない監護権者が、家庭裁判所に縁組の取消を請求。同意をしていない監護権者が縁組を追認した場合と、養子が15歳になった後に追認した場合ないし6か月を経過した場合は、取消の請求はできない。

配偶者・監護権者が詐欺又は強迫によって同意をさせられた場合(806条の2第2項、806条の3第2項)同意をした配偶者が、家庭裁判所に縁組の取消を請求。同意をしていない配偶者が、詐欺を発見又は強迫を免れてから、縁組を追認した場合と6か月を経過した場合は、取消の請求はできない。

家庭裁判所の許可なく未成年者を養子にした場合(民法807条)養子、養子の実方の親族、養子に代わって縁組の承諾をした者が、家庭裁判所に縁組の取消を請求。養子が追認した場合と成年になって6か月が経過した場合は、取消の請求はできない。


離縁

普通養子縁組の場合は、原則として自由に
離縁ができ、養親と養子の合意と離縁の届出が必要である(811条 - 813条)。裁判による離縁も認められている(814条)。

縁組の日から7年を経過した後に離縁より縁組前の氏に復した者は、離縁の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる(816条)。

特別養子縁組の場合は、子の利益のためになされた縁組であるため、協議離縁はできない。例外的に、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があり、かつ実父母が相当の監護ができる場合で、養子・実父母・検察官のいずれかの請求があり、家庭裁判所が養子の利益のために特に離縁の必要があると認める場合に限り、家庭裁判所の審判による離縁が認められている(817条の10)。

その他

日本では
同性結婚一夫多妻制は制度上認められていないため、養子縁組制度(普通養子)で代用する例がみられる。

代理母出産で生まれた子供について、民法では想定されておらず、戸籍上の母は分娩した女性となる。


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