養子縁組
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未婚の母から生まれ子供たちは、海外養子縁組に出された子供たちの大部分にあたる[25]

しかし、国連子どもの権利条約に批准した1990年以降、施設収容より家庭的養護が重視され始め、養子縁組は里親制度と並ぶ要保護児童対策として重要な役割を占めていると認識されるようになった。その結果、海外養子ゼロを目標に、国内養子縁組を優先させる方策が次々と打ち出された。要保護児童を家庭で育てる政策として、斡旋にかかる手数料の支払いや、子供が13歳になるまでの養育費の補助などが行われる他、心理治療についても支援がある[26]。また、2008年には、日本の特別養子縁組制度に類似した、新しい親養子制度が施行された。
日本の現行民法における養子縁組

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

この節では、民法は条数のみ記載する。
普通養子縁組と特別養子縁組
普通養子縁組
養子が、戸籍上は実親との関係は残り、二重の親子関係になる縁組(792条
- 817条)を指す。一般にいう養子のことであり、戸籍上は養親(ようしん)との関係は「養子」と記載される。
特別養子縁組
養子が、戸籍上も実親との関係を断ち切り、実子と同じ扱いにした縁組(817条の2 - 817条の11)を指す。貧困や捨て子など、実親による養育が困難・期待できないなど子の利益とならない場合に、養親が実の親として養子を養育する[* 16]ための制度として、1987年(昭和62年)に新設された制度。このため、戸籍上は養親との関係は「長男」などの実子と同じ記載がされ、養子であることが分かりにくくなっている。また、離婚した養親の再婚相手が実父母の場合は、実親との関係が一部だけ復活する。単独縁組は配偶者の6歳未満の連れ子を「実子」扱いにするときだけ縁組みが出来る。その場合、戸籍上は実父との関係を終了し、養父と実母の「長男」「長女」とする実子扱いで記載される。もっとも、817条の2による裁判確定に基づく入籍である旨は記載され、戸籍をさかのぼることにより、実父母が誰であったか知ることができるようになっており、養子の出自を知る権利や近親婚の防止に配慮してある。2020年4月1日より内容が一部改定された新民法が施行され、特別養子縁組制度の利用を促進するため、年齢制限の上限の引き上げや縁組成立の手続きを二段階に分け、養親となる者の負担を軽減する改正がなされた。
養子縁組の方式

養子縁組は、要式行為であり一定の方式によることが必要である。

普通養子縁組の場合は、当事者の合意に基づき、戸籍法の定めるところにより行う届出が必要である(799条、739条準用)。養子は15歳以上であれば実父母の意思と関係なく縁組が可能であるが、15歳未満の者を養子とする縁組の場合は法定代理人による代諾により養子縁組を承諾しうる(代諾縁組、797条1項)。ただし、法定代理人は養子となる者の父母でその監護権者である者が他にあるときは、その同意も得なければならない(797条2項前段)。また、養子となる者の父母で親権を停止されている者があるときもその同意を要する(797条2項後段。この規定は平成23年6月3日法律第61号により親権停止の制度が新設されたのに伴って追加された)。

特別養子縁組の場合は、家庭裁判所審判によらなければならない(817条の2)。また、実父母との関係がなくなるため、原則として実父母の同意が必要である。もっとも、病気などで実父母が意思を表示できないときや、虐待・育児放棄など子の利益を著しく害する場合は、実父母の同意は不要である(817条の6)。

養子縁組の成立要件
普通養子縁組
原則として当事者の意思により自由に縁組できる。しかし、養子が
未成年者である場合は、養子が自己又は配偶者直系卑属(自分の孫や配偶者の連れ子など)でない限り、家庭裁判所の許可が必要である(798条)。婚姻時に配偶者の連れ子がいる場合、養子縁組をしない限り法的には自分の子とはならない(姻族扱いとなる)。養親になるには、成年者であればよく(792条)、未婚者でもよい。ただし、養親となる者に配偶者がいる場合は、未成年者との養子は配偶者とともに縁組をすることが必要であり、成年者との養子は配偶者の同意を得て縁組することが必要である(795条・796条)。後見人が被後見人を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない(794条)。養子になるには、養親の尊属又は年長者でないことが必要である(793条)。つまり、弟や妹、年少のいとこ(従弟妹)など同世代でも年少者であれば養子とすることができる[* 17]。また、縁組後実親方との関係は継続である。1987年(昭和62年)の改正前には、特別養子縁組はなく、普通養子縁組だけしかなかった。
特別養子縁組
父母による監護が著しく困難または不適当などの特別の事情があり、子のために特に必要でなければならない(817条の7)。養親になるには、25歳以上の配偶者のある者(夫婦の一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上でよい)で、夫婦ともに養親になることが必要である(817条の3、817条の4)。これは、実父母の代わりに養子を十分な環境で育てるための制度だからである。養子になるには、家庭裁判所に養子縁組の審判請求をする際に原則6歳未満(0歳?5歳)であることが必要である。ただし、5歳前からすでに養親となる夫妻にすでに監護されている場合は、請求する際に8歳未満であればよい(817条の5)。これは、養親が実親として育てることが予定されている制度であるため、子に物心が付いていないことが必要だからである。また、8歳以上の場合には、家庭裁判所に特別養子の裁判請求はできない。1987年(昭和62年)の改正からは、改正以前の普通養子から特別養子への転換ができたが、現在は原則として普通養子からは転換できない。離婚した養父の結婚相手が実母、養母の再婚の相手が実父の場合は一部だけ実親関係が復活する。2020年4月1日より施行された改正民法(2019年6月7日に成立、令和元年法律第34号)により、それまで原則6歳未満(例外は8歳未満)であった年齢制限が、15歳まで引き上げられた(新民法第817条の5第1項前段・第2項)。例外的に17歳までも年齢制限の対象となる。1988年に制度が導入されて以来、初めての見直しとなった。さらに、この新しい法改正により、それまで実親の同意撤回は審判確定前まで認められていたが、2週間を経過すると撤回できなくなった。また、それまで養親となる夫婦が家庭裁判所に申し立てをしていたが、実親のほか、児童相談所の所長も申し立てが可能となった。さらに、同時進行が可能な二段階手続きを取り入れることにより、手続き長期化の防止も目指されている(新家事事件手続法第164条・第164条の2関係)。改正後も、6か月以上の試験養育は必要となる。15歳から17歳までの子どもについては、(1)本人の同意がある、(2)15歳未満の時から養父母となる人が養育している、(3)やむを得ない事情で15歳までに申し立てができなかった、という条件を満たせば、特別養子縁組が認められる。縁組の審判確定時点で18歳に達している人は、改正後民法の元でも特別養子縁組はできないため、普通養子縁組が選択肢となる(新民法第817条の5第1項後段)。また、15歳未満の者についても、その意思を十分に考慮しなければならない、とされている。
養子の身分

養子は養子縁組をもって養親の嫡出子たる身分を取得する。
養子縁組の効力
養子縁組後の氏

養子は、養親のを称する(810条)。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、その効力の及ぶ期間(婚姻成立から離婚による復氏(767条1項)まで。


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