飯塚昭三
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しかし「そんなのおかしい」と女子高の教師に許可をもらい、男女合同での演劇を実現させたという[12]

芝居をしていくうちに、「演劇を専門で勉強したい」と思うようになり、日本大学芸術学部演劇学科[2][13]に進学[12]。当時は母は新聞記者にさせたがっており、父も他の学校に入るのを希望していた[12]。しかし飯塚は同大学は内緒で受けて、他の学校はわざと失敗といい、実力が足りなかったとも語っていた[12]。在学中に劇団を結成して、日本各地で演劇を上演する[8]。大学卒業後も、仲間と劇団を組んで公演を行っていた[14]。当時は劇団仲間たちと一緒に「マスコミに通用するプロダクションを作りたい」と思うようになったという[14]。しかし個人では作っていいのかも分からず、そんなお金もなく、仲間5人で劇団若草でスタッフとしても就職していた[14]

テレビ局を担当するからマネージャーになり、テレビ局を回る仕事をし、必要なノウハウを3?4年で学び、劇団若草を退社[14]。学んでいたノウハウを活かし、独立後は、劇団チャイムや劇団アポロなどの5つくらいプロダクションを結成[14]

プロダクションのマネージャーをしていた時に、ある撮影で「役者の隣に座ってくれ」と言われた[14]。そのまま出演していたところ「出てくれてありがとう」とお金をもらった[14]。ギャラを渡されることを体験して、「役者っていいな、役者やろうかな」と少し考えるようになったという[14]
声優デビュー後

洋画吹き替えに出演したことがきっかけで、声優としても活動するようになった[8][14]

東映での最初の仕事は、『好き! すき!! 魔女先生』のクモンデス役[14]。この役がきっかけで、その後も怪獣、悪役、敵役を演じるようになった[14]。その次が、『超人バロム・1』のドルゲ役だった[14]。6か月間、病気により声がまったく出なくなったため[15]特撮メタルヒーローシリーズ」第1作『宇宙刑事ギャバン』のドン・ホラー役を第10話で降板して半年間の休養後、アニメ『愛の戦士レインボーマン』の帝王ドンゴロス役で復帰する[16]

東京俳優生活協同組合を経て[2][17]1988年からシグマ・セブンに所属[6]
2000年代以降

後進の育成にも精力的であり、シグマ・セブンの関連会社養成機関であるDOA The・声優塾の主任講師を2022年末まで務めていた[10][8]。この他、2007年から専門学校アートカレッジ神戸にて「飯塚ゼミナール」という講義を行っていた。1999年時点から40年近く福島県いわき地区の高校演劇コンクールの審査員もしていた[15]

2010年には「スーパー戦隊シリーズ」第34作『天装戦隊ゴセイジャー』では物語序盤のレギュラーとして大王モンス・ドレイクの声を担当することになった。2006年発売のゲームソフト『宇宙刑事魂』にて過去に降板したドン・ホラー役に復帰し、魔王サイコの声も担当した。その後の映画作品などでも、それらの役を引き続き担当している。

2022年、『東京アニメアワードフェスティバル 2022』において「アニメ功労部門」を受賞[18]

最晩年の2022年末頃からは、体調を崩し仕事を控えていたという[10]。2023年2月15日午前9時14分、急性心不全のため死去。89歳没。訃報は、同月28日に所属事務所により発表された[10]

遺作は、かつて主演したアニメーション映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の続編であり、2023年8月に劇場公開された短編アニメーション映画『カールじいさんのデート』のカールじいさん役となった[10][19]
人物

方言東北弁福島弁[20]資格普通自動車免許[6]

声優としては、ナレーション、アニメ、外画の吹き替えなどを中心に活躍していた[5]

多数の特撮・アニメ作品で悪役の声を演じている[15][21]。役を演じていた時に「こういう感じでやってください」と具体的な注文をされたことはなく、何も指示がなかった中で演じていたという[21]。特撮作品『人造人間キカイダー』ではハカイダーを演じており[22]、『人造人間キカイダー』のムック本が発売された際、その編集者から「30年間地球と戦い続けた男」という称号を送られたと嬉しそうに語っていた[23]

書籍『キカイダー讃歌[24]』におけるインタビューにあたっては、部屋に入るなり、出版を記念して復刻されたハカイダーのスーツを目にするや「この年でかぶり物をやらされるとは思わなかった」と、頼まれていないのに自ら本物のハカイダーに扮している。

ボランティア活動にも積極的に参加しているが、その理由をこれまでの経歴にかけて「何度も地球を征服しようとした罪滅ぼし」と冗談めかして語ったこともある。また、「宇宙刑事シリーズ」など、音声はアフレコを前提とする特撮番組の収録の際は新人俳優に台詞の特訓をしていたこともあり、特撮番組に出演した経験のある俳優からも人望が厚い[25]

過去に『超人バロム・1』においてドルゲを演じ、その後、ゲーム『ローグギャラクシー』でドルゲンゴアという名の類似したキャラクターを演じている。これは偶然であり、レベルファイブ社長の日野晃博は「特に意味はない」と『ローグギャラクシー』収録の際に語っており、このため、飯塚が「昔ドルゲをやっていた」と言うと驚いていたという。ドルゲの特徴的な「ルロロロロロ…」という怪音は、本人によると脚本には「レロレロ」などとしか書かれていなかった。飯塚は先んじて『好き! すき!! 魔女先生』で敵役のクモンデスの「チューカカカッ」という奇妙な鳴き声をアドリブで生んでいて、これがプロデューサーの平山亨に強い印象を残し、ドルゲでの起用となったという[26]

声帯を痛めて『宇宙刑事ギャバン』を降板している間は「声優の仕事はもうできない」と考えていたという。『愛の戦士レインボーマン』で復帰できた時は有り難かったと述懐している[16]


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