食肉
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日本の食肉消費は2013年には一人当たり30kg[31]であり、他の先進国から比較して4分の1から3分の1程度の消費量しかなく、群を抜いて低いものとなっている(さらに砂糖、果物などの植物性高エネルギー食材の消費も日本は群を抜いて低い)。また、この食肉消費の内訳は、日本人一人当たりで鶏肉12kg、豚肉12kg、牛肉6kgとなっている[31]
宗教圏や文化圏による消費量や生産量の偏り

食肉とは食用にする動物の肉のことを指すが、世界各地においてそれぞれの地域で育まれてきた文化的伝統がある。ある地域で珍重される食肉が他の地域においては全く食べられず、食品としてすら扱われないといったことは珍しいことではない。世界で最も一般的な食肉である牛肉、豚肉、鶏肉ですら、そういった地域差が存在する。こういった差異の中で最も顕著なものは、宗教的タブーによる制限である。たとえば牛肉は世界のかなりの地域において最も好まれる肉であるが、インドにおいてはヒンドゥー教が牛を聖獣としているため全く食べない人が多いばかりでなく、牛肉の生産・流通を法的規制や暴力的手段で阻止しようとする動きすらある[32]。一方、豚肉はイスラム教では不浄の食べ物として忌み嫌われる存在であるためイスラーム圏では食肉として扱わない。「ハラール」も参照

またある地域で、特定の種類の食肉が特に好まれ大量に生産されることもある。シチメンチョウは世界5位の生産量のある食肉であるが、生産及び消費は原産地でもある北アメリカ、特にアメリカ合衆国に片寄っており、2010年度の総生産量の48%がアメリカ一国で生産された[25]。羊肉はどの地域でもそれほど消費量が多い肉ではないが、例外的にオセアニア、特にニュージーランドにおいては突出して消費量が多く、牛豚鶏の三種とそれほど遜色ない消費量となっている。オーストラリアにおいてもニュージーランドほどではないものの、やはり羊肉消費は他国と比べて多い傾向にある[33]。中国人のなかの多数派(漢民族)は基本的に(イスラームやヒンドゥーでもなく)宗教的制約が無く、豚肉を好んで食べ、人口が多いので豚肉の世界消費量を押し上げている。

明治以降の日本だけに焦点をあてた場合でも、東日本では豚肉の消費量が多く、西日本では牛肉の消費量が多いとされる。ただし西日本でも、九州や沖縄では豚肉の方が消費量が多い[34]
代用
植物肉

鳥獣の身を使わず、類などから食肉や肉加工品に似せた味わいを持たせた「植物肉」が開発・販売されている[35]。将来予測される食肉不足、健康志向や菜食主義から鳥獣肉を避ける消費者向けの需要を見込んでいる[36]

こうした現代の技術で開発された加工食品だけでなく、植物性食材から肉に似せた料理を作る技術は、日本の精進料理や中華圏の素食(台湾素食など)に伝承されている[37]
培養肉

動物を殺傷せず食肉となる部位の細胞組織培養することで、工業的に生産する培養肉の研究が行われている。しかし、大量生産技術が確立していないこと、生産コストが高いなどの理由から一般的に普及はしていない。
マイコプロテイン

フザリウム属の真菌代謝によりアンモニア空気と微量ミネラルから作られたタンパク質[38]
健康

食肉の摂取は癌の増加につながる可能性があるが[39]、食事中の少量の炭水化物を動物性タンパク質に変換することにより、認知機能を保護することに関連している。しかし、動物性タンパク質よりも植物性タンパク質に変換する方が効果的であり[40]、食事中の動物性タンパク質から植物性タンパク質へのわずかな3%の変換でさえ、より長い寿命と関連している[41]。豚肉や牛肉よりも魚介類や鶏肉の方が健康的だが、炙り焼きなど肉を炙る調理法は、たとえ魚介類や鶏肉であっても体に非常に悪いので、避けるべきとのことである[42][43][44]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ USDA yield gradeとUSDA quality gradeがある[14]
^日本食肉格付協会 により規格化および運用されている。

出典^ 「食肉」『広辞苑』
^ Ayy?ld?z, Esat. “Klasik Arap Edebiyat?nda Et Motifi”. International Malatya Gastronomy Culture and Tourism Conference. ed. Aynur Ismayilova ? Gunay Rzayeva. 19-24. Malatya: IKSAD Publishing House, 2022.
^ 「世界の食文化百科事典」p68-69 野林厚志編 丸善出版 令和3年1月30日発行
^肉の生食に注意! 埼玉県ホームページ(2018年3月17日閲覧)
^ a b .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}国際がん研究機関 (26 October 2015). ⇒IARC Monographs evaluate consumption of red meat and processed meat (PDF) (Report). “WHO report says eating processed meat is carcinogenic: Understanding the findings”. ハーバード公衆衛生大学院 (2015年11月13日). 2017年5月6日閲覧。


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