「食糧」と「食品」と「食物」といった近接した意味の用語があるが、おおむね、「食糧」は食品よりも材料寄りの概念で、食物は食品が調理されたものとされる[2]。例えばイネから収穫した米(イネの実)はそのままでは「食糧」であるが、それを精米すると「食品」という位置づけになり、精米された米を炊飯すると「ご飯」(米飯)という「食物」になる[2]。ただし「食物」という表現は、指す範囲がはっきりせず、漠然と用いられる傾向がある[2]。
食品には、さまざまな分類法がある。植物性食品・動物性食品といった大分類以外にも、タンパク質性食品・デンプン性食品・脂肪性食品といった栄養学的分類、生鮮食品・加工食品という加工状態による分類、醸造品・缶詰食品・レトルト食品・冷凍食品といった加工法による分類法などがある。
食品は安全・栄養・経済・実用・嗜好などの価値で評価・分析できる。食品は、品質低下の防止、輸送・供給の安定、食の安全、栄養価の保持などのために保存が行われている。食品をそのまま保存する方法には、冷蔵、冷凍、包装、乾燥などの方法があり、加工した上で保存する方法としては塩蔵、砂糖漬け、酢漬け
、醤油・味噌づけ、瓶詰・缶詰などがある。日本食品衛生法第4条は「この法律で食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品
は、これを含まない。」と規定する[4][注 1]。食品安全基本法2条における「食品」の定義も同様である。米国の制度上の分類では「食品及び栄養摂取の目的で口から入るもの」について主に保健福祉省(Department of Health and Human Services、HHS)のアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)の食品安全・応用栄養センター(Center for Food Safety and Applied Nutrition、CFSAN)の所管としている[6]。 主な分類に以下のようなものがある。
食品の分類
大別的分類:植物性食品
日本の制度では食品は医薬品などと区別され、食品はさらに一般食品と保健機能食品(特定保健用食品及び栄養機能食品)に分けられる[6]。 米国の制度では食品は一般食品、添加物、栄養補助食品、医療食に分類される[6]。 国際食品規格委員会のコーデックス食品分類システム(Food Category System: FCS)では16種類の食品に分類される[7]。
米国
コーデックス食品分類システム
乳製品及び類似製品牛、羊、山羊、水牛等の乳に由来する乳製品[7]。乳及び乳飲料(牛乳など)、発酵乳、練乳、チーズ、乳を主原料とするデザート(プリン、フルーツヨーグルト、フレーバーヨーグルト
油脂及び脂肪エマルジョン植物、動物、又は海産物源、あるいはその混合物に由来する脂肪を主原料とする製品[7]。バターオイル、ギー、植物性油脂(オリーブオイル、綿実油など)、動物性油脂(ラード、魚油など)を含む[7]。
シャーベット及びソルベを含む食用氷シャーベットやソルベなど水を主原料とする冷凍されたデザート[7]。
果実及び野菜(キノコ類、根・塊茎、豆類・マメ科植物、及びアロエを含む)、海藻、並びに種実類さらに大分類で果実(04.1)と野菜、海藻、並びに種実類(04.2)の2つに分類される[7]。果実には生鮮果実と加工果実(冷凍果実、レーズンやプルーンなどの乾燥果実、ピクルス、缶詰、瓶詰、ジャム、マーマレード、チャツネなど)がある[7]。野菜も生鮮野菜と加工野菜(冷凍野菜、乾燥野菜、ピクルス、漬物など)がある[7]。
菓子類ココア及びチョコレートを主原料とするココア及びチョコレート製品(05.1)、ハードキャンディやソフトキャンディなどその他の菓子製品(05.2)、チューインガム(05.3)など[7]。
ベーカリー製品を除く穀粒、根・塊茎、豆類、マメ科植物及びヤシの中果皮又は柔らかい芯に由来する穀物及び穀物製品穀物及び穀物を主原料とする未加工製品(大麦、トウモロコシ、米などの未加工の穀物及び穀粒)と加工製品(小麦粉やきな粉等の穀物粉、シリアル製品、パスタ、麺類、団子、餅、大豆製品(豆乳、豆腐、納豆など))を含む[7]。