食品
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強い食物アレルギーがある場合、最悪の場合は死に至ることすらある[49]

さらに、世界のほとんどで食用とされないものを、ある文化の人々が特殊な処理方法によって食品とすることもある。例えばフグには強いがあるためほとんどの文化では食用としないものの、日本においては有毒部分を取り除いたものが美味として広く流通している。

上記のような極端な例を除いても、各地域において主に用いられる食品の違いはなお大きい。各地域はそれぞれ主に炭水化物を供給する主食を持つが、それにもコムギ、コメ、トウモロコシなどの穀物を主食とする地域から、キャッサバタロイモなどのイモ類を主食にする地域まで幅がある[50]。乳製品も地域的な差の多い食品であり、遊牧民を中心に広い範囲に乳製品の利用圏が広がっている一方で、東アジアや東南アジアでは伝統的に乳製品を用いてはこなかった。しかしこうした食品の地域差は、とくに1990年代以降の急速なグローバリゼーションの進行によって標準化が進みつつあり、全体として縮小する傾向にある[51]。特色ある食品や料理はその地域文化の核となることも多い。ヨーロッパでは19世紀に民族意識やナショナリズムが興隆した結果、各地でその地域を代表するような名物料理が成立し、民族・地域意識の核のひとつとなってきた[52]

食品と祭礼年中行事との関連は深く、特定の行事の際に食される行事食は数多い。例えば日本においては土用の丑に食されるウナギや、冬至に食されるカボチャ端午の節句の際のちまきなどがこれにあたる。中華圏では中秋節の際に月餅が贈り物とされ、北アメリカでは感謝祭の時にシチメンチョウを食べるのが定番となっているなど、このような行事食は世界中に存在する[53]
産業

食品は、食品を生産する農業水産業、加工しさまざまな加工食品を生産する食品工業、生産された食品を集荷し流通させる運輸業卸売、そして食品小売業にさまざまな料理を消費者に提供する外食産業まで、フードシステム(英語版)と呼ばれる巨大な産業構造を形作っている[54]。1980年代以降、こうしたアグリビジネス企業の巨大化が農業生産・食品加工・食品小売の各部門で進んでいる[55]一方で、世界各国に無数の中小食品企業が存在して生産を続けており、大企業と中小企業が併存する構造となっている[56]
食品行政
日本
食品表示詳細は「食品表示」および「食料政策」を参照

日本では多くの食品が農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(通称JAS法)によって日本農林規格に従った表示が義務付けられている。1999年平成11年)の改正によって、消費者向け飲食料品への品質表示(産地・原料など)が義務化された。このほか食品衛生法および健康増進法にも食品表示の規定が存在したが、2013年(平成25年)に食品表示法が制定されたことでこれら三法の食品表示規定が一本化された[57]。また、2009年(平成21年)10月の消費者庁発足により、食品安全行政の所管省庁が消費者庁に一元化された[57]
食品衛生法詳細は「食品衛生法」を参照

食品衛生法(昭和22年法律第233号)は、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律。所管は厚生労働省消費者庁。食品と添加物と器具容器の規格・表示・検査などの原則を定める。食品表示に関しては食品衛生法でも基準が定められている。使用した添加物については表示をさせる。また2003年(平成15年)には、食品安全管理の基本法として食品安全基本法が制定された[58]
米国
FDA
米国では「食品及び栄養摂取の目的で口から入るもの」について主に
保健福祉省(Department of Health and Human Services、HHS)のアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)が主に所管する[6]
USDA
アメリカ合衆国農務省(United States Department of Agriculture、USDA)は食品のうち、果物、畜肉、家禽肉、卵製品を所管する[6]。食品に関する有機(オーガニック) 査定表示認証もUSDAの所管である[6]
EPA
アメリカ合衆国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は食物の残留農薬値の設定など食品の環境による汚染に対する安全審査を所管する[6]
FTC
連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)は食品や栄養補助食品の表示、健康強調標示(ヘルスクレーム)、広告内容などを所管する[6]
財務省

アメリカ合衆国財務省(Department of Treasury)はアルコール類の規制を行っている[6]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 法改正前の食品衛生法第4条では、「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号)に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」と規定していた[5]

出典^ 他言語では、: alimentum: Lebensmittelなど。
^ a b c d e f g h i j k l m 小学館『日本大百科全書』「食品」河野友美 執筆。
^ 広辞苑第6版
^ “ ⇒用語解説(食品ロス参照)”. 京都府. 2020年6月1日閲覧。
^ “食品衛生法(昭和二十二年十二月二十四日法律第二百三十三号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2009年11月30日閲覧。
^ a b c d e f g h i “健康食品調査(米国)”. 日本貿易振興機構ロサンゼルス事務所農林水産・食品調査課. 2020年6月1日閲覧。
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v “資料 1-1. コーデックス食品分類システム(Food Category System: FCS)”. 農林水産省. 2020年6月1日閲覧。


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