主食の不作などで食糧難が起こったときの代替食料として、世界各地に主にデンプンを供給するための救荒食物が分布している。こうした救荒食物は普段は味や食用とするための手間などの面で劣っていたり、有毒で特殊な処理をしないと食用とできないものなどが多く、通常時には食用とされないことがほとんどである[18]。 食品の保存とは、食品を腐敗・変敗
食品の保存
食品の保存目的
品質低下の防止
食品を生産地から遠隔地へ輸送し、供給の安定を図る
衛生上の危害を防止し、食生活の安全を確保する
食品の栄養価を保つ
食品の保存方法「保存食」および「食料保存」も参照
食品をそのままの形で保存する方法冷蔵庫の中で保存された食品冷凍されたピザ
冷蔵
食品を凍結させず0℃から10℃で保存する方法である[20]。細菌の活動を完全に抑えることはできないため、短期間の保存に向いている[21]。
冷凍
マイナス20℃からマイナス25℃の温度で急速に凍結させた後、マイナス15℃以下で保存する方法[22]。長期の保存に向いているが、細菌を死滅させるわけではないため、解凍後の取り扱いに注意する必要がある[22]。また、凍結により食品の組織に変化が起こり、鮮度が失われるという短所がある[22]。
包装
包装により食品を外界から遮断することで、異物の混入や空気の流入を防ぐ[22]。様々な形態があり、包装用の素材の開発も進んでいる[23]。
乾燥
天日、熱風、電気、凍結(フリーズドライ)によって細菌の増殖や酵素の作用に必要な水分を減少させる[20]。乾燥の程度は、概ね約15%以下である[20]。
地下貯蔵
食品を土中や、コンクリートの穴に入れる方法[20]。さつまいもなどの保存に用いられる[20]。
加熱殺菌
加熱により腐敗・変敗の原因となる微生物を死滅させ、酵素を破壊する[22]。具体的な方法としては蒸煮や焙煮のほか、液体瓶詰食品に用いられる低温殺菌法、缶詰食品に用いられる高温殺菌法がある[22]。加熱殺菌した食品は、開封後腐敗しやすい点に注意する必要がある[22]。
保存料の添加
保存料を使用して細菌の死滅や増殖阻止を実現し、酵素の働きを阻害する方法[22]。添加することのできる保存料の量は法律で定められている[22]。
食品を加工して保存する方法
塩蔵
食品に食塩を添加する方法[24]。食品を塩度の高い状態に置くと浸透圧によって脱水が起こり、細菌の増殖を阻止する[24]。塩漬けの漬物が典型で、魚介類の保存にも用いられる[24]。ジャムの瓶詰。
砂糖漬け
濃度50%以上の砂糖液に漬け、脱水作用によって細菌の増殖を抑える[24]。例としてジャム、ゼリー、羊羹、加糖練乳など[24]。
酢漬け
酢がもつ殺菌作用や、水素イオン濃度を変化させる性質を利用して細菌の増殖を抑える方法[24]。
醤油漬け、味噌漬け
食塩の脱水作用を利用し、調味と同時に保存性を高める[25]。
調味 - 調味加工の過程における加熱や脱水によって、保存性が高められる場合がある[26]。例として佃煮など[26]。
瓶詰・缶詰
調味加工した食品を瓶や缶に入れ、密封・脱気・加熱殺菌する[26]。
塩乾
食塩の添加と乾燥によって、調味とともに保存を図る方法[26]。塩分が多く水分が少ないほど長期保存に向く[26]。魚介類の干物が例として挙げられる[26]。魚類の燻製
燻煙
塩漬けにした肉類や魚類を、木材を不完全燃焼させて発生させた煙の中に置き、脱水により殺菌する方法[26]。煙の成分を食品が吸収し、特有の香気や風味がつく[26]。
細菌・酵母・カビなどの利用
有用な細菌・酵母・カビを増殖させることで、他の細菌の増殖を抑える方法[26]。食品の成分が変化し、風味が増す[26]。例として、納豆、酒、味噌、醤油、チーズなど[27]。
歴史詳細は「食品史(英語版)」を参照
太古の人類は狩猟によって動物を狩り、海や川で漁(漁労)を行って魚や海産物を手に入れ、採集によって植物性の食品を手に入れていた[28]。やがて火の利用が始まると、それまで生では食べることのできなかった穀物や豆、芋などが食用可能になり、食品の幅は大きく広がった[28]。こうして入手した食品の貯蔵も行われており、氷河時代末期には乾燥や燻製といった保存技術も存在していたことが確認されている[29]。