また、上記のように、飛地は生成される一方で、解消されたり、再生成されたりする動きもある。例えば、日本では、住居表示の実施、土地区画整理等に伴う行政区画の変更、市町村合併などにより、飛地は次第に解消される場合もあるが、合併交渉の破綻により細分化される事例もある。また、行政側が飛地の解消を望んでいたとしても住民が民族的・歴史的経緯などから反発する場合や、逆に住民側が望んでいても行政側が政治上の理由によって解消を拒否する場合などがあり、単純に関係地域の合併交渉だけで解消につながるものではない事例が多い。 ここでは領土の飛地を挙げる。在外公館などの、他国の領土内で治外法権が認められた領域は領土に相当しない。軍事基地に関しては、アクロティリおよびデケリアのような、基地設置国の領土となっている場合もあるが、在外米軍基地のような多くの外国軍基地は治外法権領域である。また、占領も領有とは異なり、占領国の領土に編入されていない占領地も領土の飛地ではない。
国家の飛地
アゼルバイジャンナヒチェヴァン
ナヒチェヴァン自治共和国 - 北東にアルメニア、南西にイラン(東アゼルバイジャン州、西アゼルバイジャン州)が隣接
カルキ
ユカリ・アスキパラ(英語版)(アルメニア語名Verin Voskepar)、バルクダルリ(英語版) - どちらもガザフ県の村。アルメニア・タヴシュ地方に囲まれており、カルキと同じくナゴルノ・カラバフ紛争時にアルメニアが占領。
アルゼンチン
マルティン・ガルシア島 - アルゼンチンとウルグアイの国境となっているラプラタ川の河口にあり、ウルグアイの領海内に位置する。
アルメニア
アルツヴァシェン - 周囲はアゼルバイジャンギャダベイ県(英語版)。1992年以降「バシュケンド」としてアゼルバイジャンが占領している。
アメリカ合衆国アラスカ州
アラスカ州 - 北米大陸の西北端であるこの地は、かつてロシア領アメリカだったが、1867年にアメリカへ売却され(アラスカ購入)、カナダ(当時は英領)を挟んだアメリカの飛地となった。
ポイントロバーツ - カナダのブリティッシュコロンビア州南端に位置するロバーツ岬の先端部だけがアメリカ合衆国ワシントン州に属する。これは、アメリカとカナダ(当時はイギリスの植民地)が北緯49度を国境線と決めたため、49度線より南に飛び出した岬の先端部分のみがアメリカ領になったもの。
エルム・ポイント - ウッズ湖に面した先端部だけがアメリカ合衆国ミネソタ州に属する。これもポイントロバーツ同様、北緯49度を国境線と定めた際に飛地が形成された。付近に次項のノースウエスト・アングルが存在する。
ミネソタ州レッドレイク・インディアン居住区(英語版)(ノースウエスト・アングル)- 周囲はカナダとウッズ湖。
プロビンス岬 - シャンプレーン湖に突き出した先端部のみがアメリカ合衆国バーモント州に属する。
プロビンス島 - メンフレマゴグ湖(英語版)に浮かぶ島。大半がケベック州マゴグに属するが、南端の一角のみバーモント州オーリンズ郡に属する。
アラブ首長国連邦
ナワ - 周囲はオマーン領のマダ。マダも飛地であるため二重飛地(飛地の中の飛地)である。なお、この連邦内東部には、各首長国の領域が混在しており、フジャイラやラアス・アル=ハイマ首長国の主たる領域が分断されているなど、飛地がいくつか存在する。
アンゴラカビンダ
カビンダ - 北にコンゴ共和国、南東にコンゴ民主共和国が隣接、西は大西洋。