また、上述の「Hの内部にあるEの飛地E1のさらに内部に、Hの二重飛地H2」があり、さらにそのH2の領域に完全に囲まれる形でEの領地E2が存在する場合、「飛地の中の飛地の中の飛地」、すなわち三重飛地となる。三重飛地の実例はインドのダハラ・カグラバリが世界唯一とされるが、すでに解消されている。 封建制下においては、同一の君主の所領が各所に分散していることは珍しくなかった。国民国家形成の際に旧来の領邦の境界を引き継ぐこともあり、その際に領土や行政区画に飛地が残ったという事例がヨーロッパ・インド・日本に多いようである。 その他の要因としては以下のようなものがある。 上記のようにして形成されたものの多くは、飛地と呼ばれる。しかし、植民地の場合には、領土という観点では飛地であっても、飛地と呼ばないのが普通である。例えば、かつてのインドはイギリスの飛地であるとはいえない[1]。 また、上記のように、飛地は生成される一方で、解消されたり、再生成されたりする動きもある。例えば、日本では、住居表示の実施、土地区画整理等に伴う行政区画の変更、市町村合併などにより、飛地は次第に解消される場合もあるが、合併交渉の破綻により細分化される事例もある。また、行政側が飛地の解消を望んでいたとしても住民が民族的・歴史的経緯などから反発する場合や、逆に住民側が望んでいても行政側が政治上の理由によって解消を拒否する場合などがあり、単純に関係地域の合併交渉だけで解消につながるものではない事例が多い。 ここでは領土の飛地を挙げる。在外公館などの、他国の領土内で治外法権が認められた領域は領土に相当しない。軍事基地に関しては、アクロティリおよびデケリアのような、基地設置国の領土となっている場合もあるが、在外米軍基地のような多くの外国軍基地は治外法権領域である。また、占領も領有とは異なり、占領国の領土に編入されていない占領地も領土の飛地ではない。
発生する要因
その他エルム・ポイント。アメリカ・カナダ国境を北緯49度線を基準にした結果、飛び地と化した岬。
河川の流路変更によるもの(アメリカ合衆国ホーコン・トラクトなど)。
境界線を策定した際に、陸地の形と無関係に緯度・経度などを一律に基準としたため、海や湖に阻まれて行き来できない場所が飛び地化したもの(アメリカ合衆国ポイントロバーツ、エルム・ポイントなど)。
境界線を策定した際に、住民の民族や宗教を基準としたため発生したもの(ガザ地区、ナヒチェヴァン自治共和国、東パキスタン(現バングラデシュ)など)。
領土の買収によるもの(アメリカ合衆国アラスカ州など)。
貿易・防衛拠点として確保した後、周囲の国に返還されなかったもの(スペインのセウタ、イギリスのジブラルタルなど)。
領土の一部が他国に併合されるもしくは独立により発生したもの(ブルネイのテンブロン地区、東プロイセン、ロシア連邦のカリーニングラード州など)。
隣接しない国家・市町村の合併により発生したもの(アラブ連合共和国、アラブ共和国連邦など)。
入植地(新田など)。
集落ごとの入会地設定やため池の設置、回廊地帯の設置などによるもの。
備考
国家の飛地
アゼルバイジャンナヒチェヴァン
ナヒチェヴァン自治共和国 - 北東にアルメニア、南西にイラン(東アゼルバイジャン州、西アゼルバイジャン州)が隣接
カルキ
ユカリ・アスキパラ(英語版)(アルメニア語名Verin Voskepar)、バルクダルリ(英語版) - どちらもガザフ県の村。アルメニア・タヴシュ地方に囲まれており、カルキと同じくナゴルノ・カラバフ紛争時にアルメニアが占領。
アルゼンチン
マルティン・ガルシア島 - アルゼンチンとウルグアイの国境となっているラプラタ川の河口にあり、ウルグアイの領海内に位置する。