風邪
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診断

風邪とインフルエンザの違い[14]風邪(Cold)インフル (Flu)
発熱まれ頻出 (37-38℃)
頭痛まれ頻出
疼痛わずか大部分、重度となりえる
疲労・脱力時々大部分、2-3週続く
極度の疲労なし大部分
鼻汁頻出時々
くしゃみ頻出時々
のどの痛み頻出時々

アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は、以下のケースでは医療機関に受診すべきと勧告している。

体温が摂氏38度以上の場合[4]

症状が10日以上継続する場合[4]

症状が深刻か、普通でない場合[4]

風邪の多様な症状は、様々な病因によって発生し、稀に淋病が喉粘膜に発生することでも、風邪によく似た症状が出る。この他にも風邪と紛らわしい初期症状を示す病気は数多くあり、これらを風邪として扱ってしまいがちなことが、普通感冒の重症化の場合に加えて[25]、「風邪は万病のもと」と言われる所以となっている[26]

なお、情報源がアメリカの場合に発熱が「まれ」とされることについては、英語での用法も参照のこと。

風疹麻疹流行性耳下腺炎などは、症状が非常に特徴的であり、疾患名が特定しやすいので、風邪には含めない(ただし流行性耳下腺炎は、俗に『おたふくかぜ』と称する)。
鑑別疾患「気道感染#有名な急性気道感染」も参照

他にもあらゆるウイルス、マイコプラズマクラミジア細菌が風邪の原因となり[7]、その数は200種類以上といわれる。風邪となる病原は非常に多く、またライノウイルスを例に挙げると、数百種類の型が存在するためワクチンを作ることは事実上不可能であり、どのウイルスまたは細菌が原因なのか診断するのも困難である。

逆に言えば、病原となるウイルスまたは細菌が特定できた場合は、それらはそれぞれの疾患名で呼ぶべきであり、風邪という症状名で呼ぶのは適切ではないということになる。例えばインフルエンザウイルスによる風邪に関しては、特に症状が重いことと、検査方法が確立していることから、原因が特定され、その場合は「インフルエンザ」という疾患名で呼ばれることとなる。

細菌性の感染かウイルス性の感染かは血液検査を行い、CRP値と白血球数を参考にする。

風邪の原因となるウイルス・細菌の種類は極めて多く、原因が特定されない場合が多いが、原因が特定できた場合においては、その原因によって疾患名が確定する。また「風邪は万病の元」と言われるが、あらゆる疾患の初期症状は「風邪」として片づけられることも多く見られる。そして疾患が進むと、風邪症状の範疇には収まらない、その疾患の特有の症状が発現することになる。

このため、数日で軽快しない場合は、「あらゆる疾患」が鑑別にあがる。

以下にあるのはその一部分である。

経過が短いもの(経過が短いものは急速に増悪し、治療が間に合わないこともある)

インフルエンザ

急性喉頭蓋炎

咽頭後壁膿瘍口底蜂窩織炎

髄膜炎脳炎

心筋炎

レミエール症候群(細菌性頸静脈炎)

慢性骨髄性白血病急性転化

糖尿病性ケトアシドーシス


経過が長いもの(正しい診断に至るまで時間がかかることがある)

マイコプラズマ感染症

クラミジア感染症

肺結核非結核性抗酸菌症

百日咳

伝染性単核球症

扁桃周囲膿瘍

組織球性壊死性リンパ節炎(菊池病)

感染性心内膜炎

心不全心臓性喘息

気管支喘息

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 (ABPA)・夏型過敏性肺臓炎

慢性閉塞性肺疾患 (COPD)

リウマチ性多発筋痛症RS3PE

巨細胞性動脈炎…原因不明の発熱、頭痛など感冒類似の症状がみられる。

原田病…感冒様症状に続きぶどう膜炎を発症する。


予防

過労を避け睡眠を十分にとり、健康的な生活を送ることが防御機構のはたらきに重要である[27]

ハーバード大学医学部からの2021年1月の報告によると、ビタミンAビタミンD、およびビタミンEは、風邪、喘息、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患の軽減と予防に関連している[28]

2014年のシステマティック・レビューでは、手洗い消毒用アルコールによる手指の消毒、マスク、また亜鉛のサプリメントにて有益である可能性があったが、研究報告にバイアス(偏り)がある可能性もあった[29]プロバイオティクス乳酸菌など)も有益である可能性があり、6つのランダム化比較試験の結果には矛盾があったが、プール解析(結合解析)は風邪の減少を示していた[29]。マスクの着用、ポビドンヨードによるうがい朝鮮人参、週5日の運動、ニンニクホメオパシービタミンC (0.2 - 3 g)、ビタミンDエキナセアでは、予防の利益は判明しなかった[29]

手洗い - 自宅でも外出時でも、他の人が触れたものに触れた場合は、手を石鹸で洗い、水で30秒以上すすぐ[4]。また、手で自分の目や鼻や口に触れないようにする[4]。ライノウイルスについては感染経路に対して有効なことが確認されている[27]

病人と同室に滞在しない[4]

乾燥を防ぐ - 部屋の湿度を50 %以上に保つことは、喉の保湿に役立ち、喉でのウイルスの活動を抑える。

マスク - 病原体の侵入を防ぐほか、喉の保湿に有益で、また保菌者が他者に感染させる可能性を減らす[30][31]

2013年のコクランレビューでは、1日200mg以上のビタミンCは、風邪の発症率に変化はないが、重症度を下げ、罹患期間が成人で8 %、小児では14 %短縮し、マラソン選手など極度に肉体疲労する人々では予防効果はあった[32]。2014年のコクランレビューは、3か月毎日のニンニクは風邪の発症率を低下させており、罹患期間に差はなかった[33]。ビタミンCの摂取量が低い人々に対する1000mgのビタミンCは、偽薬に比較して、風邪の発症率を減らし風邪の期間を59 %減少させていた[34]

ウイルスの鼻投与153人で、2週間の(寝具にいるが眠っていないと下がる)睡眠効率の悪さは発症率を上昇させていた[35]。同じく鼻投与164人で、睡眠状態を計測するアクチグラフ(英語版)によって計測し、7日間の睡眠時間の短さは風邪の発症率を増加させていた[36]。その理解のための調査では、52人を睡眠不足にさせると、免疫応答の低下を示す測定値が減少し、7日後に正常化し元に戻った[37]

社会と交流を持ったり、社交的支援があったり社会性が高い方が、風邪の発症リスクが低下するという研究が過去に行われてきた[38]。客観的な社会指数と主観的な孤独感を計測した鼻投与213人では、主観的な孤独感の方が風邪を予測していた(問題は社会的な役割の数である)[39][40]


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