顕生代
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コノドントは小さな化石微化石でたくさん見つかる上に時代による変化が大きいため示準化石として使われているが、クリダグナサスのような無顎類とは異なる原始的な魚類の喉部にある咀嚼用器官(歯)であった[52]。最古の陸上植物の可能性として、アフリカのリビアにあるオルドビス紀の地層からゼニゴケ類似の胞子の化石が見つかっている[53]。またアメリカ東部の陸域で堆積した地層からムカデの足跡に似た生痕化石がみつかっている[53]。約4億3900万年前のオルドビス紀末に原因不明の急激な寒冷化による生物の大絶滅が起こった。まず急激な氷河の発達により海水準が降下し浅海の固着生物の住処が無くなり、その後温暖な気候に戻るにつれて今度は急激な海水準の上昇とおそらく深海からの低酸素の水が上昇してきたことによる窒息によって、当時海洋に生息していた科のレベルで20%・属のレベルで60%が絶滅した[54]

無顎類アランダスピス、いわゆる甲冑魚

殻長5.7メートルに達する大型の頭足類エンドセラス

フデイシ原索動物に分類される

コノドントは原始的な魚類の消化器官前端の歯であった

シルル紀の気候と生物

シルル紀は約4億4千万年前から約4億1500万年前までの比較的短い期間である[38]。オルドビス紀に引き続き温暖な気候であった。シルル紀に植物と動物が地上に進出した。

植物が地上に繁栄するためには、地上の空中にあるを保持しつつ水分や養分を運搬する強固な維管束が必要である。確認できる最古の地上植物は高さ約10cmに満たない根も葉も無いクックソニアであった。クックソニアは地上植物であるが維管束はまだ発達していなかった[55]。また陸上の河川敷を歩いた節足動物の明瞭な生痕化石も見つかっている[53]。最初に陸に上がったのはヤスデの仲間で[56]昆虫が続いた[57]。海中ではオルドビス紀末の大絶滅の後に、絶滅した種と同系統の生物が進出したため、絶滅前後での海中での生物多様性の変化は少なかった[54]。浅海では三葉虫、腕足類、サンゴなどが生息し、遠洋ではフデイシが繁栄していた[55]。シルル紀に板皮類という「初めて顎を持った魚類」が生まれた[58]。魚の一部は海から汽水域さらに淡水の河川へと生息地を広げていった[59]。また、棘魚類板皮類が顎を獲得し、硬骨魚も出現した。浅海や汽水中には大型で強力な捕食者のウミサソリが生息していた。

最古の地上植物クックソニア、茎の先に胞子嚢がある

1m以上の巨大種を多く含んでいるウミサソリ

最古の陸上動物の一つ、ヤスデ類のニューモデスムス(英語版)

デボン紀の気候と生物

デボン紀は4億1500万年前から約3億6000万年前まで続いた[38]。デボン紀は大陸の集合が始まったため、中期までは温暖な気候であったものが末期には寒冷化してゆく[35]。その過程で陸地には雨季と乾季が交互に訪れるようになり、地上の池や川は季節によって水が干上がった[60]

棘魚類から進化した硬骨魚は陸地の河川に生息していたが、この季節変化に対応するため、乾季空気呼吸のできる肺を備えるようになった。エウステノプテロン(またはユーステノプテロン[注釈 11]は肺呼吸を行っていた魚類とされており、骨格や鰭の形などから両生類の祖先に近縁の生物であるとされている[注釈 12]。硬骨魚類の中で鰭の基部に丈夫な骨格を有する肉鰭類から、鰓を無くし肺呼吸を行い、鰭を足に変えて地上を移動できる両生類イクチオステガが陸上に進出した[61]。水中でも魚類の多様性が著しく拡大し、巨大な板皮魚ダンクルオステウスなどのほかに、クラドセラケなどの軟骨魚類や現在の魚の大部分を占める条鰭類の祖先が繁栄し始めた[62]

地上に進出した植物は維管束を発達させ、効果的に光合成を行えるを作った。トリメロフィトン類(trimerophyte)はデボン紀の初期から中期に繁栄したが最大高さ3mに達した[63]。その後現在の植物につながるヒカゲノカズラ類、トクサ類、シダ植物、原裸子植物(または前裸子植物)が生まれた[64]。これらの植物は太陽の光を求めて高さを増し、デボン紀後期には原裸子植物のアルケオプテリス(Archaeopteris)は樹高20mに達した[65]。原裸子植物は約5000万年後に絶滅するが、子孫として裸子植物を生み出しすべての種子植物の先祖となった。これらの樹木による森林は活発に光合成を行い、二酸化炭素を固定し酸素を放出した。この森林の中で昆虫類の多様化が進んだ。デボン紀後期の約3億7600万年前に、生物の大絶滅が起こった。この絶滅の原因はいまだに十分解明されていないが、海洋生物の科のレベルで22%、属のレベルで57%の生物が絶滅したとされる[66]

肉鰭類、シーラカンスの一種であるミグアサイア、陸上動物の四肢の元となった頑丈な胸鰭と腹鰭がわかる

小型の棘魚類クリマティウス

巨大な顎を持つ板皮魚ダンクルオステウス

初期の四肢動物イクチオステガ

石炭紀の気候と生物

石炭紀は約3億6千万年前から約3億年前までの期間である[38]。石炭紀には気候が寒冷化してゆき、石炭紀後期の約3億3300万年前には南半球のゴンドワナ大陸上に巨大な氷床が広がって、ゴンドワナ氷河時代が訪れた。赤道から北半球にかけて存在したローラシア大陸の気候は温暖で沼沢地が多く、ここにシダ植物ロボクリンボク (化石植物)の大森林が形成された[67]。地上の植物は光合成により二酸化炭素を吸収固定するが、現在の地上では枯れて倒れると菌類やバクテリアや昆虫などによって効果的に分解・酸化され、大気から固定化された二酸化炭素はほとんどが大気中に戻る。しかし当時の森林は沼沢地に形成されたため枯れた木は水中に沈みほとんど分解されず[注釈 13]、石炭紀には木材のリグニンを分解できる菌類が十分に進化しておらず[68][69]、それが石炭の大鉱床となった。それまで大気中に比較的多く存在していた二酸化炭素は石炭となって大気中から取り除かれた結果、石炭紀後期の二酸化炭素濃度は現在とほとんど同じレベルまで低下した[70]。大気中の二酸化炭素濃度の低下により温室効果が減った地球は寒冷化し氷河時代となった。また当時の酸素濃度は現在の約2倍あったと推定されている[71]。森林の繁栄により大量の炭素が石炭として固定化された結果、石炭紀直後のペルム紀初期の大気中の酸素濃度は35%に達したといわれる(現代は21%)[72]


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