頭痛
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また、慢性片頭痛は、反復性片頭痛よりもビタミンB2 (リボフラビン)やコエンザイムQ10の欠乏が多いとする研究が存在する[8]ものの、これらのサプリメントが片頭痛を予防するかはまだ分かっていない[8]。ビタミンB2はレバーに、コエンザイムQ10はハツに多く含まれている。

また、ミトコンドリア病の治療において、タウリンの補給も試みられている[9][10]。ミトコンドリアでのタンパク質合成にはタウリンが必要となるものの、ミトコンドリア病の一種であるMELASおよびMERRFの患者ではタウリンと転移RNA (tRNA) の結合減少が指摘されており、その解明が進んでいる[11][12]。なお、片頭痛患者は、片頭痛に伴い血漿および脳脊髄液にタウリンが放出されるとする研究がある[13][14]ものの、原因は不明。

また、筑波大学の研究によれば、アミノ酸のグリシンは、老化による後天性ミトコンドリア呼吸欠損を回復するとしている[15]ものの、グリシンが頭痛に効くかは不明。片頭痛患者は、脳脊髄液のグリシン量が健常者よりも多いとされる[13]

レスベラトロールはミトコンドリア機能を改善するとされる[16][17]が、頭痛に効くかは不明。逆に、レスベラトロールの副作用によって頭痛が起こる場合もある[17]。ミトコンドリアは褐色脂肪細胞に多く含まれているが、マウス実験において褐色脂肪細胞はSIRT1の活性化により増えるとされており[18]、レスベラトロールはそのSIRT1を直接活性化するとみられていたが、後にその直接的な活性化は間違いであり、蛍光分子の導入により起きていたことが判明した[19]。レスベラトロールはイタドリに多く含まれている。
アセチル-CoA不足

クエン酸回路の燃料となるアセチル-CoAを生成するための解糖系及びβ酸化 (脂肪酸代謝) も重要となる。

補酵素A (CoA) は解糖系および脂肪酸代謝の両方において必須となっているが、その補酵素Aの合成にはパントテン酸が必要となる。パントテン酸欠乏症でも頭痛が起きるとされる[20]

また、脂肪酸代謝ではL-カルニチンが必要となる (カルニチン#役割)ほか、解糖系ではグルコースのリン酸化にマグネシウムイオンが必要となる。酵素欠乏によるカルニチンレベル低下は片頭痛の原因となりうるとの報告がある[21]。また、L-カルニチンおよびマグネシウムの摂取は偏頭痛に効果のある可能性がある[22]

低血糖症でも頭痛が起こりうる[23]。この場合、ブドウ糖の補給が行われている。
酸欠

ミトコンドリアの好気的呼吸には酸素が必要となるため、酸素欠乏症高山病などにより酸欠状態になることによっても頭痛が起こる。この場合、酸素吸入などが行われる。酸素吸入は群発頭痛の治療にも使われている[24]ほか、片頭痛や緊張性頭痛などの他の頭痛にも効果のある可能性がある[25][26][27]

また、酸素を運ぶ赤血球が減って貧血になることでも、頭痛が起こりうる[28][29]鉄欠乏性貧血の場合、鉄分や鉄分の吸収を助けるビタミンCの補給が行われている。悪性貧血の場合、ビタミンB12の補給が行われる。

なお、セリアック病などによる消化器官の損傷も、長期的に鉄欠乏性貧血や悪性貧血を引き起こしうる。セリアック病の場合は、グルテンフリー食品への切り替えが行われている。

血液の流れが阻害されて酸素の供給が滞ることでも頭痛が起こりうる。例えば、多血症は赤血球が多くなることで血流を鈍くし、その結果頭痛を起こす[30]脱水によっても相対的多血症が起き[30]、頭痛が起こりうる[31]。脱水の場合は、水分と電解質の摂取が行われる。なお、逆に水分過剰の場合でも頭痛が起こりうる (#頭蓋内圧の上昇)。
頭蓋内圧の上昇

頭蓋内圧の上昇でも、頭痛が起こりうる[32]

頭蓋内圧上昇の原因の一つとして低ナトリウム血症がある[33]。低ナトリウム血症には、様々な要因によるナトリウム欠乏や、水中毒 (水分過剰) などがある。水分過剰の場合は水分の摂取を控える必要が有る。ナトリウム欠乏の場合は塩化ナトリウムの補給が行われている。

また、脳虚血は神経細胞を守るためにヒスタミン放出を促し[34]、ヒスタミンは脳浮腫を誘導して[34]頭蓋内圧を上昇させる。そのため、脳虚血は群発頭痛 (別名ヒスタミン頭痛) を引き起こす。群発頭痛の場合は酸素吸入が行われている[24]

ヒスタミン頭痛はヒスタミン食中毒のようなヒスタミンの直接摂取でも起こりうる。ヒスタミンを含有する食品の摂食は注意が必要となる。
神経障害

片頭痛患者は三叉神経髄鞘 (別名ミエリン鞘。神経の被膜部分) に異常があるとの報告が存在する[35]

髄鞘の構成要素にはセラミドホスファチジルコリンより合成されるスフィンゴミエリンが存在するが、エピソード性片頭痛患者は血清中の全セラミド量及びジヒドロセラミド量が少ないとの報告がある[36]。セラミドはDe novo経路により、パルミトイル-CoA(英語版)とL-セリンなどから合成される。また、マウス線維芽細胞でのin vitroの実験によれば、ホスファチジルセリンもセラミド合成に使われるとされる[37]。しかし、L-セリンやホスファチジルセリンの摂取が頭痛を防ぐかは分かっていない。関係は不明だが、ホスファチジルセリンとホスファチジン酸を含むレシチンの摂取に、(しばしば頭痛を伴う)月経前症候群 (PMS) への効果があるとする研究がある[38]

また、ネルボン酸も髄鞘の構成要素となっている。ネルボン酸の摂取は脱髄を予防できる可能性があり[39][40]、(頭痛を伴うこともある)脱髄疾患に有益な可能性がある[40]。その他、高血圧の片頭痛患者は突発性難聴になりやすいとされる[41]が、突発性難聴のリスク因子にはネルボン酸やコエンザイムQ10の低レベルがあるとする研究がある[42]。しかし、ネルボン酸の摂取が片頭痛や片頭痛に関連する突発性難聴を防ぐかは分かっていない。

重金属中毒によって神経等が冒された場合も頭痛が起こりうる。例えば、鉛中毒になった場合[43]、気化した金属水銀を吸い込んで水銀中毒になった場合[44]、カドミウムを吸引してカドミウム中毒になった場合などに頭痛が起こりうる[45]。水銀体温計や蛍光灯が割れた場合は、水銀を吸い込まないように注意が必要となる。

また、頭痛の一つに頭部神経痛があり、これは頭部の末梢神経障害 (ニューロパチー) による疼痛となっている。末梢神経障害の原因の一つに、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12レベルの低下が存在する[46] (栄養障害ニューロパチー)。


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