頭痛
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酵素欠乏によるカルニチンレベル低下は片頭痛の原因となりうるとの報告がある[21]。また、L-カルニチンおよびマグネシウムの摂取は偏頭痛に効果のある可能性がある[22]

低血糖症でも頭痛が起こりうる[23]。この場合、ブドウ糖の補給が行われている。
酸欠

ミトコンドリアの好気的呼吸には酸素が必要となるため、酸素欠乏症高山病などにより酸欠状態になることによっても頭痛が起こる。この場合、酸素吸入などが行われる。酸素吸入は群発頭痛の治療にも使われている[24]ほか、片頭痛や緊張性頭痛などの他の頭痛にも効果のある可能性がある[25][26][27]

また、酸素を運ぶ赤血球が減って貧血になることでも、頭痛が起こりうる[28][29]鉄欠乏性貧血の場合、鉄分や鉄分の吸収を助けるビタミンCの補給が行われている。悪性貧血の場合、ビタミンB12の補給が行われる。

なお、セリアック病などによる消化器官の損傷も、長期的に鉄欠乏性貧血や悪性貧血を引き起こしうる。セリアック病の場合は、グルテンフリー食品への切り替えが行われている。

血液の流れが阻害されて酸素の供給が滞ることでも頭痛が起こりうる。例えば、多血症は赤血球が多くなることで血流を鈍くし、その結果頭痛を起こす[30]脱水によっても相対的多血症が起き[30]、頭痛が起こりうる[31]。脱水の場合は、水分と電解質の摂取が行われる。なお、逆に水分過剰の場合でも頭痛が起こりうる (#頭蓋内圧の上昇)。
頭蓋内圧の上昇

頭蓋内圧の上昇でも、頭痛が起こりうる[32]

頭蓋内圧上昇の原因の一つとして低ナトリウム血症がある[33]。低ナトリウム血症には、様々な要因によるナトリウム欠乏や、水中毒 (水分過剰) などがある。水分過剰の場合は水分の摂取を控える必要が有る。ナトリウム欠乏の場合は塩化ナトリウムの補給が行われている。

また、脳虚血は神経細胞を守るためにヒスタミン放出を促し[34]、ヒスタミンは脳浮腫を誘導して[34]頭蓋内圧を上昇させる。そのため、脳虚血は群発頭痛 (別名ヒスタミン頭痛) を引き起こす。群発頭痛の場合は酸素吸入が行われている[24]

ヒスタミン頭痛はヒスタミン食中毒のようなヒスタミンの直接摂取でも起こりうる。ヒスタミンを含有する食品の摂食は注意が必要となる。
神経障害

片頭痛患者は三叉神経髄鞘 (別名ミエリン鞘。神経の被膜部分) に異常があるとの報告が存在する[35]

髄鞘の構成要素にはセラミドホスファチジルコリンより合成されるスフィンゴミエリンが存在するが、エピソード性片頭痛患者は血清中の全セラミド量及びジヒドロセラミド量が少ないとの報告がある[36]。セラミドはDe novo経路により、パルミトイル-CoA(英語版)とL-セリンなどから合成される。また、マウス線維芽細胞でのin vitroの実験によれば、ホスファチジルセリンもセラミド合成に使われるとされる[37]。しかし、L-セリンやホスファチジルセリンの摂取が頭痛を防ぐかは分かっていない。関係は不明だが、ホスファチジルセリンとホスファチジン酸を含むレシチンの摂取に、(しばしば頭痛を伴う)月経前症候群 (PMS) への効果があるとする研究がある[38]

また、ネルボン酸も髄鞘の構成要素となっている。ネルボン酸の摂取は脱髄を予防できる可能性があり[39][40]、(頭痛を伴うこともある)脱髄疾患に有益な可能性がある[40]。その他、高血圧の片頭痛患者は突発性難聴になりやすいとされる[41]が、突発性難聴のリスク因子にはネルボン酸やコエンザイムQ10の低レベルがあるとする研究がある[42]。しかし、ネルボン酸の摂取が片頭痛や片頭痛に関連する突発性難聴を防ぐかは分かっていない。

重金属中毒によって神経等が冒された場合も頭痛が起こりうる。例えば、鉛中毒になった場合[43]、気化した金属水銀を吸い込んで水銀中毒になった場合[44]、カドミウムを吸引してカドミウム中毒になった場合などに頭痛が起こりうる[45]。水銀体温計や蛍光灯が割れた場合は、水銀を吸い込まないように注意が必要となる。

また、頭痛の一つに頭部神経痛があり、これは頭部の末梢神経障害 (ニューロパチー) による疼痛となっている。末梢神経障害の原因の一つに、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12レベルの低下が存在する[46] (栄養障害ニューロパチー)。この場合、これらビタミンの補給が行われる。

糖尿病でも末梢神経障害の起こる可能性があり[46] (糖尿病性神経障害)、それによっても頭部神経痛が起こりうるという報告がある[47]。糖尿病では、ビオチン (ビタミンB7) と三価クロムの同時補給に血糖値を下げる効果のある可能性がある[48]。なお、糖尿病の治療では砂糖や炭水化物などの糖質を控えたり (糖尿病の食事療法)、薬を使ったりによって血糖値を下げることが行われているが、これによって低血糖症になることでも頭痛が起こりうる (#アセチル-CoA不足)。
還元型グルタチオンレベルの低下

還元型グルタチオン (GSH) は脳における酸化ストレスの保護に重要となっている[47][49][50]が、関係は不明なものの、還元型グルタチオンレベルの低下は片頭痛の重さに相関するいう報告がある[51]。グルタチオンはL-グルタミン酸、L-システイングリシンより構成されており、グルタチオンの赤血球濃度はL-システイン及びグリシンの経口補給によって上げることができるとされる[52]ものの、それらの摂取が頭痛に効くかは不明。

ライム病は頭痛の原因の一つであるが、ライム病を引き起こすボレリア・ブルグドルフェリ菌は、L-システインを吸収することにより増殖率が上がり[53]、また、宿主のL-システインを減らすことで宿主のグルタチオンレベルを低下させる可能性がある[54]

アレルギー性鼻炎も頭痛の原因の一つである[55]が、ラットでの実験によればアレルギー性鼻炎はグルタチオンレベルを低下させる[56]とされ、実際のアレルギー性鼻炎患者もグルタチオンレベルが低いとの報告がある[57]。アレルギー性鼻炎はアラキドン酸-5-リポキシゲナーゼによるアラキドン酸からのロイコトリエンA4合成を促し[58][59]、ロイコトリエンC4シンセターゼ(英語版)がグルタチオンを消費してロイコトリエンA4からシステイニルロイコトリエンを生成する[58][60]


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