領空侵犯
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041976年(昭和51年)9月6日北海道函館空港ソ連Mig-25戦闘機×1
031975年(昭和50年)9月24日東京都式根島神津島上空ソ連Tu-95爆撃機×2
021974年(昭和49年)2月7日北海道礼文島上空ソ連不明×1
011967年(昭和42年)8月19日北海道礼文島上空ソ連不明×1

対応手順

日本においては自衛隊法第84条に基づき、領空侵犯に対しては航空自衛隊が対応している。

防空識別圏における識別不明機に対する対応手順は以下の順となっている。[要出典]
レーダーサイトが、防空識別圏に接近している識別不明機を探知する。

提出されている飛行計画との照合する。

レーダーサイトが当該機に航空無線機の国際緊急周波数121.5MHzおよび243MHzで日本国航空自衛隊であることを名乗り、英語または当該国の言語で領空接近の通告を実施する。

戦闘機スクランブル発進させて目視で識別する。

戦闘機からの無線通告をする。
「貴機は日本領空に接近しつつある。速やかに針路を変更せよ。」


領空侵犯の無線警告と、当該機に向けて自機の翼を振る「我に続け」の警告を見せる。
「警告。貴機は日本領空を侵犯している。速やかに領空から退去せよ。」

「警告。貴機は日本領空を侵犯している。我の指示に従え。」

「You are approaching Japanese airspace territory. Follow my guidance.」

当該対象航空機の母国語での警告[要検証ノート]


警告射撃を実施する。

自機、僚機が攻撃された場合、国土や船舶が攻撃された場合は、自衛戦闘を行う[5]

ただし、自衛隊法第84条には「着陸させる」か「領空外へ退去させる」の二つしかなく、軍用機による侵犯行為であっても、それに対する攻撃について明確な記述はない[注釈 4][6]。ただし、自機や国土に対する正当防衛の観点から[5]、スクランブルの際に2機編成で対処中に1機が攻撃を受けた場合、もう1機が目標に対して攻撃を加えることは可能である[7][注釈 5]。その一方で、侵犯機がスクランブル対処機以外の航空機や海上の護衛艦、地上の部隊等に攻撃を加えた場合、パイロットの判断でこれを撃墜することは難しい[7]。現在では有人機を想定したルールとなっているため、無人の偵察機など無線に応答せず攻撃も行わない機体を撃墜処分することは出来ないとされる[5]
スクランブル発進

冷戦下では一年間に944回スクランブル発進した年もあり、大半はソ連軍機であった。冷戦終結後は、150回前後まで減少したが、そのほとんどがロシア連邦軍機によるものである。その後、中国軍機を原因とするものが増加し2014年度には一年間に943回となった。2006年度には、ロシア軍機を原因としたスクランブル発進が196回、中国軍機を原因としたものが22回、台湾軍機を原因としたものが8回、その他、韓国軍機・米軍機などを原因としたものが13回行われている[8]。2014年度には、ロシア軍機を原因としたスクランブル発進が473回、中国軍機を原因としたものが464回、台湾軍機を原因としたものが1回、その他を原因としたものが5回行われている[9]。冷戦期には自衛隊・在日米軍の迎撃能力や周波数等の情報収集のために、ソ連機が頻繁に日本領空に接近していたほか、現在では中国軍機とみられる戦闘機が多くなっている。

気球など対処の必要が無いと判断された機体に対してはスクランブル発進を行わないこともある。

なお、スクランブル発進は領空侵犯する虞れがある場合に行うため[注釈 6]、「スクランブルを行った回数 = すなわち領空侵犯の回数」とはならない。
日本の領空侵犯事件
ベレンコ中尉亡命事件詳細は「ベレンコ中尉亡命事件」を参照

1976年ソビエト連邦軍現役将校ヴィクトル・ベレンコが、MiG-25迎撃戦闘機日本函館空港に着陸し、亡命を求めた事件。この事件において自衛隊は、MIG-25を発見できず着陸を許してしまったため、攻撃目的の場合でも同様に航空自衛隊の防空網を簡単に突破されてしまう危険が露呈した。その後早期警戒機E-2Cが導入されるなどし防空網の強化がなされた。
対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件詳細は「対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件」を参照

冷戦下のソ連軍機による領空侵犯は20回以上発生しているが、1987年(昭和62年)に発生したこの事例は陸・海・空の自衛隊が創設以来初めて警告射撃(信号射撃による警告)を行った事件として有名である。
中国機尖閣諸島領空侵犯事件詳細は「中国機尖閣諸島領空侵犯事件」を参照

2012年12月13日、尖閣諸島上空で領空侵犯した中国国家海洋局所属の航空機(Y-12)を、海上保安庁巡視船が視認した。航空無線機にて国外退去を要求し、さらに防衛省へ通報した。この事件は、領空侵犯した航空機を海上保安庁の巡視船が国外退去を促した初の事例である。
その他の領空侵犯事件
軍用機による領空侵犯事件

U-2撃墜事件(米軍機のソ連侵入、撃墜)

1961年の西ドイツ空軍F-84機による領空侵犯事件(西ドイツ軍機の東ドイツ侵入、着陸

1964年のアメリカ空軍T-39機の撃墜事件(米軍機の東ドイツ侵入、撃墜)

ロシア軍爆撃機撃墜事件(ロシア軍機のトルコ領空侵犯、撃墜)

2023年中国気球事件(中国の偵察気球のアメリカ領空横断、撃墜)

民間機による領空侵犯事件

エル・アル航空機撃墜事件(1955年 エル・アル航空機の領空侵犯、撃墜事件)

リビア航空機撃墜事件(1973年 リビア航空機の領空侵犯、撃墜事件)

大韓航空機銃撃事件 (1978年 大韓航空機のソ連領空侵犯、銃撃事件)

大韓航空機撃墜事件 (1983年 大韓航空機のソ連領空侵犯、撃墜事件)

マチアス・ルスト事件(1987年 自家用機のソ連領空侵犯、着陸)

脚注[脚注の使い方]
注釈^ もっとも、軍用のミサイルはこの限りではないが、高度200?300kmを高速飛行する物体に戦闘機を発進させて、目視確認することはできない。
^ その国の情勢如何(戦乱など)では、即座に撃墜するなどの手段が行われる可能性もある。
^ ただし、冷戦構造下という側面もあり、アメリカを中心とした西側諸国が特に強く非難した。
^ 国際慣例上、軍用機に対しては退去を命じてもそれを無視され領空を侵犯する場合、これを攻撃しても問題はないとされる。
^ 撃たれてからでは遅い現代の空中戦では、先手をとられる形になる。


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