順天城の戦い
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また水軍による海上からの攻撃も撃退され、朝鮮水軍の蛇渡僉使黄世得が戦死、薺浦万戸朱義寿、蛇梁万戸金声玉、海南県監柳?、珍島郡守宣義卿、康津県監宋尚甫が負傷した。

3日、劉?は陳?に「今夜水陸共同で夜襲を決行すべし」と伝えた。ここにおいて陳?は午後8時頃水軍を率いて上げ潮に乗じて進み、夜半城下に迫り日本軍と攻防戦となる。戦闘中俄に引潮となると、明水軍の唐船二十三隻(『宣祖実録』、李舜臣の『乱中日記』では沙船十九隻、號船二十餘隻)が浅瀬に座礁する。これを日本軍が炎上させた。明兵に死傷及び捕虜となるものが甚だ多く出て、生還した者は百四十余名に過ぎなかった。朝鮮水軍でも安骨万戸禹寿が弾丸に撃たれる。翌4日も明・朝鮮の水軍による攻撃は継続されたが、城の守りは堅く撃退された。

このように3日、4日と水軍は海上からの攻撃を実施した。にもかかわらずこの間、劉?の陸兵は動かなかった。これは満を持して行われた2日の総攻撃の損害が大きかったことと、東方で泗川倭城を攻撃した中路軍が島津軍に大敗を喫しており、その敗報が伝わっていた事情がある。

10月7日になると、ついに包囲中の地上軍は撤退し、明軍は古順天に1万余を残し、劉?自身は富有まで撤退した。これにともない水軍も10月9日、海上封鎖を解いて古今島(莞島郡古今面)に撤退した。明軍の退路上には投棄された兵糧が散らばっており、この幾らかは日本軍が戦利品として入手した。こうして明、朝鮮の西路軍、水軍による順天城攻略作戦は失敗に終わった。

ほぼ同時期に行われた、中路軍による泗川倭城攻撃(泗川の戦い)や、東路軍による蔚山倭城攻撃(第二次蔚山倭城の戦い)でも敗退しており、1598年9月末から10月初頭にかけて実施された、明・朝鮮連合軍の総力を挙げての一大攻勢は日本軍の反撃の前にすべて失敗に終わった。朝鮮王朝実録には、三路の戦い(第二次蔚山城の戦い、泗川の戦い、順天の戦い)において、明・朝鮮軍は全ての攻撃で敗退し、これにより、三路に分かれた明・朝鮮軍は溶けるように共に潰え、人心は恟懼(恐々)となり、逃避の準備をしたと記述されている[6]。明・朝鮮連合軍は順天城攻略失敗後、遠巻きに順天倭城を監視する体制に切り替えた。
順天城の戦い後の経緯

順天の戦いに先立つ8月18日、豊臣秀吉は既に死去していた。その死は朝鮮派遣軍には秘匿されたままだったが、秀吉亡き後の豊臣政権では五大老らによって明・朝鮮と和議を結んだ上で諸軍を帰国させ、戦争を終結する方針が決定し、この方針を伝える使者は順天城の戦いの後、順天の日本軍のもとに到着した。

これを受け小西らは明軍の劉?と和議を締結し、人質を受領して撤退の手筈を整えていた。しかし、11月7日、明・朝鮮水軍は秀吉死去に伴う日本軍撤退の動きを知ると根拠地の古今島を発ち、11月10日には順天沖に現れ海上を封鎖し撤退を阻んだ。このため、小西らは明水軍の陳?と再交渉をして撤退の約束を取り付けることに成功し、人質も受け取った。ところが、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}日本軍の撃滅を望む朝鮮水軍の李舜臣がこれに激怒し猛抗議すると、陳?も[要出典]約束を反故にして順天の日本軍が帰国することを阻んだ。

小西ら五氏の窮地を知った、島津義弘立花宗茂高橋統増小早川秀包筑紫広門寺沢広高宗義智らは、水軍を編成して順天へ救援に向かい、11月18日、露梁海峡で明・朝鮮水軍と激突したのが露梁海戦である。小西行長、松浦鎮信、有馬晴信、五島純玄、大村喜前の五氏は戦いの間隙を縫って脱出に成功し、11月25日、島津義弘らとともに釜山を出帆して帰国を果たした。
脚注[脚注の使い方]^ a b 朝鮮王朝実録 31-10-12-6 ⇒http://sillok.history.go.kr/id/kna_13110012_006
^ a b 朝鮮王朝実録 31-10-12-7 ⇒http://sillok.history.go.kr/id/kna_13110012_007
^ 朝鮮王朝実録 31-10-12-5 ⇒http://sillok.history.go.kr/id/kna_13110012_007
^ 旧参謀本部『日本の戦史 朝鮮の役』徳間文庫 徳間書店、1995年、306頁
^ 朝鮮王朝実録 31-10-12-5 ⇒http://sillok.history.go.kr/id/kna_13110012_005
^『宣祖実録十月十二日条』

関連項目

宇都宮国綱 - 『宇都宮高麗帰陣物語』は宇都宮国綱の軍功記。改易処分を受けていたが朝鮮での戦功次第では再興を許すとされ、順天城の戦いにも参加した。


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