音楽
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魔術的・呪術的用途、さらには宗教的用途に音楽を使用することも多くの民族に共通しており、例えばヨーロッパにおいては教会が18世紀頃までは音楽の重要な担い手の一つだった[37]。一方、1990年代にアフガニスタンで政権を打ち立てたターリバーンは、公共の場の音楽はイスラムの基準に合致しないと解釈しており、徹底的な弾圧を行った。2021年にターリバーンが復権した際には、直ちに有名歌手が殺害されたほか[38]、弾圧を恐れたアフガニスタン国立音楽院の教師や生徒100人以上が国外へ脱出した[39]

ヨーロッパの中世大学教育における自由七科のひとつに音楽が含まれていたように、音楽は教養としても重視されることが多く[40]、やがて19世紀に入り近代教育がはじまると、音楽も初等教育からそのカリキュラムの中に組み込まれていった。明治維新後の日本もこの考え方を踏襲したが、西洋音楽を扱える人材がほとんど存在しなかったため即時導入はできず、明治15年の「小学唱歌集」の発行を皮切りに徐々に唱歌が導入されていくこととなった[41]。こうした一般教養としての音楽教育のほか、音楽のプロを育成する音楽学校も世界各地に存在し、さまざまな音楽家を育成している。

音楽はしばしば、民族のアイデンティティと結びつきナショナリズムの発露をもたらす[42]。世界のほとんどの独立国が国歌を制定しているのもこの用途によるものである[43]。国歌だけでなく、一般の音楽においてもこうしたつながりは珍しくない。19世紀にはナショナリズムのうねりの中で、当時の音楽の中心地であるドイツ・フランス・イタリア以外のヨーロッパ諸国において、自民族の音楽の要素を取り入れたクラシック音楽の確立を目指す国民楽派が現れ、多くの名作曲家が出現した[44]。民族音楽においてもナショナリズムとのつながりは一般的に強いものがあり、また、ポピュラー音楽でも、民族を越えてその国家内で愛唱される場合、国民の統合をもたらす場合がある[45]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ scientia スキエンティアは「知」で、しかもやや断片的な知、知識のこと。はるか後の時代、19世紀になって「サイエンス」(科学)の語源となる語彙。
^ の系統で、クラリネットなどの木管楽器トランペットなどの金管楽器に分かれる。
^ 弦の使用法によって、弦をはじくギターなどの撥弦楽器、弦をこするヴァイオリンなどの擦弦楽器、そして弦を打つ打弦楽器に分かれる。

出典^ The Painful Birth of Blues and Jazz
^ Morley 2013, p. 5.
^ Mithen 2005, pp. 26?27.
^ アウグスティヌス著作集 第三巻
^ ジョン・ブラッキング 『人間の音楽性』岩波書店、1973年
^ 『138億年の音楽史』 p72 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ “現代音楽が難しい理由 - 現代音楽入門 Shoichi's Lab”. shoichi-yabuta.jp. 2023年5月12日閲覧。
^ 『図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明』 p220 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p15-19 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p24-28 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p49-52 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p53-59 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p87 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p103-104 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p136 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 「図説 日本のマスメディア 第二版」p241-242 藤竹暁編著 NHKブックス 2005年9月30日第1刷発行
^ 「図説 日本のマスメディア 第二版」p247-248 藤竹暁編著 NHKブックス 2005年9月30日第1刷発行
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p42 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ 『138億年の音楽史』 p239-240 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p40 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ 『138億年の音楽史』 p240 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ a b 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p132 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p11 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ 『138億年の音楽史』 p253-254 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ 「138億年の音楽史」p218-219 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p12-13 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ a b 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p132 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ “Put your brain to the challenge” (英語). Harvard Health (2021年5月1日). 2021年6月4日閲覧。
^ MD, Andrew E. Budson (2020年10月7日). “Why is music good for the brain?” (英語). Harvard Health Blog. 2020年10月13日閲覧。
^ a b c Publishing, Harvard Health. “Music to your health”. Harvard Health. 2021年1月23日閲覧。
^ Publishing, Harvard Health. “Listening to music may interfere with creativity”. Harvard Health. 2020年9月9日閲覧。
^ “1-7 Should You Listen to Music When You're Studying? - Change IS possible”. Coursera. 2021年1月23日閲覧。
^ Publishing, Harvard Health. “Put a song in your heart”. Harvard Health. 2021年1月23日閲覧。
^ 「文化人類学キーワード」p196 山下晋司・船曳建夫編 有斐閣 1997年9月30日初版第1刷
^ 『138億年の音楽史』 p118-120 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p8-9 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p96 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ “タリバン、人気歌手を殺害…「イスラムでは音楽は禁止」と述べた数日後に”. businessinsider (2021年8月30日). 2021年10月6日閲覧。
^ “アフガン国立音楽院生徒ら101人、国外脱出”. AFP (2021年10月6日). 2021年10月6日閲覧。
^ 『138億年の音楽史』 p212-213 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p147 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ 『音楽のヨーロッパ史』 p198-199 上尾信也 講談社 2000年4月20日第1刷
^ 『音楽のヨーロッパ史』 p3-4 上尾信也 講談社 2000年4月20日第1刷
^ 『決定版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p103-104 音楽之友社 2017年9月30日第1刷
^ 『文化人類学キーワード』 p196-197 山下晋司・船曳建夫編 有斐閣 1997年9月30日初版第1刷

参考文献

近藤譲 『“音楽”という謎』春秋社
ISBN 4-393-93485-7

岩田誠 『脳と音楽』メディカルレビュー社 ISBN 4-89600-376-4

谷口高士 『音は心の中で音楽になる―音楽心理学への招待』北大路書房 ISBN 4-7628-2173-X


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