音楽
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研究者たちは、音楽を聴くことによって、言語情報を記憶し、課題を完了する能力が破壊されると推測している[31][32]

音楽と健康

音楽のなだめるようなやる気を起こさせる音は、心臓血管の健康へのさまざまな利点を含む[33]、幅広い健康上の利点を提供する。適切な状況で適切な種類の音楽を使用すると、ニーズに応じて、感情的な状態と全体的な健康状態を向上させることができる[30]
学術研究

音楽を研究する学問として音楽学がある。音楽理論に関するものとしては音楽哲学音楽美学がある。ほかに音楽の歴史を研究する音楽史音楽教育学音楽心理学音楽音響学などもある。西洋音楽と各民族民族音楽を比較研究する比較音楽学は、人類学の影響を受けて各民族の音楽文化を研究する民族音楽学へと変化した[34]。また、文学研究でも音楽との関連などが研究される。研究者が音楽評論を書くこともある。
文化

その文化的発展度を問わず、音楽はどの民族にも普遍的に存在しており、様々に利用されてきた。軍隊の行軍や指揮に音楽はつきもので[35]、現代においても多くの国家の軍は軍楽隊を所持している。日々の労働にリズムをつけ効率を高めるための労働歌もまた多くの民族に伝わっており、日本でも田植え歌や木遣などはこれにあたる。歌垣のように、求愛のために音楽を用いることも世界中に広く見られる[36]

魔術的・呪術的用途、さらには宗教的用途に音楽を使用することも多くの民族に共通しており、例えばヨーロッパにおいては教会が18世紀頃までは音楽の重要な担い手の一つだった[37]。一方、1990年代にアフガニスタンで政権を打ち立てたターリバーンは、公共の場の音楽はイスラムの基準に合致しないと解釈しており、徹底的な弾圧を行った。2021年にターリバーンが復権した際には、直ちに有名歌手が殺害されたほか[38]、弾圧を恐れたアフガニスタン国立音楽院の教師や生徒100人以上が国外へ脱出した[39]

ヨーロッパの中世大学教育における自由七科のひとつに音楽が含まれていたように、音楽は教養としても重視されることが多く[40]、やがて19世紀に入り近代教育がはじまると、音楽も初等教育からそのカリキュラムの中に組み込まれていった。明治維新後の日本もこの考え方を踏襲したが、西洋音楽を扱える人材がほとんど存在しなかったため即時導入はできず、明治15年の「小学唱歌集」の発行を皮切りに徐々に唱歌が導入されていくこととなった[41]。こうした一般教養としての音楽教育のほか、音楽のプロを育成する音楽学校も世界各地に存在し、さまざまな音楽家を育成している。

音楽はしばしば、民族のアイデンティティと結びつきナショナリズムの発露をもたらす[42]。世界のほとんどの独立国が国歌を制定しているのもこの用途によるものである[43]。国歌だけでなく、一般の音楽においてもこうしたつながりは珍しくない。19世紀にはナショナリズムのうねりの中で、当時の音楽の中心地であるドイツ・フランス・イタリア以外のヨーロッパ諸国において、自民族の音楽の要素を取り入れたクラシック音楽の確立を目指す国民楽派が現れ、多くの名作曲家が出現した[44]。民族音楽においてもナショナリズムとのつながりは一般的に強いものがあり、また、ポピュラー音楽でも、民族を越えてその国家内で愛唱される場合、国民の統合をもたらす場合がある[45]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ scientia スキエンティアは「知」で、しかもやや断片的な知、知識のこと。はるか後の時代、19世紀になって「サイエンス」(科学)の語源となる語彙。
^ の系統で、クラリネットなどの木管楽器トランペットなどの金管楽器に分かれる。
^ 弦の使用法によって、弦をはじくギターなどの撥弦楽器、弦をこするヴァイオリンなどの擦弦楽器、そして弦を打つ打弦楽器に分かれる。

出典^ The Painful Birth of Blues and Jazz
^ Morley 2013, p. 5.
^ Mithen 2005, pp. 26?27.
^ アウグスティヌス著作集 第三巻
^ ジョン・ブラッキング 『人間の音楽性』岩波書店、1973年
^ 『138億年の音楽史』 p72 浦久俊彦 講談社現代新書 2016年7月20日第1刷
^ “現代音楽が難しい理由 - 現代音楽入門 Shoichi's Lab”. shoichi-yabuta.jp. 2023年5月12日閲覧。
^ 『図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明』 p220 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p15-19 音楽之友社 2009年4月10日第1刷
^ 『増補改訂版 はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』 p24-28 音楽之友社 2009年4月10日第1刷


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