音楽
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各民族では様々な記譜法が開発されたが、11世紀初頭にイタリアのグイード・ダレッツォが譜線を利用した記譜法を開発し[25]、これが徐々に改良されて17世紀に入るとヨーロッパにおいて五線譜が発明された。五線譜はすべての楽曲や楽器の表記に使用でき、さらに譜面上で作曲もできるほど完成度が高かったため、以後これが楽譜の主流となった[26]

楽譜はあくまでも音楽のデータを記号に変換して記すものにすぎなかったが、1877年にトーマス・エジソンが蝋菅録音機(のチューブを用いる、蓄音機の初期のもの)を発明すると、音楽そのものの記録が可能となった[27]録音の技術はその後も発達し続けた。
記録・配布用媒体の歴史
レコードを聴く女性(1958年)

音楽の記録と伝達には様々な媒体が使われてきた。エジソンの蓄音機以降のものを、歴史の長い古いものから挙げると、7インチ・レコード(7-inch records。回転速度が45RPMだったので「45s」とも。日本では「SP盤」と呼ぶ。en:Gramophone Companyにより1890年代ころから)、EP盤(1919年 -)、LP盤(1948年-)、オープンリールテープ(古くは19世紀末や20世紀初頭から)、コンパクトカセット(カセットテープ)(1962年-)が使われてきた歴史があり、デジタル方式の録音が可能な時代になってからはCD(1982年-)、MD(1992年-)が使われ、(映像・音響を兼ねる媒体の)ビデオテープLD(1970年代や80年代-)DVD(1996年頃-)、BD(2003年頃-)なども使われるようになった。1970年代後半に登場したパーソナルコンピュータが1990年代後半ころから一般家庭に普及して以降、フロッピーディスクHDDのほかフラッシュメモリの技術を利用したSDメモリ(1999年-)、USBメモリー(2000年頃-)、SSD(本格的には2008年以降)などがある。2000年代からは媒体を持たずインターネットによる配信を利用する人も増えた。

媒体に記録された音楽はいわゆる再生機器(あるいは「録音再生機器」)によって再生される。たとえば蓄音機(1877年-)、レコードプレーヤーハイファイ装置、コンポーネントステレオラジカセ(1960年代-)、携帯カセットプレーヤー(ウォークマンなど、1979年-)、CDプレーヤー(1982年-)、携帯CDプレーヤー(1984年-)、デジタルオーディオプレーヤーiPodなど、2001年-)などである。21世紀にデジタル化が進んでから聴取環境は多様化し、家庭用PCのほかフィーチャーフォンスマートフォンでも標準で再生機能を備えるようになった。ラジオ放送を聴く人
放送・配信

音楽を人々に届ける経路(チャネル)としてはAM放送(1920年代ころ-)、FM放送(1933年-)などのラジオ放送や、テレビ放送(1930年代や40年代ころから。映像と音響を届ける)が使われ、21世紀にはデータ圧縮技術を活用して、インターネット経由の音楽配信が盛んとなってきている[27]。デジタルでもハイレゾリューションオーディオ の高音質音源が登場した。ソニーのハイレゾ・ウォークマン NW-ZX300
音楽と脳詳細は「音楽心理学」を参照

音楽を、単なる「音」ではなく、また「言語」でもなく、「音楽」として認識するのメカニズムは、まだ詳しくわかっていない。それどころか、ヒトが周囲の雑多な音の中からどうやって声や音を分離して聞き分けているのかなど、聴覚認知の基本的なしくみすら未解明なことが多い。しかし、音楽と脳の関係について、以下のようないくつかの点はわかっている。

音楽に関係する脳:側頭葉を電気刺激すると音楽を体験するなどの報告から、一次聴覚野を含む側頭葉が関係していることは確かである。

音楽、とくにリズムと、身体を動かすことは関連している。

音楽には感情を増幅させる働きがある。たとえば映画・演劇などで、見せ場に効果的に音楽を挟むことによって観客の涙を誘ったり、あるいは怪談話の最中におどろおどろしい音楽を挟むことにより観客の恐怖感を煽る、といったものである。

幼い頃から練習を始めた音楽家は、非音楽家とくらべて大脳の左右半球を結ぶ連絡路である「脳梁」の前部が大きい(Schlaugら、1995)。楽器の演奏に必要な両手の協調運動や、リズム・和音・情感・楽譜の視覚刺激などといった様々な情報を左右の皮質の各部位で処理し、密接に左右連絡しあうことが関係している可能性がある。

絶対音感:聴いた音の音階、基準になる音との比較なしに、努力せずに識別できる能力のことで、9 - 12歳程度を超えると身に付けることができないといわれている。アジア系の人には絶対音感の持ち主が多いと言われているが正確なデータはなく、これが遺伝的、文化的要因のいずれによるのかも医学的な根拠は示されていない。また、絶対音感を持っている人と持っていない人では、音高を判断しているときに血流が増加する脳の部位が異なる。持っていない人では、音高を短期記憶として覚えることに関係する右前頭前野の活性が弱いのに対し、持っている人では記憶との照合をする、背外側前頭前野の活性が強かったという。また絶対音感保持者では側頭葉の左右非対称性(左>右)が強いという(Zattoreら、2003)。

音楽と数学の関係:中世ヨーロッパで一般教養として体系化された「自由七科」では、音楽は数学的な学問の一つとして数えられている。また、子供に音楽の練習をさせると数学の成績が伸びたという報告(Rauscherら、1997)もあり、音楽と数学の関連性を示唆する。


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