音楽評論家
[Wikipedia|▼Menu]
ただ、一流の演奏家が引退後に評論家に転じるというスポーツでよく見られるパターンはほとんどないが、ほぼセミリタイヤ状態になっていた作曲家の諸井誠アンドレ・ブクレシュリエフが評論を行うという例はある。

音楽雑誌などで演奏会や録音の批評を行う者の中には、音楽学者を本職とするものも多い。また一方で音楽とは異なる本業を持つ者が、肩のこらないエッセイとして音楽評論の著作を発表する場合もある。エッセイストの中には、音楽業界に対して鋭い指摘を行う者もいる。また、雑誌連載などの枠で普段は多彩な話題を書いている音楽家の中に、時折そのような音楽批評が混ざる場合もある。たとえば、指揮者の岩城宏之はエッセイストとしても盛んに活動していたが、そのエッセーの中には音楽批評として優れた文章が多く混じっている。

クラシック音楽も多様であるため、オペラの脚本や作曲家の伝記などになると翻訳、すなわち「文学」畑の仕事もある。したがって仏文哲学科の卒業者から音楽の評論、解説に転じる者もある。また音楽の専門教育を受けていない者でも物理学科卒業者などから作曲、音楽理論に転ずる者もいる(初期には田中正平博士)。音楽史の場合、歴史的文書の広範な解読などが必要であるため、語学と同時に歴史学の専門知識が必要であり、手抜きをすると音楽史の大家と言われるような人物の著作でも間違いを犯していることがある。昭和初期の音楽評論家の著作には中立性を欠いたものや、誤植や事実関係の詰めが甘いものも一部にあり、注意を要する。これらは歴史的文書として扱うべきで、事実関係は再調査が必要である。太平洋戦争中(第二次世界大戦中)になると音楽評論は全く機能しなくなり、音楽および音楽評論全体が単なる軍部の道具と化し、音楽家の戦争協力の問題が発生していた。

1945年以降は音楽学や音楽理論の学位を持っていない人物でも音楽評論に携わることが多くなり、ポール・グリフィスは国際的かつ在野の最も成功した学者といってよいだろう。2010年代は柴田南雄音楽評論賞やトルネオ・ミュージック・トーナメントのように音楽評論を奨励する機関は確かにあるものの、応募総数が両者ともに少なすぎるため、どこまで公平性が保てているのかは疑わしいと言わざるを得ない。
ポピュラー音楽の評論家

クラシックとは対照的に、ポピュラー音楽を対象とする評論家の多くは、音大などで音楽を学問としては学んでいない場合が多い(難波弘之東京音楽大学准教授)。しかしロック、ソウル、ジャズなどの専門分野に関する知識の幅の広さ、深さがあり、充分音楽評論家と呼ぶにふさわしい知識と見識を持ちあわせている。他に、音楽雑誌や芸能雑誌の記者を務めた者、アマチュアでバンド経験のある者、または音楽系の専門学校を出た者もおり、一部に大学などで音楽論を学んでいる場合もある。一度プロになった演奏家が評論に転ずる事、および演奏家が評論家を兼ねる事もときにはある。その一部は、編集者や音楽ライターと言った形で、音楽雑誌に関わっている。
ポピュラー音楽のディスクジョッキー

ラジオにおけるディスクジョッキー担当者は音楽評論家の仕事と重なる部分がある。現在の民放ラジオは、AM、FMともに真面目に音楽評論をおこなって曲を流すタイプの番組は極めて少ないが、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}公共放送であるNHKFMの場合はピーター・バラカン北中正和のように、評価の高い番組を放送しているケースもある[要出典]。選曲の趣味は好みが分かれるため、ディスクジョッキーに普遍的な評価をくだすことは難しい。例えば、民放ラジオのタレント的なパーソナリティのように、人生相談、ギャグ、スポーツやファッションといった世間話の曲間トークで名前が売れた者は、音楽評論家とは区別するのが普通であろう。しかし、ロック系、ポピュラー系のレコード解説を執筆した者もおり、もちろんラジオ番組担当者でも優れた著作活動する者はいる。また、演奏家、歌手などが自分のラジオ番組で、自分のオリジナル曲を流すようなケースも多く、そういうタイプの番組は自己宣伝と指摘されても仕方ない面もある。
音楽評論家の例
日本の音楽評論家
クラシック音楽

秋山邦晴

池辺晋一郎

石田一志

上野晃

宇野功芳

大田黒元雄

岡田暁生

柿沼敏江

鍵谷幸信

金子建志

許光俊

黒田恭一

小石忠男

佐川吉男

佐野光司

白石美雪

志鳥栄八郎

菅野浩和

鈴木淳史

武田明倫


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:56 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef