音孔
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リコーダー等で見られる、左手親指孔をわずかに開くなどは、この目的である。リコーダーの→▲●○●●○●○(→印のすぐ右は裏孔、▲はサミング)

の指では、基本の指→●●●●●●●○

に対し、オーバーブローのために3つの指孔を開けて管を4分割しこれらに定常波の腹がくるようにしている。基本の指の第4倍音(2オクターブ上)が安定して出る。
「キー装置」の発明

しかし、孔が小さく、理論上の位置と実際の位置のずれが大きくなると、音量が小さくなってしまう。これは、和声音楽に必要な大型・低音の管楽器で特に深刻な問題である。また、そのような大型の管楽器では指の太さ(孔の大きさを制約する)や長さ(位置を制約する)による「楽器の大きさ」、「音孔の大きさと配列」の制約もまた深刻であった。そこで、西洋の管楽器では、「なるべく大きな音孔」を「理想的な位置」に開け、その、「指ではふさぎきれないほど大きな孔」を、指の代わりに機械仕掛けの「ふた」で開閉する「キー装置」が考案された。演奏者はキー装置を手元のレバーで遠隔操作すれば良いので、「楽器の大きさ」「音孔の大きさと配列」を自由に設計できるようになったのである。木管楽器の歴史において、革命的ともいえる発明なのであるが、当初の段階では「最低音を出すための音孔が遠くて指が届かない場合の補助器具」としか見なされていなかったので、進歩は遅かった。(テナー、バス・リコーダーフラウト・トラヴェルソの「右手小指のキー」が、この時代の「キー装置」の代表例である。)
「キー装置」の効用と発展

18世紀に入り、器楽合奏を重んじる古典派ロマン派へと流行が移りゆく中で、キー装置は「補助器具」ではなく「主要な音孔を担当する装置」へと発達してゆく。キー装置の恩恵によって大きな音孔を作ることが可能となり、全体としての音量が増し(例:ベーム式フルートクラリネットオーボエ)、非常に大型・低音にもかかわらず演奏が容易な楽器(例:コーラングレファゴット)も製作されて音域が広がった。さらに、指の数よりずっと多くの音孔を操作できるようになったことで半音階転調のような複雑な楽曲の演奏が容易になり、楽器の用法と音楽様式の発展を促す相互作用も生まれた。さまざまな形式・大きさの「キー装置」や「新楽器」(例:サクソフォーン)が開発されたが、その数多い試行錯誤の中から厳しい歴史の淘汰を受けて生き残った少数が、現在の木管楽器群である。
物理制約と生楽器の限界

しかしながら、大きな「ふた」(キーカップ)を、音高に影響しない程度まで十分音孔から離すこともまた「不可能」であり、現実の木管楽器では「ある程度の角度に傾ける」という選択がなされている。このキーカップの角度調節には熟練した技術と経験を要するわけで、人間の側の「熟練」と物理法則の制約から完全に自由になることは結局できなかったのである。
キー装置の分類

キー装置には様々な分類がみられる。

押さえると孔を閉じるキーと、孔を開くキーがある。

ひとつの孔の開閉を操作するキーと、複数の孔を開閉するキーがある。また、あるキーの操作が、他のキーに連動しているものがある。

ひとつの孔の操作のために、複数のキーのどちらかを操作するようになっているものがある。

孔と指の位置が一致していて、孔の大きさの補助や連動機構だけを受け持つキーでは、キーカップの中央に穴が開いていて、それを指で塞ぐようになっているものがある。キーカップ開放時の音程と音抜けを改善するそれはリングキーと呼ばれ、
クラリネットや中級品以上のフルートなどに見られる。

オーバーブローの吹奏を補助するための音孔を開閉するキーは、特にオクターブキー、レジスターキーと呼ばれる。

関連項目

木管楽器特に木管楽器#音の高さを変える方法

歌口


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